美しい景観が、外国人観光客に大人気の世界遺産・忍野八海。
ここ数年、問題となっているのが硬貨の投げ入れだ。多くの観光客が「願い事をするため」に投げ入れていて、その量は年に数回ダイバーが回収作業をしても追いつかない。硬貨が蓄積することで、水質汚染につながる恐れもあり、忍野村では看板増設とは別の解決策を模索しているという。

5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金も

富士山の伏流水に水源を発する湧水池で、2013年に世界文化遺産に登録された山梨県の忍野八海。

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富士山と青く澄んだ池が同時に楽しめることで有名なこの世界遺産がいま、「観光公害」に悩まされている。

23日に取材した際には、硬貨を投げ入れていた観光客が2時間の間に5組いた。

”忍野八海への硬貨投げ入れ”は、文化財保護法に抵触し、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金を科される可能性がある。

池の近くには「投げ入れ禁止」と書かれた看板があるが、守らない人が後を絶たない。

池の底には大量の硬貨が見える
池の底には大量の硬貨が見える

その結果、池の底には日本や外国の硬貨が敷き詰められるように沈んでいる。

「(池の底に)コインが1m以上積もっている」

硬貨のさびなどが池の中に溶け出すことで懸念されるのが、忍野八海の水質汚染。

管理する忍野村役場は年に数回、ボランティアのダイバーによる硬貨の回収作業を行っているが、忍野八海は標高が高く作業が過酷なため、全てを回収できず、底に積もっていくという。

ボランティアダイバーの坂本新さん:
(池の底に)コインが1m以上積もっている。
泥とコイン、泥とコインっていう形でセメント状態になっているので、掘れば掘るほど出てくる。落ちているというレベルじゃない。もう(コインが)積んであるという状態。

この硬貨が「重し」となることで、水草が激減しているという。そして2024年5月に回収を行った際には、投げ込まれる硬貨の種類に変化が生じていた。

池の底から回収した硬貨
池の底から回収した硬貨

ボランティアダイバーの坂本新さん:
500円玉、めちゃめちゃ落ちているんですよ。
おそらく円安の影響で、外国人が「500円玉でもいいか」と思って投げたと。今年500円玉が40枚ぐらい回収できたんじゃないか。(2023年10月は)おそらく5枚なかったと思うんですよね…。

硬貨の投げ入れをしていた観光客に理由を聞くと、フィリピン人は「コインを投げいれました。そして願い事をした。投げ入れてはいけないの!?知らなかった…」。中国人は「池に多くのコインがあるので願い事をする場所だと思い、家族と自分のために願い事をした」と話す。

忍野村「別の解決策を模索中」

多かったのが「願いを叶えるため」と言う意見で、中には日本人観光客もいて、「底に(コインが)落ちていたので、子供に投げさせました」とした。

注意喚起の看板を増やしたいものの、景観が悪化する恐れもあるため、忍野村では別の解決策を模索しているという。
(「イット!」 7月23日放送より)

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