体外受精は増加の一途

ドラマ『隣の家族は青く見える』で奈々(深田恭子)は人工授精に4度失敗し、今回は医師から、体外受精へのステップアップを薦められます。

しかし、夫である大器(松山ケンイチ)は「体外受精は、段違いに奈々の負担が増える」と、当初は反対します。大器は知らないのかもしれませんが、現実には体外受精を受ける人は急増しています。

日本で2015年に行われた体外受精は42万4151件、出生数は5万1001人。治療件数も出生数も過去最多を更新しています。(日本産科婦人科学会調べ)

何と、我が国の赤ちゃんの約20人に1人が体外受精で生まれているのです。
 

 
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女性の卵管を使用せず、体外で代行

一般不妊治療は女性自身の卵管を使用した治療法ですが、体外受精は卵管の機能を体外で代行する治療法です。

具体的には、卵子を採卵して体外で受精させた後、必要期間培養し、体内に戻す治療法です。

体外受精の成功率を上げるために、まずは出来るだけ質の良い卵子を卵巣内から採ることが重要です。

また、一つの卵では妊娠効率が悪いため、採卵する前に、排卵誘発剤で卵巣を刺激し、複数の卵胞の発育を促します。

採卵の2日前には卵を成熟させ、採卵を可能とするための薬を使用します。薬は、その日の21時〜23時頃に使用するのが一般的です。採卵は、その約34〜36時間後、排卵がおこる前の午前8時~10時頃に行われます。
 

 

超音波プローブという医療器具に採卵専用の細い針をつけ、経膣エコーで卵胞をみながら針で卵胞液を吸引し、卵胞液の中に卵があるかを顕微鏡で確認します。

麻酔は局所麻酔もしくは静脈麻酔です。静脈麻酔の場合は投与後すぐに眠った状態となります。発育卵胞数によって異なりますが、採卵時間は通常であれば3~15分です。

ですから、体外受精のための採卵は、基本的に日帰りで受けられます。
 

卵子と精子をシャーレの中へ…

もちろん男性もやることがあります。

採卵当日は、自宅または医療機関で採取した精液も準備しておきます。

精液からは運動性の高い精子を取り出し、シャーレの中で卵子と精子を受精させます。受精が確認できた受精卵(胚)は、専用の培養液で培養します。

新鮮胚移植を行う場合は、育った受精卵(胚)の中で、形態良好な胚を採卵後2〜5日目に子宮に移植します。胚移植は人工授精と似た手技で、痛みや出血はほとんどありません。
 

受精卵は凍結保存も可能!

体外受精は、採卵した複数の卵子に行いますが、多胎妊娠による母児双方へのリスクを避けるため、子宮に戻せる胚は、原則1つとなっています。(ただし、35歳以上の女性や、胚移植が2回以上不成功だった場合は2つ移植を検討できます)

では、子宮に戻さなかった受精卵はどうするかと言うと、凍結保存しておくことが可能なのです。

子宮内膜の状態が、着床に適した環境ではないと判断された場合にも、胚を凍結保存します。

凍結胚は、子宮内の環境を整えた上で融解し、あらためて胚移植を行います。胚移植を終えたら、7〜14日後に血液検査や尿検査によって、妊娠判定を行います。

妊娠していれば、さらにその1週間後に経膣エコーにより胎嚢の位置や数を確認します。順調であれば、さらにその1週間後には胎児心拍が確認できます!
 

妊娠率と費用は?

気になる妊娠率はどうなんでしょうか。

体外受精の妊娠率は、女性の年齢によって異なります。

2015年の日本産科婦人科学会のデータでは、35歳以下では、移植あたりの妊娠率は約38〜45%ですが、40歳で約26%、44歳で10%以下となります。年齢を重ねると妊娠率が低下することがわかります。

費用についてですが、体外受精には健康保険が適用されず、全て自費扱いとなります。

医療機関などによって費用は変わりますが、注射や診察費用なども入れると1周期あたり40~80万円程度はかかると考えておきましょう。

決して安い金額ではありませんが、今回、奈々も申請していたように、費用の一部を助成する制度があります。国には、「特定不妊治療費助成制度」という不妊治療を対象とした助成金制度があります。

また、自治体によっても助成金制度が設けられていることがあります。

自治体のホームページなどをこまめにチェックしておくことをおすすめします。
 

はるねクリニック銀座 院長
清水真弓