アメリカのティラーソン国務長官は、来月16日にカナダのバンクーバーで開かれる北朝鮮問題を協議する外相会合の参加国について、「朝鮮戦争で国連軍に部隊を派遣した国々。加えて、韓国、日本、インド、スウェーデンなど重要な関係国」と発言しました。

なぜ、まずもって《国連軍参加国》なのでしょう? 

どういう狙いがあるのでしょう? ティラーソン発言を聞いた時にすぐさま引っかかりました。

≪国連軍参加国≫を武力行使の法的根拠に

わざわざ《国連軍参加国》を引っ張り出すのは、朝鮮戦争が休戦状態であり、法的には戦争は終わっていないことを、現在の核問題の突破口にできないか…という思惑があるからと考えるのが自然です。


具体的には、アメリカ軍の武力行使の法的根拠として、北朝鮮による重大な休戦協定義務違反などを持ち出す。

あるいは、国連安保理では中国やロシアの反対で武力行使のお墨付きが得られないため、休眠中の国連軍を再起動し、武力行使に動く枠組みとして利用する‥といった方向性です。

となれば、日本は国連軍地位協定を10ヶ国と結んでいて、国内7ヶ所が国連軍施設に指定されていますから、これは重大な関心事となります。

北朝鮮情勢に疎く対話傾斜の懸念

ところが、これを日本側の関係者にぶつけてみたところ、真逆な展開になることが気がかりだというのです。《国連軍参加国》の多くは、現在の北朝鮮情勢には疎く、対話を強調する方向へと流れやすそうだ…という懸念です。

折角、安保理で経済制裁決議を重ね、中国をも巻き込んで『圧力キャンペーン』をやっている真っ最中なのに、ここで対話志向のメッセージが出ては、北朝鮮に付け入るスキを与えかねません。


日本側としては、対話メッセージだけが突出することがないよう、バランスの取れた議論にするという決意で外相会合に臨むということです。

顔ぶれを変えて巻き返す狙い

言われてみれば、アメリカとともにこの外相会合を共催するカナダは、「圧力よりは対話」を主張しています。

ティラーソン国務長官は後に軌道修正したとはいえ、北朝鮮と「前提条件なしの対話」を公言したこともあります。

《国連軍参加国》を持ち出してきたのは、顔ぶれを変えることで『巻き返し』を図る!というティラーソン国務長官と仲間たちの狙いが込められていると言って良さそうです。