記録的な円安が続き、富山県内では外国為替の恩恵を大きく受けた企業もある一方、輸入に頼る産業では原材料が値上がりし、悲鳴も聞こえています。
伝統産業「高岡銅器」もその一つ。
市内の業者が力を合わせ、技術とアイディアで難局を切り抜けようとしています。

先月の外国為替市場では円安が加速して、34年ぶりに1ドル=160円台をつける場面があり、21日も午後3時の時点で1ドル=156円台と歴史的な円安水準が続いています。

この円安、県内の産業界にも大きな影響をもたらし、県内の銀行を除く上場企業19社のうち2024年3月期決算では半数の9社が増収増益となり、主に輸出を伴う製造業の業績を大きく押し上げました。

このうち、自動車部品の製造などを手掛ける田中精密工業の決算は、営業利益・経常利益・純利益いずれも過去最高に。
円安による増収効果は、なんと23億円です。

会社は、去年から世界的なトレンドである「自動車の電動化」に重点を置き、早くもその効果が現れた形で、円安を追い風に日本とアメリカの製造拠点に今後100億円規模の投資をする計画です。

*リポート
「歴史的な円安で利益UPになった製造業がある一方、富山県内の伝統産業にとっては負の側面も生み出したようです」

富山が全国に誇る高岡の伝統産業、高岡銅器。
原材料の銅は日本では産出されないため、輸入に頼っています。
その50社をとりまとめる高岡銅器協同組合の宮津理事長です。

*高岡銅器協同組合 宮津健志理事長
「(銅などの)原材料、光熱費などの値上げによる価格改定の相談が多い」

円安や国内の需要増加による銅価格の上昇が会員企業を直撃。
商品の価格転嫁について相談が増えたといいます。

*高岡銅器協同組合 宮津健志理事長
「価格を反映させづらい。カタログは1年間そのまま。途中で銅価格が上昇すると 企業の懐はいたむ。(銅像など)特注品であればその都度上乗せできるが…」

売上を支えるカタログ商品。
組合で数年に一度つくる冊子には商品ごとの値段を表示していますが、頻繁に変えるわけにはいきません。

銅の価格は、3年ほど前から上げ幅が大きくなり、今年に入ってさらに急騰。
今年3月の平均価格は1トンあたりおよそ134万円だったのに対し、今月は既に160万円台を超える価格に。
そこで、組合で取組むことにしたのが…。

*高岡銅器協同組合 宮津健志理事長
「去年から展開しているOMOSI(おもし)シリーズ。銅の急な価格上昇に鉄製品でリスクを回避できないかと…」

銅よりも比較的、価格変動の小さい「鉄鋳物」です。
文鎮や、レストランなどで使われるカトラリーステイ、ブックエンドなど、組合に参加する複数の会社が独自のアイディアで製品化したものを統一ブランド「OMOSI」として展開。

2月、アメリカで開催された国際見本市で海外から注目を浴び、世界的に有名なニューヨーク公共図書館のショップでも販売されたほか、中国やマレーシアにも輸出したといいます。

Q.(文鎮)1個の価格は?
*高岡銅器協同組合 宮津健志理事長
「2500円前後…銅なら『倍』。各社で持ち寄ってそれぞれのルートで売る。販路も商品ラインナップも広がる」

原材料を輸入に頼らざるを得ない伝統産業。
企業努力でこの難局を乗り越えようとしています。

銅相場は上がり続けていて、20日、ロンドン市場の先物価格が1トン日本円で170万円台を突破し最高値を更新しました。
「おもし」は富山弁の面白い、とかけている…。
独自のアイディアでひきつけ輸出することで、売上に貢献しつつあるということでした。

富山テレビ
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