島根の地震…気象庁は続発に注意呼びかけ

4月9日午前1時32分頃、島根県西部の深さ12㎞で発生したM6.1の地震では、島根県大田市で震度5強を観測した。

気象庁は,この未明の地震の会見で
「この地域では過去に、大地震発生から1週間程度の間に同程度の地震が続発した事例があることから、揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意するとともに、さらに強い揺れをもたらす地震が発生する可能性もありますので注意してください。特に地震発生から2~3日程度は、強い揺れをもたらす地震が発生することが多くあります。」とこの地域での地震が続発する可能性に言及し注意を呼びかけた。

「続発地震」…過去にも

島根県は、そもそも大地震の少ない地域と言われているが、マグニチュード5~6程度の規模の地震は過去にたびたび起きている。今回の震源となった島根県西部ではこれまで主要な活断層は確認されておらず、未知の断層の可能性も考えられるが詳細は不明である。

その中で気象庁があえて注意を呼びかけた「続発地震」。

この地域で、大きな地震の後、同じくらいの地震が続けて発生したことは過去にどれくらいあるのだろうか。

この日の会見では、1963年に島根県西部で発生したM5.1の地震の際、2時間半後にM5.0の地震が発生した事例などを紹介していた。

ここで言う「続発地震」とは、内陸地殻内の地震で震源の深さは30km以内、地震の規模を示すマグニチュード5.0以上の地震が発生した後、その周辺で30日以内にマグニチュードの差が0.5以下の地震が起きた事例としている。後続の地震のほうがマグニチュードが大きい場合も含まれる。

その前提で過去に起きた地震を振り返ってみると、今回の島根県西部の地震が起きた付近で内陸地殻内の地震の続発事例は、1923年以降で4回あったことが分かる。(1923年1月1日~2018年4月9日まで)

隣接する広島県での1930年12月20日と21日の地震、その後の3回は島根県での1953年6月8日と15日、1954年5月8日と16日、1963年3月31日と4月1日だ。

続発地震が起きた場所は今回の地震の震源からおよそ20km~50kmの範囲内に集中している。

気象庁はこの地域で過去に大きな地震が続発したこれらの事例をもとに、地震からおよそ1週間は同じ規模の地震に注意するように呼びかけを行ったのだ。

気象庁HPより

「続発地震」が特に多いのか

この地域が特に続発地震が多いのだろうか。そこに何か地域的な理由があるのだろうか。
同じ条件で全国で起きた規模の大きな続発地震は下記の地図で青い点が示す563事例だ。

そのうち6%にあたる35事例では発生した最初の大きな地震よりも、その後により規模の大きな地震が発生している。

地図を見ると北海道から九州まで全国各地で起きていることが分かる。

それぞれの地域の共通点などはあるのだろうか。

質問を受けた気象庁の地震情報企画官は、共通のメカニズムなど関連性、規則性などは見出せず、あくまで現象として地図にある地域で続発地震が過去に起きているということだとしている。

気象庁HPより

熊本地震後変わった「余震」の概念

気象庁が大きな地震のあと、防災上の注意点として、「地震からおよそ1週間は同じ程度の規模の地震に注意するよう」呼びかけるようになったのは、2年前の熊本地震のあとからだ。

あのときは「本震」だと思われた最初の地震が「前震」で、その後に起きたより大きな地震が「本震」に変更になったり、大きな揺れが何度も続いた歴史的な地震だった。

 詳しく振り返ると、2016年4月14日21時26分頃、熊本県の日奈久断層東部の深さ11kmで発生したマグニチュード6.5の前震と、およそ28時間後の4月16日1時25分頃に布田川断層の深さ12kmで発生したマグニチュード7.3の本震によって、観測史上初めて2度も最大震度7を記録し、さらに最大震度6強の地震が2度、6弱の地震が3度も発生した。

 当時、気象庁は、16日未明の地震が「本震」で、14日の地震は「前震」であったと考えられるとする見解をのちに発表している。

本震と余震を入れ替える訂正は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の時にもあったが、海溝型地震とはメカニズムが違う内陸地殻内の地震でマグニチュード6.5以上の地震の後にさらに大きな地震が発生するのは、地震の観測が開始されてから初めてだった。

 熊本地震の発生までは、大地震が発生した場合には、それよりも小さい地震(余震)が発生することを前提としていたため、大地震のあとの防災上の呼びかけは余震への注意を基本としていた。

しかし、最初の大地震による強い揺れと同程度の揺れとなるような規模の地震が発生した事例も少なからずある。熊本地震以降、気象庁は、防災上の呼びかけとして最初の大地震と「同程度の地震」また「さらに大きな地震」発生への注意を呼びかけることに変更した。

 災害を経験する中で教訓を生かし将来の被害を軽減するために、今回の島根県西部での地震に関しても気象庁は、より踏み込んで過去の続発地震の事例をもとに、この地域では大きな地震が続けて起きることへの警戒を強く呼びかけたのである。