「レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜」はセクシュアル・マイノリティをテーマとした映画を上映する映画祭で、1992年にスタートし今年で26回目。LGBTという言葉が無い時代から続いてきたことに驚きと敬意を覚えますが、当然ながら言葉以前にゲイカルチャーや同性愛をテーマにしたアートワークは日本においてもしっかりと存在していたのです。今回は10日間で13プログラムが上映されました。レインボー・リール東京の宮沢英樹代表は「ここは、いろんなセクシュアリティの垣根を越えて一緒に笑ったり泣いたり感じることのできる数少ない場所」と書いています。

この映画祭で上映された作品の1つが『私はワタシ~over the rainbow』。

東ちづるさんがプロデューサー、そしてインタビュアーとなりLGBTアクティビスト45人と日本のゲイカルチャーのレジェンド、長谷川博史さんと向き合い、それぞれの「私はワタシとして生きる」声を集めたドキュメンタリーです。上映会場の青山スパイラルホールは超満員。上映後もちづるさんや増田玄樹監督、この日のために集まった出演者たちを囲み写真撮影やおしゃべりが尽きませんでした。

増田玄樹監督と東ちづるさん
長谷川博史さん

東ちづるさんは女優でありタレントである一方で、一般社団法人Get in touch (http://getintouch.or.jp/)を立ち上げ、障害や病気、国籍などを理由に生きづらさを感じている人たちも、そうでない人も、広く浅くゆるやかにつながる、誰も排除されない「まぜこぜの社会」をめざして活動を続けています。

なぜ、この映画を作ろうと思ったのでしょうか。

一昨年のレインボー・リール映画祭で、一緒に観に行った当事者から「これはこの人(映画の登場人物)のストーリーで私たちみんなのことを伝える映画ではない。100人いたら100人違うストーリーがある。ちづるさんが作って」と言われたの。映画には力がある。たくさんの人の言葉を紡ぎたいし、(当時は体調が悪そうだった)長谷川さんが生きているうちに映像に残さなきゃと思ったのがきっかけ。

最初はLGBT特有の苦悩を引き出さなきゃと思っていたけど、それは自分がLGBTというカテゴライズの中でインタビューしようとしていると気付いた。それぞれに苦悩や希望があり、人として「私はワタシ」になりたいだけだと気付いた。すると、普段は強い言葉でメッセージを発している人たちが、まさに吐露するように淡々と話してくださって、沁みる言葉をたくさん聞くことができた。

この映画には「無性(=男性でも女性でもない)」の人も登場します。無性ってどういうこと?理解できない!と感じる人もいるでしょう。しかし、他者が理解する・しないに関係なく、その人はこの世界に存在し私たちとともに生きているのです。だからもし理解できなくても排除しないで一緒にいて欲しい。一緒にいれば分かち合えるものがたくさんあるから。

LGBTと一括りにしがちですが、みんな違う。この映画を観るとそれがよく判ります。

貴方も私も、誰もが自分の人生を自分らしく生きたい。その権利は誰にも奪えない。

『私はワタシ~over the rainbow』は今後配給先を決め、営利目的ではなく教材として全国で上映することを目指しています。

1人でも多くの方に観ていただき、感じていただきたいと心から願っています。