口を閉ざす銀行関係者

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筆者の英国口座から消えた約3,600ポンド=およそ50万円はどこに行ったのか?
どのように口座情報が漏洩したのか?犯行グループはどんな連中か?

いろいろ調べ始めたのだが、銀行関係者は暖簾に腕押しだった。悪人達に弱点を教えてしまうような情報は出したくないというのが建前だったと記憶しているが、個別被害の詳細を銀行は表沙汰にしたくないらしかった。自称・事情通氏は、銀行の口が堅いのは実は広い意味での内部漏洩のケースがあるためだと教えてくれた。

ちょっと眉唾だったが、たとえばキャッシュ&デビット・カードの製造業者や配送業者だって、悪意があれば情報を盗み取れるというのだ。そんなことまで罷り通ってしまうようではカード社会が成り立たないと思うが、サイバー犯罪グループの中には最初から情報を盗む目的で、仲間をそうした会社に送り込む連中がいるのだと言う。

カード情報を盗み取る手口はこうだ!

匿名でしか話を聞けなかったが、とある捜査関係者が教えてくれた犯罪グループがカード情報を盗み取る手口の例はこうだ。

セキュリティー・ソフトをきちんと備えていないレストランやいまだに古いシステムを使っている店等のパソコンにウィルスを送り込む→その店で使用されたカード情報を盗み取る→カードを複製する→不正利用で金を引き出す。

高級店などに客を装ったスパイを送り込み、別の客が使うカードを盗み見る。
或は、スマホを使ってカードを撮影する。→別の仲間が、その客を尾行し、別の店でもカードを盗み見して、情報を集める。ATMに行った場合は暗証番号を打ち込む手もとを盗み見る。

どこかのサーバーにハッキングして、カード情報を大量に盗み取る。
まさに、あの手この手でやっているようだ。

年間450万人がカード被害に合う英国

イギリスの民間団体の推計では、2015年に、何と450万人もが不正行為の被害に遭い、カードの破棄を余儀なくされたという。割合で言うとカード保有者の10人に1人。被害総額は20億ポンド、およそ3,000億円にもなるという惨状である。(£1.00=150で換算)

イギリスではキャッシュレス(非現金)決済がすでに現金決済を上回っているという土壌もある。現金信仰が根強く残る日本では、いわゆる振り込め詐欺型やフィッシングによる被害はあるようだが、本人が全く知らないうちに口座から金が消えたという筆者のような被害の報告はまだないそうである。しかし、デビット・カードが普及するとそうはいかなくなると思われる。もはや誰もがサイバー犯罪被害者になりうる時代なのである。

残高1万ドルの口座情報は約900ドルで闇売買

世界的にも名の知られたサイバー犯罪対策の専門家・ブライアン・ロードさんの話を紹介する。当時、取材したものだ。

「450万人がイギリスでカード被害にあったという数字は想像していたより少ない。実は、サイバー犯罪者達が闇で売買しているカード情報はすでにダブつき気味で、1年前に比べ闇価格は下落している。つまりそれだけ蔓延している。銀行口座情報に関して言えば、例えば残高が1万ドルある口座の情報は約900ドルで売られている。900ドルでログイン情報を買い、他人の金を勝手に送金できるということになる。」

恐ろしい時代である。
ロードさんは、さらに警告した。

「今は、カードや口座情報の漏洩による被害は保険がカバーしてくれるケースが多い。しかし、暗証番号を何年も変えていなかった場合やパソコンのソフトやセキュリティーのアップデートを怠った結果被害にあった場合、補償をしてもらえなくなる時代が来ても不思議では無い。」

筆者は被害に遭って以来、キャッシュ&デビット・カードの4桁の暗証番号は頻繁に変えるようにしている。

サイバー犯罪グループはどこを拠点にするどんな輩なのか?

サイバー犯罪グループは、どんな輩でどんな場所に拠点を置いて暗躍しているのか?
ロードさんは言う。

「(欧州でなら)たとえばウクライナのような国があります。(クリミア問題等)国内に大難題を抱えていて、サイバー犯罪取締りなど二の次になっている国です。犯罪者達はそういう場所を拠点にします。彼らの組織は洗練されていて、捜査当局とイタチごっこを続けているのです。今後まだ15年~20年は暴利を貪り続けるでしょう。犯行がより難しくなるように、我々は努力をし続ける必要があります。」

では、アジアはどうなっているのであろう?
先日、アメリカで開催されたサイバー・セキュリティーに関するシンポジウムで、ある国の組織的な犯罪行為が主要テーマの一つに取り上げられた。

北朝鮮である。
北朝鮮のサイバー攻撃に関して言えば、ソニーの映画を盗み流出させた事件等が知られているが、彼らはサイバー犯罪で外貨稼ぎにも励んでいると、パネリストのアメリカ政府関係者から報告された。

その詳細は近々報告したい。
 

口座からお金が無くなったことに気がついた経緯と、口座の不審な動きはこちらから
https://www.houdoukyoku.jp/posts/20374