PCR検査に世田谷区が新モデルを提案

国内で新型コロナウイルスの感染者が急増する中、頼りになるのがPCR検査。しかし保健所などの判断が下りず、「PCR検査を受けられない」という声も、まだ多く上がっている。

そんな中、自由診療でのPCR検査を始めた病院がある。東京・池袋の「まめクリニック」だ。

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「まめクリニック」では、7月8日から“症状がなく、濃厚接触者でもない人”を対象に自由診療のPCR検査の受付を始めた。検査は1回3万5200円、診断書の発行には1通3000円の費用がかかるが、検査を求めてやってくる人が後を絶たないという。

倉田大誠アナウンサー:
この検査で陰性と出ても、検査をした後に感染し、陽性となることも考えられます。可能であれば継続して検査を受けることが理想なんですが、金銭面のハードルなどがありますよね。これに対して、非常に画期的なモデルを構築しようという区があります。それが、東京都の世田谷区です。

倉田大誠アナウンサー:
東京大学先端科学技術研の児玉龍彦名誉教授が提案し、打ち出された“世田谷モデル”。キーワードはPCR検査を「誰でも いつでも 何度でも」。非常に安心感のあるキーワードですね。きょう(30日)は、世田谷区の保坂展人区長と中継を結んで、“世田谷モデル”について詳しく伺っていこうと思います。

1日の検査件数を2000~3000件に

安藤優子:
保坂さん、“世田谷モデル”とは、具体的にどれくらいの規模で、どのような事をお考えになっているんでしょうか?

保坂展人区長:
世田谷区では、第一波のピーク時の4月に「検査に時間がかかる」「待たされる」という声がありました。極力検査をスムーズに受けられるようにしようということで、保健所だけではなく、地域のクリニックで診断してもらえば医師会の運営するPCRセンターで、その日のうちに検査してもらえる。こういった形で5月、6月と続けてきました。しかしここへ来て、きのう(29日)は47人の陽性の方が出てきました。しかもそれが、上向いてきているんです。

保坂展人区長:
そうすると、世田谷区で、1日で検査した件数は最大で300件ですが、この300件でもあふれてしまう。一応1日500件、600件にしようと努力してきたんですが、そこに児玉先生から「思い切って1桁上げて、検査件数を1歩前に出そうじゃないか」と提案を頂いたということなんです。今の検査数200~300件を1桁あげるということは、当面は2000~3000件を目指して拡充していこうと考えています。

安藤優子:
2000~3000件とは大変な数です。世田谷区としては、これを実現するためにどうするおつもりですか?

保坂展人区長:
PCR検査がどうして増えないのかという議論は、この数カ月何回もあったと思います。1つの制約は、やはり保健所を中心とする仕組み。世田谷区の保健所でも一生懸命やっていただいていますが、ほとんど寝る時間もない状態になっています。そこにさらに検査を増やすことは、できないわけです。そのため、保健所の外側に大量の検査をスピーディーにやる仕組みを作る。具体的にはオートメーションで100単位で検査を回していけるような機器を導入できないだろうか、それが児玉先生の提案の中にあります。これを第一段階として、世田谷区は今は300件が精一杯ですが、とりあえず500件をめどに拡張していきたいと。

個人負担がないPCR検査を目指す

保坂展人区長
次の段階として、「いつでも 誰でも 何度でも」というのは、米ニューヨーク州で実現しているわけです。やはりこれだけ新型コロナが広がってくると、気を付けて避けられる働き方、テレワークなどが必要なんですが、どうしても人との接触が不可避である仕事があります。例えば医療関係者や介護施設、保育士や学校の先生、こういう人たちに「社会的な検査」として、定期的にPCR検査を受けていただくと。世田谷区の中で、保育で働いている人だけでも計算してみたら1万人いるんです。

安藤優子:
そんなにたくさんの人がいるんですね。この検査は全て無料で行うということでいいんでしょうか?

保坂展人区長:
社会的な検査というのは、社会の継続のために必要な人たちの検査ですから、これはお金をかき集めて、負担がないようにしたいと思っております。

安藤優子:
世田谷区の予算の中で、その社会的な検査を行うつもりだということですか?

保坂展人区長:
予算の組み方については民間からの貢献も大いに頂きたいですし、寄付も含めて集めていく。もちろん区の事業であれば区の負担が必要になってきますが。今まさにプロジェクトチームを作って、その財源の捻出の仕方やルール、1人あたりどういう費用でできるのか、詳細を詰めている状態です。

保坂展人区長:
世田谷区は離島ではなく、地続きで、都心と往復している人が多いわけです。世田谷だけでコロナを制圧することは不可能です。しかし、その世田谷区がやることによって「東京都にも国にもこういうやり方ができるんだ」と。このモデルを作ることによって、GoToトラベルの手前で、まずは安全なチェックができる会社にしていこう、費用対効果で優先してお金も投入していこうという流れを作りたいし、そうしてほしいと思っています。

安藤優子:
最初は直接人と関わらなければならない職業の人たちを優先されるということですが、最終的には「ちょっとおかしいかも」「念のため」という方にも、何度でも受けられるような検査体制を念頭に置かれているということですね?

保坂展人区長:
これはニューヨークもそうですし、世界でもそういう形で実現できているところがあります。お金はかかりますけれど、私は最大の経済対策だと思っております。安心して働けて、街が歩けるということに、その土台をつくるということに、はっきりお金を使うべきだと思っております。

安藤優子:
なるほど。それこそが、お金を使うべき最優先の部分だということですね。

(「直撃LIVE グッディ!」7月30日放送分より)