日本では模範囚が脱獄し、数日間にわたる逃走劇を繰り広げている。
脱獄劇といえばアメリカ。その刑務所事情を調べてみた。

国が管理する刑務所は全国に122ケ所

アメリカの刑務所は、国が管理するものと、州が管理するものがある。
国が管理するものは連邦刑務所局によると全国に122ケ所あり、4月12日現在183,937人が収監されている。(1週間で100人以上の増加。)

州が管理するものでは、ニューヨーク州には53ケ所存在する。

【刑務所のタイプ】
アメリカには警備のレベルに応じて刑務所が存在し、『最高レベルの警備』から『最小限の警備』の5つのレベルに分かれている。
また、同じ敷地内に警備レベルが違う施設が集まる複合施設も存在する。
国が管理する刑務所のうち、レベル別刑務所数は下記の通り。

最高レベル:20ケ所
高:17ケ所
中:31ケ所
低:32ケ所
最小限:7ケ所
複合:15ケ所

【脱獄者数】
アメリカでの脱獄者はどれくらいいるのか?
司法統計局によると、2016年の全米における脱獄者数は2330人。これでも減少傾向にある、統計がある1978年7650人、1990年代には一時1万4000人を超える年もあったという。

ニューヨーク州では、2008年から2012年で9人が脱獄している。

ニューヨーク州にある”塀のない刑務所”

日本で脱走の舞台となった塀のない刑務所。
実は、アメリカにも同様の施設が存在する。

ニューヨーク州北部、マインビルにある「モリア矯正施設」という名の刑務所。
炭鉱跡地に建てられ、おそよ200人が収監されている。
柵はあるが、「塀」は存在しない。

英語では「モリア・ショック矯正施設」という言い方になる。
施設名に「ショック」とあるのは、再犯率を下げるために「ショック」療法を採用しているためだ。
ただ「ショック」といっても体罰ではなく、以前日本でも流行した「ブートキャンプ」と呼ばれるエクササイズ、つまり軍の新兵に取り入れられている訓練がモデルとなっている。

この施設に入所する条件は
・暴力的な犯罪歴が無い事
・16~50歳
・仮釈放までのあと3年
・ブートキャンプを行うこと

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軍隊式トレーニング「ブートキャンプ」採用で再犯率低下

施設では、5時15分に起床し、体操やランニングを行い、朝食後にブートキャンプを行う。
その後は、個別のプログラムごとに、教育やセラピーのほか、施設の外での労働に従事することになっている。

アメリカでは一時期、再犯者を減らすために「ブートキャンプ」を取り入れた刑務所が増やされたものの、効果が少ないとの理由で次々と取りやめとなった経緯がある。

ニューヨーク州には、現在「モリア矯正施設」ともう1ケ所で「ブートキャンプ」を取り入れている。
これら2つの施設では、他の州に比べ良い成果を出しているという。

社会的影響を調べている団体によると、ニューヨークの刑務所では、出所後3年以内の再犯率は6割を超えるのに対して、ブートキャンプを取り入れたこの施設ではその半分の3割に留まっているという。

ではこの施設で、脱獄はあったのか?
ニューヨーク州によると、「モリア矯正施設」ではゼロ、もう1か所では、施設外で労働していた2人が脱走しただけだという。

9・11テロメンバーが入る警備最高レベルの刑務所

過去に脱獄不可能と言われていたアルカトラズ連邦刑務所

「モリア矯正施設」のように塀がなく最低限の警備の刑務所がある一方、アメリカには最高レベルの警備が行われている刑務所が存在する。

その一つがコロラド州にある「フローレンスADMAX」だ。
この施設には、9.11同時多発テロのメンバーが入っているほか、過去には1993年の世界貿易センタービル爆破事件、1995年のオクラホマ連邦庁舎爆破事件などテロにかかった囚人が入れられていた。

この施設は「ロッキー山脈のアルカトラズ」とも呼ばれ、これまでに脱獄できたものはいないという、アメリカでも象徴的な場所となっている。

 【執筆:FNNニューヨーク支局長 上野浩之】