北の核兵器開発プログラムを破壊する唯一の方法とは

アメリカの統合参謀本部の幹部が作成した連邦議会議員有志宛の書簡がある。日本でも週末に一部で報道されたが、ワシントン・ポスト紙のウェブを覗いていて筆者はその存在に気付いた。

ポスト紙の記事のタイトルは“Securing North Korean nuclear sites would require a ground invasion, Pentagon says”。訳すと、“北朝鮮の核関連場所を確保するには地上からの侵攻が必要になる-国防総省”であろうか。

書簡の原文には“The only way to“locate and destroy-with complete certainty-all components of North Korea’s nuclear weapons programs” is through a ground invasion.”。
“北朝鮮の核兵器開発プログラムの全ての構成要素の、絶対確実に、位置を把握し破壊する唯一の方法は地上からの侵攻である”と記されている。

要するに、北朝鮮の核を実力で排除するなら地上軍が必要になる、という想像に難くないことを改めていっているのである。

全面戦争になれば数十万人の犠牲者!?

その詳細について、書簡は「北朝鮮の核による反撃に対処し、地下深くの施設に隠されている彼らの核兵器を排除する為の我々の能力についてのブリーフィングは非公開で行うのが最適と考えている」と述べており、我々には窺い知れない。
北朝鮮の何処に何が隠されているのか、アメリカは必死になって情報を収集しているはずだが、イラク戦争後の大量破壊兵器探しが虚構に基づく徒労に終ったことを思い起こすと、この点では正直不安にならざるを得ない。

さらに書簡は、生物・化学兵器(毒ガスや細菌兵器)について、北朝鮮はいずれの兵器も保有しており、使用する可能性はあると指摘している。
南北の軍事境界線からソウルまではおよそ35マイル(50キロ)余り。そのエリアに2,500万人が暮らしている。

有事の際に犠牲者がどのくらい出るのか?

書簡は「北朝鮮の攻撃のタイプ・長さ・激しさ次第で、想定は大いに異なってくる。」「どの程度事前に攻撃を察知できるかで、防空壕などに避難できる市民の数も変動してくる。」「韓国や日本、グアム、そして、特にソウル首都圏に対する、彼らの長距離砲やロケット、弾道ミサイルによる攻撃能力を、我々は常に注視している」という。

 被害想定は公式には公表されていないはずだが、全面戦争になれば数十万人の死者が出るというのが大方の見方である。

トランプ大統領アジア歴訪中に、北は動くのか

この書簡を読んでいて、少し安堵する記述が2点ある。

一つは「ティラーソン国務長官が率いる北朝鮮への外交攻勢及び経済的圧迫作戦を統合軍は全面的に支援する」
”The Joint Force fully supports the economic and diplomatic pressure campaigns Secretary Tillerson is leading with regard to North Korea.”。

もう一つは「我々が注意深く監視している北朝鮮軍の攻撃態勢に変化は見られない」。
”We have not seen any change in the offensive posture of North Korea’s Forces, something we watch carefully.”である。

言わずもがなであるが、アメリカ政府から発信される、こうした様々な発言のトーンが変わったら要注意である。(ちなみに書簡は10月27日付け。)

 経緯の説明は省くが、この書簡を受け取った連邦議員有志は声明を発表し、「挑発的な発言で外交的選択肢を妨害しアメリカ軍を危険にさらさないようにする必要がある」とトランプ大統領に要求した。

そして、「万が一、大統領が北朝鮮への軍事的選択肢を執るつもりなら、憲法の規定に則り議会に諮るべきだ」と釘を刺した。後者に関しては、その必要が生じる前に、事態が改善の方向に向かうのを願うものである。

余談になるが、トランプ大統領のアジア歴訪中、アメリカ軍は、質・量共にもの凄い兵力をこの地域に集中させているはずである。それを北朝鮮がどう見るか、中国やロシアがどう見るか、そしてどう反応してくるか注目である。