浦添市にあるブルーシール牧港本店は、施設の老朽化にともない2023年から建て替え工事が進められていて、シンボルの巨大なアイスクリームの看板も一時的に撤去されていたのだが、2024年6月に再び設置された。
この記事の画像(16枚)そもそも、シンボルとなる巨大な看板は、いつ頃設置されたのか?手がかりを知る人を取材するとともに、巨大看板が復活するまでを密着した。
ブルーシールと言えば『Big Dip』
大きなアイスクリームの看板が目印のブルーシール牧港本店。
2023年3月31日、建て替えによる一時閉店が決まり、思い出の場所との別れを惜しみ多くの人が訪れた。
店内ではそれぞれの思い出話に花が咲いた
家族連れのおじいちゃん:
昔を思い出す感じかな。復帰前くらいだね。亡くなったおじいちゃんがとってもアイスクリームが好きだった。だから子どもの頃よく食べていたらしい
一時閉店の日に訪れた女性:
母がすごい好きで、いつも二人で半分ずつ食べていたが、数年前に母が他界しまして、家族の思い出です母との。
60年にわたり愛されてきた建物と『Big Dip』と呼ばれ親しまれていた看板は、大勢の人たちによるネオン消灯のカウントダウンとともに役目を終えた。
この看板が見えたらアイスが食べられる!
2024年6月、あの日から一年が経過し、建て替え工事が進んでいる牧港本店のリニューアルオープンにむけた記者会見で、あることが発表された。
フォーモスト ブルーシール 村上琢磨社長:
『BigDip(の看板)』はどうするんですか?残してくださいと言われまして、綺麗にもう一回磨き直しまして、そのままのBigDipをもう一度つけさせて頂くので、多少キズがあるのは昔からの歴史と思っていただければ
会見から数日後、工事現場にBigDipの巨大看板が搬入された。
フォーモスト ブルーシール マーケティング部 松田晃美さん:
昨年の3月末に閉店した、牧港本店のBigDipのネオンサインをそのまま移設という形で建てています。やっぱり新しく作るという事もあったんですけど、みなさんの思い入れがある看板でもあったので、この看板が見えたら”アイスが食べられる“というシンボルはそのまま残して受け継いでいこうと
『Big Dip』の歴史を知る人
牧港本店ができたのは1963年。当時の写真には、大きなアイスクリームの看板はない。
いつから設置されたのか?
手がかりを知る人を訪ねた。
新潟県出身の真境名敏夫さん81歳。結婚を機に沖縄へ移住し、家族の記録のために8ミリフィルムのカメラを購入。子どもの成長や60年代から70年代の沖縄の風景を撮影してきた。
眞境名敏夫さん(81歳):
1970年と75年の映像”万博”と”海洋博”の記録ですね。たまたまブルーシールさんが映っていた
見せて頂いたのは、1975年7月20日の海洋博を撮影した映像。
真境名敏夫さん(81):
海洋博にいく、現在の58号線の道沿いにバスから狙ったんだと思いますね。コレですねコレ、当時は(アメリカ統治下なので)車は右側通行ですからね。すごいですね。いやぁ撮っておくもんですね
真境名さんの映像から約半世紀、ブルーシールのシンボルの看板はこの場所にあった事が分かった。
ブルーシールの看板は訪れる人を優しく見守り、歴史を刻んできた。
真境名敏夫さん(81):
ブルーシールそのものがシンボルですよね、沖縄の人にとっては。私たちはいつも土曜日のデザートでした。決まってました子ども達と。ただ思うに、あそこで食べるアイスクリームが一番おいしいですね
これから50年もシンボルとして
2024年6月19日。工事も大詰めを迎えているなか、巨大看板を撮影する女性の姿があった。
2023年の閉店時に取材した女性:
この一年間ずっと楽しみに待っていたので、新しい建物になっても、看板自体は以前のものを使うっていうのは、思い入れがあって凄くいいと思います
この日、ブルーシールのシンボルの看板は1年ぶりに設置された。
フォーモスト ブルーシール マーケティング部 松田晃美さん:
50年こっちにあったという事なので、これから先の50年もここで皆さんのアイスのシンボルとして建ち続けてほしいです
真境名敏夫さん(81):
行ってみたいですね、是非行きますよ新しくできたら。8月に息子が沖縄に行くってい
いってますから、一緒に行きます
ブルーシール牧港本店は2024年7月23日。『Big Dip』は再び訪れる人たちを優しく出迎える。
(沖縄テレビ)