習近平主席に爪の垢でも煎じて飲ませたい位の表情

記念品の白いゴルフキャップにサインをしたトランプ大統領
記念品の白いゴルフキャップにサインをしたトランプ大統領
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横田基地での得意げな顔、ゴルフ場での破顔、ビジネス・リーダーを弄った時のやんちゃ顔、皇居での神妙で控え目な笑顔、拉致被害者及び家族と面会した後の厳しくも哀しげな表情、共同会見での疲れ気味の顔色、貿易不均衡に対する不満を口にした時の目付き、、、
想像したようにと言うべきか、意外にもと言うべきか、日本滞在中のトランプ大統領はなかなか行儀良く、かつ、ご機嫌で、中国の習近平主席に爪の垢でも煎じて飲ませたい位の、人間的で豊かな表情を見せてくれた。

天皇皇后両陛下と面会するトランプ大統領
天皇皇后両陛下と面会するトランプ大統領

トランプ氏らしい(?)ハチャメチャ発言は「安倍は北のミサイルを(いずれ)撃ち落すだろう」(旨)という部分位だったろうか?

この発言や聴衆を弄るジョーク等はアドリブだったろうが、その他の発言はメモもしくはプロンプターをしっかり確認していたように思えた。金正恩氏を“小さなロケット男・a little rocket man”などと揶揄することも無かった。対北朝鮮政策で日本との連携をこれ以上無いほど強調する姿や、拉致問題被害者・家族に心から同情している様子は、むしろ好ましく映ったと正直に認めざるを得ない。

騙されてはいけないと思いながらも“結構イイ奴じゃないか“と感じた方も少なくないに違いない。

アメリカ経済の好調ぶりばかりを強調するトランプ氏の心の内

しかし、トランプ大統領の内心はむしろ憂鬱だったとしても不思議ではない。

東京に向かうエアフォース・ワンの機中で予定外の記者懇談をした際も、横田基地で兵士を前にしたスピーチでも、駐日米国大使公邸でのビジネス・リーダー達との会合でも、トランプ氏は、まるで自らの功績であると言わんばかりに、アメリカ経済の好調ぶりをしきりに強調していた。(外遊中に国内経済データを何度も羅列して自慢し強がるのはかなり珍しい)

だが、この経済の好調はトランプ氏が当選する前から予想されていたことで、クリントン氏が大統領になっていても大差なかったはず。他に目を転ずれば、ロシア疑惑関連での元側近の訴追、パラダイス文書で明るみに出た閣僚とロシアの密な関係、医療保険改革の行き詰まり等…、頭痛の種は多い。NAFTA見直し、TPP離脱、パリ協定脱退は、支持層にアピールするものはあるが、何か良い物を産み出した訳ではない。(むしろ、世界規模では害悪を撒き散らしている)つまり、成果らしい成果に乏しく、オバマ時代からの流れで好調な経済状態を自慢するしか無いのであろう。

そして、肝心の支持率は40%を切っており、就任9ヵ月という現時点で比較すると歴代ダントツの最低である。
これで憂鬱で無かったとすれば恐ろしい程の鈍感である。

だからこそ、“盟友・Shinzo”のもてなしと協調演出は心地良く、ご機嫌だったのである。そして、“盟友・Shinzo”相手だったからこそ、貿易赤字や武器購入の話も持ち出し、言うべきことを言う姿をアメリカ国内向けに発信したのである。

トランプ嫌いのニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙も、今回の訪日に関して辛辣な評価は、これまでのところ、していない。
両国政府にとって幸いなことに訪日は、予定通り成功させることができたのである。

ただし、本当の成否はまだわからない。この先の米中・米露首脳会談の結果や今後の北朝鮮問題の展開次第である。

日米共同記者会見
日米共同記者会見

軍事力行使の可能性をはじめから否定した政権は無い

少し視点は代わるが、トランプ政権の「全ての選択肢はテーブルの上にある」という姿勢を全面的に支持する安倍首相に対して、これを危惧する声が日本国内にある。

ブッシュ(子)政権のイラク侵攻等に同調し過ぎて“プードル”と揶揄されたイギリスのブレア元首相の姿を重ね合わせる向きもあるのだろう。
しかし、「全ての選択肢はテーブルの上にある」という姿勢はアメリカの歴代政権も同様に示していた。逆に言えば「全ての選択肢が選択可能な訳ではない」と軍事力行使の可能性を始めから否定した政権は無いのである。

そんなことを言えば、喜ぶのは北朝鮮である。

安倍首相が言うように「北朝鮮の政策を変えさせるため」「国際社会と緊密に連携して、あらゆる手段を通じて北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていく」のが、落としどころを探るのを忘れてはいけないが、正しいアプローチなのである。きっと、、、。