「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。
大事な会議、スマートフォンでしっかりメモを取ろうとしたところ…
ちなみに、SNS上では「新入社員がスマホでメモを取っていた。失礼だ!」「ゲームでもしているのかな?と思う」などの怒りの声が挙がる一方、「PCでまとめる時に文字を起こさなくていいので二度手間にならず便利」という意見もあり、賛否両論。
「打ち合わせ中のスマホでメモ」はビジネスマナーとしてはどうなのか?
早速、企業などでの人材育成などでもマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。
西出氏:
現代は、スマートフォンなどを使用してメモを取る方も多くいらっしゃいます。それに対し、その行為がマナー違反と断言することはいえません。
そういう決まりがあるわけでもありません。相手がどう感じるかで答えは変わってきます。
西出氏:
相手がそれに対し不快に思わなければ、スマホを使用しても問題はないといえます。
大切なことは、自社や部署、上司などがどのように考えているのか、です。自社がスマホでメモをとることを容認していればOKといえます。一方で、たとえば、新入社員研修などで、スマホでメモを取ることを禁止していれば、NGとなりますね。
お客様や取引先との場合は、「お相手の方が、スマートフォンなどでメモを取ることに対しOKかNGかの確認をすること」が大切です。
「恐縮でございますが、メモはスマートフォンでとらせていただいてもよろしいでしょうか」などと、面倒と思うかもしれませんが、ひと言伺い、確認をすることで、スムーズな空間になると存じます。
西出氏によると、「スマホでメモ」は必ずしもマナー違反ではなく、自社が容認しており、「相手に誤解や不快を与えないシーンであれば使用しても差し支えない」とのこと。
ただ、ポイントは「それを相手が不快に思うか否か」ということなので、相手にキチンと確認を取ったから何でもOKというわけではないので注意。
これはNG!
許可を取ったからといって、これはNG!
「ここだけはスマホを使っちゃ絶対だめ!」という場面はないというが、「相手に不快感を与えないスマホの使い方」には気をつけるべきだ。
ずっとスマホを触っていたり、うつむいたままだったりはNG。
時々顔を上げて相手を見たり、話が一区切りしたときは入力も一区切りさせるといいだろう。
さらに、デスクの下など、相手から見えない場所で使用するのは「メモを取るふりをして関係のないメールをしているのでないか…」などの誤解を招くのでNGだ。
また、使うスマホ自体にも注目。
華美なデザインのケースはNGなので、シンプルなケースを“ビジネス用”に持っておくのもいいだろう。
最後に、スマホを使うリスクについても考えておきたい。
西出氏:
ビジネスシーンにおいては、様々な考え方、受け取り方の人や年齢層によってもその判断は異なります。スマホでメモの注意点は、 自社で容認されていたとしても、電源不足やバッテリー切れ、また、データ破壊などのリスクを考えること。自筆でメモした内容を、のちにデータおこしをして二度手間は面倒だと思うかもしれませんが、まずは自筆でメモをとるほうが安心といえます。こういう観点からは、スマホは使用しないほうがいいとも言えます。
他の人とメールをしていてこの仕事に集中していない、とか、ゲームをしているのではないか、などのいらぬ誤解を招かないよう、周囲に気遣いをすることは大事な時代と言えます。
西出氏によると、そもそもマナーとは「相手の立場にたち、相手を不快にさせないこと、さらには相手に喜んでもらったり、心地よくなっていただくためにプラスを生み出し、互いにハッピーになるために存在するもの」。
マナーは『TPPPO』…T(Time 時) P(Place 場所) P(Person 人・相手) P(Position 立場) O(Occasion 機会・場合)によって変わるもの。
「よい」「悪い」ではなく、相手を思いやる気持ちを忘れずに行動することが正しい“マナー”なのだ。
(※『TPPPO®︎』は西出博子の登録商標)
今回の“もやもやマナー”、スマホでメモはマナー違反とは言えないけれど、真面目な姿勢をみせる努力は必要。
キャトウさん、しっかりメモしておいてね。
(漫画:さいとうひさし)