憲法を改正して初めて「憲法宣誓」を定める 

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中国全人代で前代未聞だったこと。

それは、習近平国家主席以下による“グーポーズ”のオンパレードだ。

右手で拳を握って肩口に掲げ、左手を憲法書に置き、憲法に対して宣誓する。

この『憲法宣誓』を檀上で、習主席を皮切りに、事実上のナンバー2となった王岐山副主席、影響力低下が指摘される李克強首相らが次々に行い、副首相より下は集団宣誓だった。

この“グーポーズ”。
中国共産党では新党員が入党の誓いを行う際の作法として定着しているそうだが、2015年7月に全人代常務委員会が『憲法宣誓』制度の導入を採択。

2016年1月1日に施行されて、中央政府レベルにも広がることとなった。

トップ自らが憲法を尊重する“新しい理念”を示す

今回の全人代は、憲法を改正し、国家主席の2期10年の任期制限の撤廃などとともに、「国家の職員は就任時に法律の定めるところにより憲法の宣誓を公に行わなければならない」と初めて憲法で定めた(第27条第3項)。

習主席もこの憲法の規定により宣誓した。

その意義・狙いは何なのだろうか。

全人代の諮問機関とされる『中国人民政治協商会議』の議員に尋ねてみたら、「指導者からして憲法を尊重するという“新たな理念”の表れだ。実に厳かな時だと感じる」との回答だった。

どうやら、習主席への権力の集中と長期化に対する不満・懸念を中和する効果が期待されているようだ。

アメリカを意識して「法治」をアピール 

しかし、誓う対象が『憲法』という、中国共産党が好きなように書き換え可能で、党の意志より下位にあるものという点が釈然としない。

憲法に書き込まれた『習近平思想』に忠誠を誓わせているのでは、と指摘する専門家もいるほどだ。

また、憲法で定める宣誓を公に行ってみせるのは、アメリカを多分に意識してのことと思われる。

習主席は「憲法に基づく国家統治を堅持しなければならない」と述べてもいるが、それは「西側民主主義国と同列の『法治』だ」と言うがためのスローガンとポーズでもあるのではないか。

そんなことを考えさせる全人代での『グーポーズ』だった。