自衛隊制服組トップの吉田統合幕僚長は20日、南シナ海で中国側との衝突が続くフィリピン軍のブラウナー参謀総長とオンライン会談を行い、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を維持するため、連携していくことで一致した。
吉田統幕長は会見で、会談について、「17日に中国海警局がフィリピン軍の補給船に乗り込み、乗組員を一時拘束した事件を受けて、急きょ設定した」と説明した。
フィリピン当局は、南シナ海の軍事拠点への補給活動を中国海警局の船から妨害され、ゴムボートに刃物で穴をあけられ、銃器を奪われたほか、軍人1人が指を切断する重傷を負ったとしている。
吉田統幕長は、「中国海警局の行為が『ICAD』に相当するという認識を共有するとともに、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を維持するため、米豪等の同盟国、同志国とも連携し、協力を進めていくことで一致した」と強調した。
「ICAD」は、「Illegal(違法の)」、「Coercive(強制的)」、「Aggressive(攻撃的)」、「Deceptive(欺まん的)」の英語の頭文字をつなぎ合わせたもので、フィリピン側が、海洋進出を強める中国の行為を踏まえ、「今行われていることを明確に言うべきだ」などと提起してきた。