「フェイクニュース垂れ流しのメディアがあることは問題だ」

「私はキャスターの〇〇です。このニュースは地域の皆まさに大きな責任があり、その意味で質の高い公平な報道をお伝えできることを誇りに思うものです。しかし、最近無責任で一方的なニュースがこの国にはびこっていることに懸念を抱かざるを得ません。
ネット上では偏った嘘のニュースが当たり前のように流布されていますし、そうしたフェイク・ニュースの真偽も確認しないでタレ流ししているメディアがあることはもっと問題です。
不幸なことに、メディアの中にはその立場を利用して偏った考えや政治思想を押し付けて人々の考え方を支配しようとしていますが、これは民主主義にとって極めて危険なことです。(後略)」

先月から米国のシンクレア放送系列の地方テレビ局で、ニュース中にキャスターがこういうコメントを伝えはじめた。

米国で「メディアを信頼できる」人はわずか32%

シンクレア放送は全米に193のテレビを系列下に持つ米国最大のテレビ・ネットワークで、トランプ大統領を支持していることで知られる。

この放送にまず反応したのが、トランプ大統領が『フェイク・ニュース』と目の敵にしているCNNで、「コメントはトランプ大統領の口ぶりそのままで、なおかつキャスターの言葉のように聞こえるが、実は放送局側で用意された文章を強制的に読まされているのだ」と批判した。

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その一方で、トランプ大統領はご機嫌で
「シンクレアを批判するフェイク・ニュースはひどい嘘つきの集団だ。シンクレアの方がはるかに優れている。CNNやNBCはジョークに過ぎない」(上記ツイート)
とツイートした。

折も折、米国人のメディアに対する信頼度は過去最低水準になったと世論調査会社ギャラップが発表した。
ギャラップでは1977年以来調査を行なってきているが、当初72%あった国民のメディアに対する信用度もその後年々減少する一方で、一昨年には「メディアを信頼できる」とした人はわずか32%になってしまったと言う。

レーガン政権が放棄した「放送の公平原則」

こうしたメディア同士の非難合戦を見ると米国民が見放すのも無理ないとも思えるが、その背景には一つの出来事が放送界にあったように思う。

それは、米通信委員会(FCC)が1987年に放送番組の「公平原則」を放棄したことだ。
「論争を呼ぶ問題は公平に扱い、少数意見にも放送の機会を与える」という原則だったが、衛星放送など放送も多様化したのでその必要はないと、レーガン政権時代に放棄された。

これをきっかけに放送の政治化が進み、民主党系のCNNや共和党系のFOXニュースなどに別れ、他のメディアも巻き込んで論戦を展開してきたのだが、それが行き過ぎて国民の不信を買うことになってしまった。

「放送の政治的公平性」撤廃を検討する安倍政権

実は、日本にも「政治的公平性」などを規定した放送法4条がある。

安倍政権はその撤廃を検討しているとも伝えられているが、果たしてどのような効果が期待できるというのだろうか。

下手をすると、米国のようにテレビ局間の批判合戦が始まり、その結果視聴者離れを加速させることにもなるのではないか。