首脳会談で”非核化”への道筋で合意することに期待表明

「米朝首脳会談で包括合意に達するという幻想を抱く者は一人も居ない。」
“No one is under any illusions that we will -- we will reach a comprehensive agreement through the President's meeting.”

アメリカによるシリア攻撃の前の事になるが、12日の上院外交委員会で証言したポンペオ次期国務長官のコメントである。
シリア攻撃という大ニュースの陰で注目度は幾分下がったようだが、CIA長官から次期国務長官に指名された、トランプ氏お気に入りの側近・ポンペオ氏のこの日の証言内容を改めて吟味してみたい。

ちなみに、ポンペオ氏はカリフォルニア生まれのイタリア系アメリカ人で、士官学校をクラス・トップで卒業した元陸軍将校。後にハーバードで法律を学び、CIA長官に抜擢される前には下院議員も勤めた共和党右派の政治家である。
苗字の“ポンペオ”は“ポ”ではなく“ぺ”にアクセントが来る。

上記に続けて、ポンペオ次期国務長官は次のように述べた。

「会談では、二人の首脳が双方共に受け入れ可能な諸条件を設定し、それらが最終的に実現可能であると二人が判断すれば、実行段階に移されることになる。アメリカ政府が適切な諸条件を提示し、両首脳の話し合いによって、我々が外交的な成果を挙げることのできる道標とするであろうことに、私は期待をしている。」

“But to enable; to set out -- to set out the conditions that would be
acceptable to each side for the two leaders that will ultimately make the
decision about whether such an agreement can be achieved and then set in place.
I'm optimistic that the United States government can set the conditions for
that appropriately so that the President and the North Korean leader can have
that conversation will set us down the course of achieving a diplomatic outcome“

判りにくいが、つまり、首脳会談では、

1:一挙に非核化で全面合意することはない
2:が、その実現に向けて具体的な道筋と課題で両首脳が合意し、
3:それらに基づき、米朝がその後さらに協議を進める、

ことになるのを目指すとポンペオ次期国務長官は言っている。

そうなるとすれば、我々が注目すべきは、非核化の実現に向けた具体的な手順とタイム・テーブル、そして、その後の実行段階の双方の行動ということになる。

「非核化と体制の保証はセット 経済的な見返りも重要」

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  だが、北朝鮮の出方は依然不明である。

  ポンペオ氏も「金正恩委員長が何を検討しているかよく判らないと認めざるを得ない。」(I concede we don't know precisely what Kim Jong-un is contemplating )
と率直であった。

しかし、続けて、ポンペオ氏は「だからと言って、金委員長が何も考えていないということではなく、彼は、彼の政権の継続を念頭に、如何にして不可逆的な保障をアメリカから得るか考えている。紙の上だけの名目の合意で十分とは思っておらず、それ以上を求めてくるだろう。非核化を実現するための方策を彼らが実行できるようにするための諸条件を求めてくるだろう。」と分析している。

非核化と体制の保障はセットになる、具体的な措置の実行段階毎における経済的な見返りも重要になる、という認識は強硬派と言われる次期国務長官も共有しているようである。

万策尽きれば、マティス国防長官が軍事的選択肢を提示へ

先制攻撃を支持するか?との議員の問いに、ポンペオ氏は「全く支持しない。」「イランや北朝鮮の核兵器保有阻止は外交を通じて実現するという政府方針に疑問の余地は無い。」「外交的方策は尽きていない。先の道程は長い。」と断言した。

しかし、同時に、こう警告するのも忘れなかった。
「アメリカ合衆国を攻撃可能な核兵器庫の存在が現実のものとなる日が来るかもしれない。しかし、大統領はそれだけは阻止するという意思を明確にしている。アメリカが保有している外交的方策やその他の策が尽きたということになれば、大統領の目的を達成するための選択肢を提示するようマティス国防長官が既に指示されていると私は理解している。」

“There may come the day when we see a arsenal of nuclear weapons
capable of striking United States America. The president has made clear his
intention to prevent that from happening. And to the extent that diplomatic
tools and other tools that America has as its foreign policy power are
unsuccessful, I know that Secretary Mattis has been directed to present to the
president a set of options that will achieve the president's objective.”

あくまでも仮定の話だが、万策尽きれば、その時にはアメリカは軍事行動に出る準備を既に始めている。

最後になるが日本に言及された部分を記す。

「完全で検証可能で不可逆的な非核化が目標か?」との議員の問いに、ポンペオ氏はこう応えた。
「その点に関しては少し慎重でありたい。北朝鮮は世界でも最大級の陸軍も保有している。戦略的な抑止力を韓国や日本など東アジア地域の同盟国にも我々は確実に提供する必要がある。しかし、来るべき首脳会談の主題は、アメリカに対する北朝鮮の核の脅威である。」

 そして、さらに「完全で検証可能で不可逆的な非核化か?」と同じ議員が畳み掛けるとポンペオ氏は「その通りである。」と応えた。

安倍総理が訪米し、間もなく、日米首脳会談が開催される。
その席で、安倍総理は日本を“置き去り”にしないようトランプ大統領に要請するはずである。
 
拉致問題の解決も訴えるはずである。
トランプ大統領も当然日本側の要請に理解を示すはずである。
だが、大統領の第一目標はアメリカへの直接の脅威の除去であることに変わりは無いだろう。
 
米朝首脳会談が本当に実現するのかまだ予断できないが、それが、いずれ、日本を含む地域全体の安全に繋がることを願うばかりである。