すべての女性が輝く社会づくりを目指して、安倍首相は「女性の社会進出」を強く訴えて、国も力を入れている。

欧米に比べ、女性の社会進出の遅れているアジアではあるが、その中で中国は女性役員を登用している企業が51%と、日本などよりも進んでいるという。
その実情を中国情勢に詳しいコメンテーターの富坂聰氏に聞いた。

(聞き手:ニッポン放送『あさラジ!』高嶋ひでたけ)

社会主義の中国では男女全員が労働者

高嶋:
日本では女性の社会進出について、議員や社長の数が足りないと言われていますね。
一方で、中国から見ると、安倍首相が言う「すべての女性が輝く社会づくり」とか「女性の社会進出」は奇異に映るそうですね。

富坂:
そうですね。「女性はそんなに守ってあげずとも、出てきている」という感じがしますね。
そういう意味では今回中国の人が反応したのは、日本の最高裁の判事が「旧姓でやる」ということについて、ニュースになった件です。
「別姓って当たり前でしょう?日本ではニュースになるの?」と驚かれました。

高嶋:
そのようですね。

富坂:
私が80年代初頭くらいに留学した頃から、たとえば都会暮らしの人は「男が家事やるのは当然。子育てするのも当たり前。たとえ仕事を持っていても」という形で、日本で言われるようなイクメンというのは当たり前でした。

中国は社会主義で、男女全員が労働者なので、両方仕事しているのが当たり前なんです。なので、両方が同じように職場から帰ってきて、旦那さんが食事を作ってあげるのは、けっこう当たり前でのことなのです。
当時の私からは「尽くすなぁ」と見えていましたが。

中国では51%の企業で女性役員を登用

高嶋:
社会の体制がそうなっているんですね。
日本だと配偶者の女性は“奥”の方に籠もってしまうから、“奥様”でした。それが、最近はどんどん外に出てきて、『“外”様』になってきた。
それで「呼び方がおかしいのでは?」とか「女性の社会参画」とか、いまだにそういうことがお題目になるということは、それだけ遅れているということなのですね。

富坂:
一方で、中国は農村に行くと、まだ女性差別があります。労働者として最底辺の位置にいたり、そういう問題があったりして、非常に温度差はあります。
ただ、我々が目に付く部分では、企業とかでも、すごく女性進出していますね。
この女性の進出に関しての数字があるんですが、女性役員を登用している企業の割合は、イギリスが59%、ドイツが70%、アメリカが79%。フランスが少し高く83%で、ノルウェーは100%という数字が出ています。

高嶋:
女性を取締役にしている、経営陣に入れている企業。たとえば取締役が5人いたら、1〜2人が女性ということですね。

富坂:
そうですね。「女性役員が1人でもいる企業は、全体の企業の中で何%か?」ということです。それで、ノルウェーが100%です。一方で、日本は6%です。
アジアの企業は押し並べて低いのですが、その中で中国は51%でした。少し低いですが、それほど低いという感じではないですよね。

中国で女性“の”セクハラ・パワハラが問題に

富坂:
逆に中国の今の問題は、女性の能力が高すぎるのか、アニマルスピリット(血気・野心)が高すぎるのか、女性のパワハラやセクハラがニュースになるんですよ。

高嶋:
女性が、若い男にですか?

富坂:
そうなんです。あとは「賄賂を持ってこい!」と要求したりするとか、そういうことが5年くらい前から、ニュースになっています。ある意味スゴく有能で、本当にガツガツしています。

高嶋:
世の中は変わってきているんですね。
言われてみると、政治の世界でも、例えば日本では菅官房長官ですが、中国では女性の方が出てきたり、アメリカもよく報道官とかで出てきますよね。

富坂:
女性が前面に出てくると、確かに目立ちますよね。

(1/16 FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』より)
http://www.1242.com/lf/articles/program/asa/