世間はいま忘年会シーズンのまっただ中。
あちこちの飲食店から「カンパイ!」の声が上がっているが、ネットでは飲食店の悲痛な叫び声が問題になっている。

「無断キャンセル」問題がまた再燃?

今年12月、大阪梅田のとある飲食店は、30人の予約で貸し切りになっていた。

お店側は真心こめて30人分の料理を用意していたが、約束の時間になっても誰一人来店しない。電話をかけても連絡が取れず、結局いわゆる「無断キャンセル」になってしまったという。

このような「無断キャンセル」は、これまでにもたびたび注目を集めてきた。

去年2月には、埼玉県のパスタ店で40人の予約が「無断キャンセル」となった。
この時は、余った料理を無料で提供するとお店がTwitterで呼びかけたことで注目を集めた。

新歓コンパのシーズンである同年4月には、大学のサークルメンバー50人の予約を「無断キャンセル」された居酒屋が、食材が無駄になったと怒りのツイート。

去年の忘年会シーズンには、六本木のイタリア料理店で15人×6000円の予約が「無断キャンセル」。
売り上げがゼロになってしまったというニュースは、さまざまなネットメディアに転載された。

「無断キャンセル」対策の決め手はあるのか

様々なメディアが「無断キャンセル」を取り上げるようになり、対策として保証金を預かる予約サービスも登場している。

また、店側が「無断キャンセル」した人の電話番号を登録して共有するWebサイト「予約キャンセルデータベース」の是非について論争が巻き起こったこともあった。

それなのに、今再び同じような事態が起きてしまったのはなぜなのか?法律で取り締まることはできないのか?弁護士法人フロンティア法律事務所を設立し、自らも飲食店を経営している黒嵜隆弁護士と永田朋之弁護士に話を聞いた。

損害を立証するのは難しい

ーー無断キャンセルは法的に問題ないのか?

黒崎弁護士:
まず前提として、予約した時点で料理を提供してもらうという「契約」が成立します。その「契約」を一方的に破棄したことによってお店に損害が出たら、基本的に損害賠償請求を請求することが可能です。

ーー店側が顧客を訴えたというニュースをほとんど聞かないのはなぜでしょうか?

永田弁護士:
実は、お店にいくらの損害が出たのかというのは立証が難しいんです。無断キャンセルがあった場合でも、例えば 用意した食材を他のお客さんに出して、ある程度利益を得たとなると損害はいくらなのか?

そこを争うのは すごく大変です。

一般的な電話予約では、名前や電話番号を伺いますが、それが本当の事なのかは分かりません。請求の相手を確定できるのかという点も難しい問題です。

また、被害額が少ない場合、そんなに時間と労力をかけて請求するかという問題もあります。

やはり客商売なので、「また来てくれるかもしれない潜在的なお客様」に対して、あまり強く言えないという事情もあると思います。

飲食業者へのアドバイス

ーー無断キャンセルを防ぐためにはどうしたらいいのか?

黒嵜弁護士:
これまで同じような相談を受けることもありました。
そういう時は、できるだけ予約した人の正確な情報をいただくことが大切だとアドバイスしています。

名字だけでなくフルネームを伺うとか、会社の忘年会・新年会などでは携帯電話以外の電話番号を聞くとか、上手に情報を収集するよう勧めています。

また、住所や会社名などを書き込める「予約票」を作ってメールで送ったり、予約できるサイトでも同じような項目を用意して記入してもらうことが有効でしょう。

自分の情報をお店側に伝えることで、お客様が「無断キャンセル」しにくくなるというメリットがあります。

一方で、予約が煩雑になってハードルが多少高くなるというデメリットもあります。

もうひとつ、メールやホームページでは、ちゃんとキャンセル料について明示しておくことも有効でしょう。

永田弁護士:
全ての予約で情報を網羅的に伺うのは難しいかもしれませんが、特に規模の大きな予約だけ詳細な情報を提供していただくという方法もあります。
ただ「無断キャンセル」は、なかなか有効な手立てがないというのが現状なんです。

「無断キャンセル」はこれからどうなる?

黒嵜弁護士:
現状では「無断キャンセル」がインターネットなどで話題になったり、金額の大きな「無断キャンセル」がニュースで報じられることが、ある程度の抑止力になるのではないかと思います。

無断でキャンセルすると、お店はこんな被害があるとか、ペナルティの可能性があるという報道を通じて、現実に起きている身近な問題として多くの人に考えて頂きたいですね。