まもなく99歳を迎える現役のフラダンサーが愛媛県内にいる。約20年前にフラダンスを始め、健康作りや仲間との交流を楽しみながら踊り続けてきた。年齢を重ねても輝き続ける姿は、多くの人々に希望を与えている。
ゆったりとした動きに込められた情熱
フラダンスは、ゆったりしたステップと手の動きで、年齢を問わず幅広い層に人気あり、愛媛県内の競技人口は1000人以上と言われている。
この記事の画像(10枚)優雅な身のこなしでフラを踊っている女性は、今治市在住の井出シゲミさん。大正14年生まれの御年98歳。8月5日に99歳の白寿を迎える。
井出さんがフラダンスを始めたのは約20年前。
友人に誘われたのがきっかけだったが、健康作りやフラ仲間との交流が楽しく、98歳になるまで踊り続けてきた。
この日は、7月20日に松山市で行われる大きなイベントで踊るための最終調整を行っていた。
仲間との絆、笑顔あふれる練習風景
練習場所となる今治市上徳の富田公民館では和やかな雰囲気の中、熱心な練習が行われている。
打ち合わせが終わると、井出さんは「涙そうそう」のメロディを口ずさみながら、早速振付を確認していた。
井出さんは練習の合間に「歳とってね、健康に繋がるでしょ、フラダンスする言う事は体を動かすから。先生もいい人だしね、ずっと来よったら楽しいです。皆さんいい人だけです。もう本当に我が子供みたい」と語った。
そんな井出さんに仲間も元気をもらっているそうで、フラ仲間の一人は「この年齢で、あんだけ踊れるっていうのないと思うんですごい。覚えも早いし、あたしらより早い」と感嘆の声を上げる。
別のフラ仲間も「パワーもらいます」と口を揃える。
フラダンス富田の宮城春子先生は「私一人じゃったら、もうとうに辞めとると思うんですよ。でもね井出さんが頑張ってるのにね、私も頑張らにゃ思うて、それで続いてきてます」と、井出さんの存在の大きさを語る。
98年の人生から学ぶ、前向きな生き方
井出さんの98年の人生で学んだことは、常に前向きであること。
「色々な事、たくさんありますよ」と語りつつも、「でもね、それはねそれとして、ありがたい試練じゃと思ってね頑張る。それが一番いいんじゃないんですか」と、困難を乗り越えてきた強さを感じさせる。
イベント当日に向けて井出さんは、「皆さんが見てくれて喜んでくれたら一番いいかなと思うんよ。ああ、歳とってもあんなにして踊れるんかなと思て」と、観客を楽しませたいという思いを語った。
7月20日の本番に向け、井出さんは仲間と楽しく、そして前向きにフラを踊り続けている。
練習の最後には、全員で「20日のイベント、頑張りまーす!」「アロハー!」と元気な掛け声が響いた。井出さんを中心とした仲間たちの姿は、年齢を重ねても輝き続けることができるという希望を私たちに与えてくれる。
98歳の現役フラダンサー、井出シゲミさん。
彼女の踊りに込められた情熱と生きる喜びは、きっと観客の心に深く響くことだろう。
(テレビ愛媛)