株式会社メディプラス研究所が今年の4月に発表した「2017年度版 ストレスオフ県ランキング」というものをご存じだろうか?

このランキングは、全国の20~69歳の女性約7万人を対象に「ココロの体力測定」(ストレス指数チェック)を実施し、ストレス度を算出。その結果を都道府県ごとに比較している。

今年もっともストレスの少なかった都道府県は愛媛県で、最下位は宮城県とのことだが、それぞれどんな特徴があるのだろうか? ちなみに筆者は宮城県出身、である…。

ストレスオフランキング1位の愛媛県
“セルフライフバランス”の満足度が高い

「愛媛県の特徴としては、女性にとって大事な自分の時間をもって自分が自由に生きていけるという“セルフライフバランス”のストレスが少ない傾向がありました」

そう話すのは、前出調査を実施した株式会社メディプラス研究所の取締役所長・吉田典央(よしだのりひろ)さん。

 
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■愛媛県女性の3つのライフバランススコア
・セルフライフバランス:第1位
・ワークライフバランス:第5位
・ソーシャルライフバランス:第7位

「昨年1位の鳥取県は、“ソーシャルライフバランス”、つまり社会とのかかわり方や人間関係のストレスオフ度がぶっちぎりで高かったのですが、愛媛県はこの項目で7位。低いわけではありませんが、“セルフライフバランス”に比べると突出してはいません。

息抜きになる場所や誰かと話をするということよりも、自分の時間の使い方に満足している人が多いようです」(吉田さん、以下同)

また、フリーコメントでは「温暖でおだやかな気候」や「自然」がストレスオフにつながっているとの回答も多かったという。

実際に、愛媛県女性のリラックスするための行動では、「空を見る」「自転車に乗る」「森林浴」「自然の音を聞く」など、身近にできる行動が上位を占める。

「ほかの都道府県ではそもそも運動が好きではなかったり、フィットネスジムに行って無理やり体を動かしたりしていますが、愛媛県は自然豊かで外に出る環境が整っているのが特徴。日常的にする運動・レジャーが根付いているようです。

長年培ってきた県民性の影響もあるかもしれませんが、健康的に自分の時間を使えることがストレスオフにつながっているのではないでしょうか」

ストレスオフランキング最下位の宮城県
愛媛県との大きな違いは「時間の使い方」

では、一方の宮城県はどのような特徴があるのだろうか。宮城県出身としてはコチラも気になるところ…。

 

■宮城県女性の3つのライフバランススコア
・セルフライフバランス:第42位
・ワークライフバランス:第46位
・ソーシャルライフバランス:第39位

上記が宮城県のシートだが、セルフライフバランスに関しては、愛媛県は1位だったが、宮城県は42位と大きな開きがある。

「宮城県のなかでも仙台市はかなり大きな街。生活の利便環境へのストレスは少ないようですが、休み方や1日を過ごす時間のリズムなど、“セルフライフバランス”は愛媛県と比べるとかなり差があります。仕事を含めた生活の満足度は両県そこまで大きな差はありませんが、やはり時間の使い方が異なっていますね。

例えば、『朝起きて、夜眠る。体内時計に即した生活』ができているか。加えて、愛媛県の場合は『太陽を浴びる』『土日を含めて外でレジャーをする』ことが、普段の生活により根付いているようです」

宮城県出身の筆者が愛媛県に突撃!
ストレスオフ1位の実力を体感してきた

都道府県によってかくも差が出るとはにわかに信じがたい。宮城県出身ゆえに、最下位を認めたくない気持ちもある。いったい、愛媛県はどのくらいストレスオフなのか…? 

そこで、最下位宮城県出身の筆者、実際に愛媛県に向かうことに。とはいえ、愛媛県どころか四国初上陸の筆者。「しまなみ海道」や「道後温泉」など、有名どころしか知らない…。そこで、手始めに愛媛県庁経済労働部観光物産課の藤原康芳(ふじわらやすよし)さんに「愛媛のおすすめスポット」を教えていただき、その場所に向かうことに。今回訪れた3スポットを紹介しよう。


●苔筵(こけむしろ)/西予市

 

最初に行ったのは、松山空港から車でおよそ2時間、西予市の奥まった場所にある、『苔筵』。店内には薪ストーブや木の風合いがいい感じのテーブルなどが並ぶ。

最近流行っている“古民家風カフェ”をイメージするとわかりやすいかもしれない。そんな店内でいただくコーヒーや苔饅頭は格別!

なのだが、それ以上に魅力的なのは、店のまわりを埋め尽くす「苔」だろう。

 

あいにく、店を訪ねた時は苔が少し変色していたり、枯葉が落ちていたり、苔本来の美しさは見ることができなかったが、それでも十分神秘的だった。

まるでもののけ姫の世界のようで、今にもこだまが出てきそうな雰囲気だと本気で思った。

 

この苔は、十数年前にご主人たちが植えたものだそう。

また、苔がもっともきれいに見えるのは、雨上がりで陽の光が木漏れ日のように降り注ぐ時だそうで、6月がおすすめとのこと。

●面河渓(おもごけい)/久万高原町

西日本最高峰といわれる石鎚山のふもとにある面河渓。
久万高原町へは、松山ICから1時間30分ほどで行くことができる。10月中旬~11月上旬にかけては、紅葉の名所としても知られているが、残念ながらすでに12月で見られず…。

 

しかし、渓谷だけあって空気が澄んでいて、水の色はエメラルド。

離れたところからでも底が見えるほど透き通っていた。

 
 

途中、“何か”が出そうなトンネルを通らなければならず、そういった意味でも非日常感を味わえた気がする。

 

●JR下灘駅/伊予市

 

最後は、JR下灘駅。電車で行こうとも考えたが、帰りの飛行機の時間の都合でレンタカーで行くことにした。

下灘駅に向かう途中、「夕やけこやけライン」というドライブコースを通るのだが、右手には広大な瀬戸内海が広がっている。

 

ところで、なぜ駅を見に行ったのか疑問に感じた人も多いことだろうが、じつはこの下灘駅は「日本一海に近い駅」として有名で、夕日が美しいと評判の駅。映画やドラマのロケ地としても知られている。

最近では、SNSに投稿されることも多く、いわゆる“フォトジェニック”な駅なのだ。高い建物など遮るものがないので、駅のホームからは海と空のコラボが眼前に広がる。インスタグラマーなら、大興奮である。

 
 

下灘駅へ向かう道中、雲が多く薄暗かったのだが、到着してしばらくすると徐々に太陽が顔を出し始めた。人気の理由のひとつである「夕日」が沈むところは残念ながら見られなかったが、下灘駅の魅力は存分に味わえた。

実際に愛媛に行ってみて感じたことは、たしかに自然に触れる機会は多い(気がした)ことと、それらがリフレッシュになるということ。基本的に車で数時間かけての移動になるが、愛媛の人たちにとっては車移動は当たり前だそうで、普段の通勤などで電車やバスを利用している人に比べて、心理的負担は少ないのではないだろうか。

道中も海が見えたり、山を登って行ったりするので、苦痛になりがちな移動時間でさえも自然に触れることができ、感じるストレスは少なかったように思う。
そこを乗り越えればまったくスケールの違う“大自然”や神秘的な風景に出会え、いささか陳腐な言葉ではあるが、大体のことは「ちっぽけ」に感じられた。

仙台市

ちなみに、現在も宮城県に住む友人たちに、宮城県がストレスオフランキング最下位であったこと、1位は愛媛県であったことなどを伝え、あわせて先ほどの写真を見てもらったところ、以下のような声があった。

「宮城にも自然はたくさんあるけど、たとえば海水浴場で海を見るのと、下灘駅のような鉄道や線路などを含めたシチュエーションで海を見るのとでは違うし、ただ木がたくさん生えていればいいわけでもない。同じ自然でも違うから納得できる」(27歳・男性・石巻市在住)

「宮城とそんなに変わらない!」(26歳・男性・仙台市在住)

「宮城に自然があっても、昔から知っているから、あえて隣県の岩手・山形・福島に行っている。近くにありすぎて逆に行かない」(32歳・女性・大崎市在住)

「仙台に住んでいると、ビルも人も多くてここまで本格的な自然とは無縁。田んぼから聞こえるカエルの声とか、みんなで釣りに行くとか、実家(石巻市)が恋しくなる時がある…」(24歳・女性・仙台市在住)

「自然がたくさんあることはわかっているけど、おすすめスポットを教えてと言われたら困る。『御釜』しか思い浮かばない」(27歳・男性・登米市在住)

吉田さんによれば、「ストレスの解消行動では、愛媛県民は日常的に自然に触れ合うことでストレスを解消している一方で宮城県民はマッサージなどお金を支払ってストレスを解消する傾向がある」とのこと。

また、「おすすめスポットを聞かれたら困る」「あえて隣県に行く」といったコメントもあるように、宮城県民は近くに自然があっても、上手に取り入れられていない人が多いのかもしれない。

リフレッシュするために、毎回時間をかけるのはむしろ負担になりかねないが、愛媛県民のように、生活に根付いているとなればまた話は別だろう。

自分の住んでいる場所に取り入れるのは難しいことだが、いくつかお気に入りのリフレッシュスポットを見つけるだけでも、ストレスの感じ方、解消の仕方は変わってくるはずだ。

 

取材・文=明日陽樹/考務店
取材協力
メディプラス研究所
https://mediplus-lab.jp/

特集「休まる一年を祈願2018年は仕事から離れる勇気」第5回