トランプ大統領が現地時間18日、就任後初めての『国家安全保障戦略』を発表した。

大統領に言わせれば、アメリカを第一に考えて構築した安保戦略とのことだが、今までと何が違うのだろうか?

現実という“ご飯”を「米国第一主義」印の“海苔”でくるむ

トランプ大統領にとって就任以来ずっと、最大のスローガンである「米国第一主義」と、同盟国や友好国が抱く世界のリーダー役への期待をないがしろにはできないという現実に、どう折り合いをつけるのかが大きな課題だった。

政権発足からほぼ11ヶ月。
要するに、「米国第一主義でアメリカが豊かで強く安全な国になれば、それは世界にとっても良いことだ。だから米国第一主義の安保戦略なんだ!」という括り方に落ち着いたようだ。

大統領にとっては、コア支持層ファーストだから、妥当な着地点かなと思う。

文書を読んでみると、大統領の巻頭の言葉や、イントロダクション、4つの柱の概略説明には「米国第一の安保戦略」との言い方が使われているが、本文は国務省や国防総省など担当省庁が提出した今までと大差ない作文の寄せ集め。

アメリカが直面する現実というご飯に、「米国第一主義」という海苔をかぶせて、ぎゅっと握ってみたという印象だ。

中国に厳しいのは、コア支持層ファーストだから

トランプ安保戦略について、今も頻繁に電話で話しているというスティーブ・バノン前首席戦略官は、「大統領は対中国政策を大転換した!」と強調する。アメリカにとって中国は「戦略的パートナー」ではなく、「戦略的競合相手」だと厳しく認識し直したからだ。

中国の不公正な貿易のせいで職を失った、生活が苦しくなった、といった不満を持つコア支持層へのアピールを考えたら当然のことだろう。バノン氏とトランプ大統領は、ともに腕っこきのメディア・プロデューサーだから、政治活動でも本当に望ましいイメージを売ることに長けている。

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トランプ“おにぎり”は、握りがゆるく脆そうだ

そもそも、歴代大統領の対中認識の変遷を思い起こしてみると、就任当初は例外なく厳しいものだった点を指摘しなければならない。

そして、歳月がたつにつれてビジネスやグローバルイシューで中国の協力が不可欠という現実を容れて緩んでくる…ということを繰り返した。

中国もそうした事情は十分承知しているので、トランプ安保戦略に対し、言葉では反発しても、慌てることはない。腹の中では余裕で受け流していることだろう。

『国家安全保障戦略』は、政権の基本的な考え方や政策の方向性を示す極めて重要な文書だ。

とりわけ新しい大統領の最初のものは注目度が高い。

しかし、2年目3年目と進むにつれ、書いてあることと実際に行われていることのかい離が広がるのが常でもある。加えてトランプ政権は「コア支持層受け」を最重要視する。中国とのディールで勝ちにこだわるあまり、同盟国や友好国が置き去りにされたりしないだろうか? 

トランプ政権はとりわけ、言葉でなく行動で見ていく必要があるが、トランプ大統領の米国第一主義安保戦略“おにぎり”は、握りがゆるくて脆そうな気がしてならない。