日本時間の今朝、フロリダで日米共同記者会見があった。その席でのトランプ大統領の北朝鮮に関する発言をいくつか取り上げ、コメントしたい。訳は仮訳である。いずれも拙速になるが、ご容赦願いたい。

「世界中の核廃絶」に言及した意図は?

トランプ大統領;
「朝鮮半島の非核化を議論する為、私は金正恩委員長と数週間内に会う。」

 I will be meeting with Kim Jong-un in the coming weeks to discuss the de-nuclearization of the Korean Peninsula.

「最大限の圧力は北朝鮮が非核化するまで続く。彼らがやっている多くの事に我々は一目置いているのだが、我々は協調しなければならない。我々は核兵器を、願わくば世界中で、廃絶しなければならない。それが我々全員が達成したいと心で願うゴールである。」

Our campaign of maximum pressure will continue until North Korea denuclearizes. We have great respect for many aspects of what they're doing, but we have to get it together. We have to end nuclear weapons, ideally, in all parts of the world. That would be a goal for all us to hope for and to cherish.


筆者コメント;
来るべき米朝首脳会談の議題は”朝鮮半島の非核化”だ、とトランプ大統領は改めて明言した。そして、”北朝鮮が非核化をするまで最大限の圧力を続ける”とも強調した。これは従来の路線の再確認である。
しかし、それにも関わらず、その直後に、 ”世界レベルの核兵器廃絶”に言及した。違和感がある。明らかに異なる次元の話だからである。

なぜ、朝鮮半島の非核化とは全く次元の異なる、世界の核廃絶をこの場で持ちだしたのか?
もしかすると、朝鮮半島の非核化はアメリカも含む世界の非核化の第一歩とすべきというような主張を、金正恩委員長が、水面下の事前交渉でもしているからかもしれない。
つまり、北朝鮮を非核化させたいなら、北朝鮮に対するアメリカの核の脅威も除去せよという要求を、訪朝したポンぺオCIA長官に対して、従来通りしているので、この意を汲む形で、トランプ大統領も世界の核廃絶に触れたのかもしれない。

「検証的で不可逆的な非核化」

トランプ大統領;
「完全で検証可能で不可逆的な非核化を達成した暁には、北朝鮮に輝ける道が待っている。」

there is a bright path available to North Korea, when it achieves denuclearization, in a complete and verifiable and irreversible way.

コメント;
”完全で検証可能で不可逆的な非核化”をやはり口にした。少し安心した。
アメリカ本土に対する直接的な脅威となる、大陸間弾道ミサイルと核弾頭の開発・配備を封じれば、それだけで良しとしてお茶を濁す可能性は無いことを示唆したものと受け取れるからである。この言葉通りになることを願うばかりである。

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拉致解決への努力を約束

トランプ大統領;
「安倍総理のサポートはこの重要な時を迎えるにあたって、極めて有効であった。」

Your support has been critical to getting us to this important moment in time.

「我々は拉致被害者を日本に取り戻すためにあらゆる努力をする。これをあなたに約束する。」

 we're going to everything possible to have them brought back and bring them back to Japan. I gave you that promise.

コメント;
拉致被害者家族と安倍総理・日本政府がまさに聞きたかった言葉である。
安倍総理は小泉訪朝に同行してピョンヤンに行き、北朝鮮の最高指導者と交渉の場に居た経験を持つ。
こと北朝鮮問題に関しては、この経験を持つ安倍総理に対するトランプ大統領の信頼は格別であることがわかる。
別な言い方をすれば、安倍総理という重石が無くなってしまえば、トランプ大統領の北朝鮮政策は、例えばもっと韓国に引きずられて、かなり趣の異なるものになってしまうかもしれないと少し心配になる。

成功は無理と思えば会談しない

トランプ大統領;
「もしも成功は無理と我々が思えば会談はしない。もしも、会談は成果をもたらさないと私が判断すれば、我々は会談に行かない。会談が始まっても、もしも成果は上がらないと私が判断すれば、途中でも、席を蹴って出ていく。そして、これまで我々がやってきた最大限の圧力なり、なんなりを然るべく続ける。しかし、何かが起こるだろう。」

If we don't think it's going to be successful, Mark, we won't have it. We won't have it. If I think it's a meeting that is not going to be fruitful, we are not going to go. If the meeting, when I'm there is not fruitful, I will respectfully leave the meeting and will continue what we are doing or whatever it is that we'll continue, but something will happen.

「私は柔軟に対処することを好む。北朝鮮との交渉でも柔軟に対処する。」

So I like always remaining flexible and will remain flexible here.

コメント;
最近の訪朝で金正恩委員長とも会談したと報じられるポンぺオCIA長官が下交渉を取り仕切っているが、その下交渉が、前進しつつもまだ道半ばで、整う保証はまだ無いことがこれではっきりした。
また同時に、仮に首脳会談実現まで辿り着いたとしても、 最終的には首脳同士の談判で決まる部分がかなり残されるであろうことも、これで容易に想像できる。
安倍総理の日朝交渉の経験も下敷きにした発言であろうことも想像できる。

一方、金正恩委員長に対しては、この発言は大きなプレッシャーになる。首脳会談の途中で、アメリカの大統領に席を蹴られたら、後が非常に怖いからである。
アメリカ政府を本気で怒らせたら、宥められる第三者は居ない。
同時に”柔軟に対処することも好む”というトランプ発言は、アメリカに武力行使の口実を与えたいとは考えていないはずの金正恩委員長に対する、硬軟取り混ぜた微妙なシグナルになっている。

日本に誠実であり続ける

トランプ大統領;
「我々は日本に対して誠実であり続ける。」

And we will be very loyal to Japan.

コメント;
頼もしい言葉である。だが、言葉だけでなく、行動でも、そして、結果でも、そうあり続けてもらいたい。