どこでも使える携帯電話も、ちょっと前まで病院の中は利用禁止が当たり前だった。
ところが今や95%以上の病院が院内で携帯電話を使えるようになっている。

出典:医療機関において安心・安全に電波を利用するために
出典:電波環境協議会「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(概要)」

思わぬトラブルが起きるケースも

しかし、病院が携帯電話や様々な機器が発する電波の管理をおろそかにしていると思わぬトラブルが起きる可能性があるという。
そこで、4月10日に電波環境協議会がこんな動画を公開した。

電波環境協議会は2015年に、学識研究者、関係団体、医療機器製造販売業者、建設事業者、通信事業者、関係省庁からなる「医療機関における電波利用推進部会」を設置。
そこでの検討結果をもとに、2016年4月に「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」等をまとめあげ、さらなる周知のため今回の動画を制作した。
「動画」や「手引き」は本来、医療機関に向けたものだが、病院での電波トラブルがどういうものかが分かりやすくまとめられている。

子どもが遊ぶゲームで電子カルテが…

出典:医療機関において安心・安全に電波を利用するために

入院患者の回診をしている医師がパソコンで電子カルテを確認しようとすると…

出典:医療機関において安心・安全に電波を利用するために

院内には、医師らが使う無線LANの電波が飛んでいるはずなのに、なぜかつながらない。
その原因は意外なところにあった。

出典:医療機関において安心・安全に電波を利用するために

近くで、お見舞いに来ていた子供がネットワーク対応のゲームをやっていた。
ゲーム機の電波が干渉したため、電子カルテが使えなくなっていたのだ。
入院患者やお見舞いに来た人などが持ち込む機器などによって電波トラブルが起きることがあるという。

出典:医療機関において安心・安全に電波を利用するために

医療機器との距離の目安は1mだが…

利用が拡大する携帯電話は医療機器に影響が出たケースは少ないものの、間近で使ったために輸液ポンプが停止したケースや、人工呼吸器、モニタ類などへの影響が疑われる事例があるという。

動画と合わせて公開されたe-learning教材の基礎編によれば、携帯電話の電波は端末から離れるにつれて弱くなるため、医療機器から一定の距離(離隔距離)を確保する必要があるという。
その目安は1mとされているというが、より詳しい話を電波環境協議会の活動を支援している総務省の担当者に聞いてみた。

担当者:
一応、国際的にも国内でもそういう基準があります。ただ、あくまでも規格上の話なので、実際にあらゆる医療機器から携帯電話を1m 離しておくのは大変だと思います。
病院で、どれだけ近づいても大丈夫だという調査等を行ったうえで内部規定などを作っていただければと思います。

出典:医療機関において安心・安全に電波を利用するために

“アンテナ表示”が少ないと影響が出やすい

「手引き」では他に、病院の待合室や食堂などエリアごとに携帯電話の使用ルールを定め、周知することが重要だとしている。
また意外なことに、いわゆる携帯電話のアンテナ表示が多いほうが電波トラブルは起きにくく、逆に電波が弱そうな少ない表示だと影響が出やすいという。

担当者:
携帯電話というのは、圏外や支局を探している状態だと、出力が高くなってしまいます。病院内の電波状況が悪い場合は、屋内アンテナなどで改善すると、携帯電話の出力も下がり、無線を使う医療機器への影響もあまり出なくなるということになります。

出典:医療機関において安心・安全に電波を利用するために

――手引きによって、私たちの生活は何が変わるのか?

「手引き」自体は医療機関向けなんですが、各病院が携帯電話や無線利用機器を正しく使うことで、患者さんも医療関係者も利便性が向上するでしょう。
病院などは他の無線機器による干渉が起きやすいので、電波管理が非常に大事になってきます。

この「手引き」が広く知られていけば、医療機器などへの影響を心配せず、病院で携帯電話やスマホが使えるようになり、ただでさえ暇な待合室や、寂しい入院生活が変わるかもしれない。