ラーメンには欠かせない「めんま」。

放置された竹林から、これまで味わったことがないような「めんま」作ろうと奮闘している企業が静岡市にあります。

「食を通して環境保全を」社長の思いに迫りました。

静岡市葵区の郊外、麻機(あさはた)地区。

この辺りの竹林を所有する金刺さんです。

竹林所有者・金刺稔さん 「ミカンを4、5年前までやっていて、ミカンを育てていた時は竹はなかったです。やめた途端、1年目から生えてます」

1年で3メートル以上も伸びる竹。

今では約15メートルまでのび、手入れをしきれず放置されていました。

かつて県中部で盛んだった竹産業。

しかし、50年ほど前から価格の低迷や後継者不足で成り立たなくなり、多くの竹林が放置されています。

県の調査では、2017年の竹林の面積は2000年の1.5倍にあたる約7600ヘクタール。

整備されていない竹林は雨になると地滑りを起こしやすく、土砂崩れがたびたび発生してきました。

竹林所有者・金刺稔さん 「(竹林管理を)誰かに頼むといっても、何かを育てているわけではないので、お金をかかってしまうのでこういう状態。全然、先行きは見えない状態ですよね」

金刺さんのもとを訪れた一人の男性。

「竹ありますか?」

市内で漬物店を経営する小泉幸雄さんです。

放置竹林を使って、あるものを作ろうとしていました。

季咲亭・小泉幸雄社長 「メンマを作ろうと思って様子を見に来ました。地域課題として竹害をきいたので、何ができるかと思うと、メンマを作る事で竹害を少しでも減らせたらいいかなと」

メンマづくりに使用するのは、2メートルほどの若い竹。

小泉さんは県内の竹林の所有者に交渉し、春先にかけて竹を伐採しました。

季咲亭・小泉幸雄社長 「ここに入っているのが、味付け前の塩漬けのメンマです」

杉村祐太朗記者 「すごい量が入っていますね」

季咲亭・小泉幸雄社長 「約2トン作らせてもらいました」

伐採した竹は、洗浄・加熱処理して2週間塩漬けに。

その後、漬物店の加工技術を生かし、竹の乳酸発酵を生かした酸味の強い味つけを施します。

発案から3年、県内の放置竹林を使った「静岡めんま」が完成しました。

7月から県内のスーパーで販売が始まっています。

ヒバリヤ高部店・宗像嘉人店長 「お客様からの問い合わせもあり、非常に好調な売れ行きです」

静岡市も、地産地消や環境保全の取り組みが、市が推進する「SDGs」の考えに当てはまるとしてPRに協力しました。(SDGs・・・持続可能な開発目標)

市役所で開かれた試食会では・・・

静岡市・田辺信宏市長 「とってもシャキシャキして歯ごたえがあっておいしい」

季咲亭・小泉幸雄社長 「静岡の竹です。まいうー」

さらに食堂では・・・

茶木魚(静岡市役所)スタッフ 「これは”静岡めんま”を使った炊き込みごはんです。他のメンマと違って、すごく竹に近い色合いなので、色合いを生かしてすごくきれいなごはんになっていると思います」

メンマコロッケやメンマパンも登場。

男性客 「おいしい、歯ごたえがある」

女性客 「環境にやさしい取り組みで、かつ食べ物として提供できるのは一石二鳥ですごくいいと思います」

別の女性客 「こんなにおいしいものが放置されていたのか。静岡のメンマがあることを知れて良かった」

食堂を運営するヤタロー・鈴木梨緒さん 「県産だから安心して食べられる。メンマには食物繊維がすごく豊富で、炊き込みご飯はメンマの汁ごと使ったので、本来失われてしまう栄養素もたっぷり詰め込んだ一品です」

小泉さんは、”静岡めんま”の収益の一部を竹林の整備に充てていくつもりです。

季咲亭・小泉幸雄社長 「竹害で困っていたり、土砂崩れでおびえている人、県内ではそういった人が多く見受けられる。食べる事で地域課題を解決できる商品の利点があるので、県民みなさんに食べてもらいたい」

食べる事が環境保全につながる。

小泉さんの挑戦は、私たちが食と環境について考えてみる機会となりそうです。

めんまは9割以上が中国産ということで、「静岡めんま」は味や食感を差別化したということです。