昨今のビットコイン急落の背景には、世界各国におけるビットコイン取引規制強化への懸念があるようです。

中国や韓国で規制の動きが見られる一方、イスラム世界では各地の宗教指導者たちがビットコイン禁止令を発令しています。

2017年11月には、トルコの宗務庁が「ビットコイン取引はイスラム教と矛盾するので、イスラム教徒がそれを行うのは不適切である」とするガイドラインを出しました。同年12月には、サウジアラビアのイスラム法学者アーシム・ハキーム師が自身の番組で「ビットコインはイスラム教では禁じられる」と述べました。

さらに同月、今度はエジプトで最高の権威を認められているイスラム法学者シャウキー・アッラーム師が「ビットコインはイスラム教では禁じられる」という宗教令を発行しました。

これらの宗教令は、イスラム教がビットコインのような仮想通貨を禁じる理由をいくつかあげています。

そのひとつが射幸性です。イスラム教はコーランにもとづき、賭博を禁止しています。

「賭博=射幸性のあるもの」と解釈されているため、投機性の高いビットコイン取引もその禁令に抵触するというわけです。

別の理由としては、ビットコイン取引が「顔の見えない」取引である点があげられます。イスラム教はコーランにもとづき、不等価交換を禁止しています。利子が禁じられるのも、この不等価交換禁止にもとづいています。

また等価交換の場合にも、取引の当事者が同時に手渡しで交換しなければならないとされています。ビットコインは価値が定まらない上に仮想通貨ですから、手渡しでの交換などもとから想定されていません。

また、ビットコイン取引が自分や他人に害を及ぼす危険性が高いことも理由としてあげられています。イスラム教は「自分にも他人にも害を与えてはならない」という預言者ムハンマドの言葉(ハディース)を法諺として重視しています。ビットコイン取引は失敗すれば個人を破産に追い込む可能性があります。よってこの法諺に抵触する、というわけです。

トルコやサウジ、エジプトでは、国家が正式な形でビットコイン取引を禁じたわけではありません。しかしこれらの国の多数派を構成するイスラム教徒たちは基本的に、国の決定などよりも日々をイスラム教の教えに従って生きることのほうを重視します。ですから、イスラム教で禁止と言われれば当然ビットコイン取引にはブレーキがかかることになります。

ビットコイン急落には、こうしたイスラム教の論理が少なからぬ作用を及ぼしている可能性があります。