航空自衛隊F-2戦闘機の後継となる次期戦闘機(F-X)の開発をめぐり、河野太郎防衛相は31日の記者会見で「戦闘機のインテグレーション(全体)を担当する機体担当企業が、アビエーション(飛行性能)やエンジンについても責任を持つ『シングルプライム』体制をとる」と明らかにした。

河野防衛相・7月31日
河野防衛相・7月31日
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次期戦闘機(F-X)は、空対空、空対艦、空対地など、全てに対応できるマルチロール機で、ネットワークシステムで連携した戦闘において主力となる。2035年ごろ退役を始めるF-2と同数の90機程度の調達が想定され、総予算は数兆円となる一大プロジェクトだ。

「シングルプライム」は、防衛省が日本企業1社と単独契約する形で、F-15Jなどのライセンス生産を行っている三菱重工が主契約企業として受注する可能性が高い。主契約企業は、全体の設計や開発にあたり、共同開発に参加するアメリカやイギリスの企業などを統括する。日本企業が開発の基幹部分の担うことで、国内防衛産業の技術レベル向上や「日本主導」をアピールすることが狙いだ。

一方、1980年から運用されているF-15Jの近代化改修は、三菱重工とボーイングが受注した。防衛省は、2020年度予算で2機分の改修費、約390億円を計上していて、射程の長い巡航ミサイル(スタンド・オフ・ミサイル)の搭載、電子戦能力の向上などが行われる。

空自幹部は「かつて、F-2は空対艦と空対地、F-15は空対空とすみ分けがあったが、F-35も含めてマルチロール機になり、柔軟な作戦ができる一方、パイロットもマルチな能力を求められる」と指摘する。「敵基地攻撃能力」の保有を含みうるミサイル抑止議論も進む中、高い能力を持つ戦闘機を乗りこなせるパイロットの育成も急務だ。

(画像は近代化改修したF-15Jのイメージ ボーイング提供)

政治部
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