批判するマスコミはボーナス支給される

「貴方もそのボーナスを支給されるNBCの記者なんでしょう」
ホワイトハウスの報道官サラ・サンダースさんはこう答えた。

トランプ大統領の大幅減税に対して米国の主要マスコミには「富裕層と大企業に恩恵をもたらすが、中間所得層は置き去りにされている」と批判する論調が多い。NBCのクリステン・ウェルカー記者もそういう趣旨で報道官に質問したのだった。

しかし、この減税案で法人税が35%から21%に減額されるため、法案が議会を通過した段階で歓迎の意味を込めて多くの企業が臨時のボーナスを支給することにした。NBC放送の親会社のコムキャスト社も従業員一人当たり1000ドル(約110000円)支給すると発表していたので、記者は報道官に「一本取られる」形になった。

他にも大手通信会社AT&Tが20万人余の従業員に1000ドルのボーナスの支給を約束し、航空機メーカーのボーイングは総額3億ドル(約330億円)を従業員のために拠出、金融会社ウェルズファーゴは最低時給を15ドル(約1650円)に引き上げと発表、減税の効果は早くも一般従業員に及び始めている。

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多くの職種に減税の恩恵が及ぶ

「減税案はそんなに批判すべきものではないのかもしれない」
トランプ大統領のやることなすことに批判的なニューヨーク・タイムズ紙電子版に、こんな見出しの論評記事を見つけた。富裕層や大企業だけでなく、多くの職種に減税の恩恵が及ぶ可能性があると分析する。

「民主党議員はトランプ減税案に賛成しておけばよかったと思うかもしれない」

CBSニュースのウェブサイトの論評記事は、減税案には低中所得層への救済措置もあり本来は民主党の政策も取り入れているので、来年の中間選挙で民主党議員は反対したことが裏目に出る恐れがあるというのだ。

減税効果でトランプの勝利が見えてくる?

その中間選挙から2020年の大統領選へ向けてこの減税がどう影響するかだが、思い出すのは36年前にやはり就任1年目に大幅減税を行ったレーガン大統領の場合だ。
1982年の中間選挙では「1期目のジンクス」通り下院の共和党議席を大幅に失ったが、1984年の大統領再選選挙では、対立候補の出身州のミネソタ州とワシントンDCを除く49州で勝利し、選挙人で525対13という米国の大統領選史上例のない大差で再選を果たしている。

この再選選挙は、大減税の効果が行き渡り有権者がその恩恵を実感しているころに投票が行われたことが歴史的大勝につながったと分析されている。その意味で、トランプ大統領の減税もその効果が全米に行き渡るころの2020年に再選選挙が行われる。

先週のコラムで、トランプ大統領の「生みの親」のスティーブ・バノン氏が「トランプ大統領は2020年に選挙人400人以上の大差で勝利する」と予言したことを伝えたが、この減税効果を計算してのことなのかもしれない。

いずれにせよ、この減税でトランプ大統領は就任2年目に入っていっきに政治的なはずみをつけたようだ。