英国では2040年までに”全面EV化”って本当なの?

「そのニュースの見出しは“英国では2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売が終了する”というものでした。しかし実際は、従来型の車の販売を終了させるという意味で、ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドは例外扱いされます。」

日本でも転電されたので御記憶の方も多いと思うが、今年7月、フランスに続きイギリスも2040年に化石燃料車の販売を全面禁止する方針、という報道があった。一部では、すわ“全面EV化”か?と驚きの声も上がったのだが、実情はそれほど単純ではないようだ。

未来の自動車産業はエキサイティング!

27日に開幕した東京モーターショーの会場で、筆者は、イギリス自動車製造・販売者協会CEOのマイク・ホウズ氏にインタビューをする機会を得た。正式開幕に先立つプレス・ビューの日であった。冒頭の発言は、このホウズ氏のものだ。

お断りしておくが、自動車絡みの取材経験は筆者には数えるほどしか無い。運転なら40年程の経験があるのだが、ホウズ氏と旧知の間柄になったのもロンドン駐在時にBrexit関係の取材で知り合ったからで、自動車の取材ではなかった。なので、プロの目から見ればとんちんかんな文章になるかもしれないが、お許しいただきたい。
ホウズ氏のインタビューに戻る。2040年の道路交通の姿はどうなっているか、尋ねた。

「2040年になっても内燃エンジンを積んだ車は存在するでしょう。電気自動車はもちろん、40年になっても販売されているハイブリッド、プラグイン・ハイブリッドと共存しているでしょう。」
「もしかすると、代替燃料車も走行しているかもしれません。」
「現在、車にどうやって動力を与えるか、如何に運転するか、或は、自動化の進展に伴い如何に運転を省くか、といった様々な面で、自動車産業には大きな変化が起きています。未来は非常にエキサイティングなものになるでしょう。」

本文のタイトルに使った“Alternatively-Fuelled Vehicles”を“代替燃料車”と訳してみたのだが、訊いた所、水素燃料やバイオ燃料を使った車などを指すということだった。つまり、2040年になっても、EV一色になる可能性は低いということだ。 

化石燃料エンジンの車は無くなるの?

「しかし、いずれ、伝統的な化石燃料エンジンの車は無くなる?」

「それは予測が難しい問題です。英国の有名なスポーツカーや超高級車のことを考えてみてください。彼らも次世代の動力を使う方向に動いています。しかし、彼らは内燃エンジンを改良し、パワーとエンジン・ノイズを向上させるのにも長けています。(消費者が)スポーツカーや超高級車を購入するのはそのエンジン・ノイズにも魅かれるからです。」

 ホウズ氏はマクラーレンやアストン・マーティン、ランド・ローバー、或は、イタリアのフェラーリ等が完全EV化するのは想像しにくいとも言った。

余談になるが、上記“次世代の動力”と訳した部分の英語が当初全くわからず苦労した。
ホウズ氏は“they are moving into alternative power trains”と言っていたのだが、恥ずかしながら、何故 “trains”が自動車の話に出てくるのか、ちんぷんかんぷんだった。

仕方がないので、氏に同行していたイギリス自動車製造・販売者協会の広報担当者に尋ねたところ「“a power train”とはエンジン、もしくは、車両に動力を与えるモーターのこと」と教えてくれた。 

日本の自動車メーカーがEV競争に失敗したら

東京モーターショーではEVとAIが花盛りだ。
仮に未来の道路がEV一色にはならないにせよ、EV化に乗り遅れると大変なことになるのは容易に想像がつく。
我が国にとって基幹中の基幹である自動車産業が変調をきたすと“国難”に繋がる可能性さえある。

「自動車メーカーがEV競争に失敗したらどうなる?」
「どんな会社も得意分野を見つける必要があります。それは電気自動車かもしれません。代替燃料車かもしれません。未来の車は電気自動車だけとは思いません。幅はあるでしょうが、それぞれの自動車メーカーが技術的な得意分野を見つけ、消費者の要望に応え続けると思います。そうすれば大丈夫です。」

要は、EV化・次世代エンジン化にきちんと対応すれば大丈夫ということになる。ただし、当たり前のことだが、その当たり前のことを達成できるか否かは、また別の問題になる。
ガソリンやディーゼル・エンジン車と比較すれば、EVへの新規参入は技術的にはハードルが低いと言われている。
イギリスでは、あの掃除機メーカーのダイソンも電気自動車に参入すると発表したと聞く。

もはや、こうした新規参入は驚きでも何でも無い。日本が誇る自動車メーカーが、米・欧・中・韓などのライバル企業・新規参入企業に負けることなく、隆盛を保ち続けてくれることを願って止まない。