自民党の伊吹文明元衆議院議長(80歳)は19日、所属する二階派の会合で、女性記者へのセクハラ疑惑で辞任を表明した財務省の福田事務次官の問題について、「その通りであれば非常にとんでもない話で、福田君の道義的責任は非常に重大だ」と、テレビカメラの前で厳しく批判した。

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一方、録音テープを週刊誌に提供したテレビ朝日の記者の行動について、伊吹氏は次のように指摘した。

 「記者の人たちの対応は、こうして(公の場で)話している時はテレビを入れてもいい。正式の官房長官の会見の時も構わない。インタビューを1対1で記事にする時は、話した内容が出るのは当たり前のことだ。
しかし、それ以外に、非公式に例えば懇談をしようかと言って、水割りでも飲みながら話している。あるいは、歩いている時に横からぱっと(記者が)来て話をする「ぶら下がり」、懇談、夜回り(※夜に記者が取材相手の家の前で待ち、話を聞く取材)はオフレコであるという当たり前の道義をもって形成されている」

そして、伊吹氏は「何回も何回も嫌なことを言うから、こいつは危ないと思ってテープを後のために撮っておきたいという気持ちはよくわかる。そういう気持ちにさせた人が、一番道義的責任があるというのは確かだ」と、一番の原因は福田事務次官にあり、セクハラ発言は断じて許されないとの認識を示した。

その上で「しかし、その記者はわざわざ上司に報告して、わが社でこの事を取り上げてくださいと言ったのに、二次的なプレッシャーがかかるからいけないと、取り上げられないよと、しかも、それを後で(週刊誌の報道がされた後に、テレビ朝日が記者会見で)発表するのはどういうことなんだと。私は非常に疑問に思う」と述べた。

 女性記者による告発報道を認めなかった上、この段階で事実関係を公表したテレビ朝日の対応と、記者が、取材内容を、第三者である週刊誌に提供したことに疑問を呈した形だ。 

伊吹氏は、「恥ずかしい発言を多分した可能性が高いの(福田次官)と、道義にもとるメディアの取っ組み合いだ。これじゃあ日本国として恥ずかしい。記者は記者の道義を守り、政治家そして官僚は、その道義をしっかり守った品性のある日本国であってもらいたい」と嘆いた。

 セクハラ行為は断じて許されるものではない。
会社や上司に相談できない、自ら進んで声を挙げられない、訴えることができない人たちは、大勢いるだろう。その人たちが最後の手段として、自らを守るために、発言を録音する行為を咎めることはできないというのは、伊吹氏も同じ思いではないか。

 その上で、当事者が声を挙げたにも関わらず、会社自らが「適切ではなかった」と振り返るような対応をとり、記者が最終的に禁じ手ともいえる方法で世間に公表する形になった今回のケースをどう見るか。

 オフレコ取材のあり方も含め伊吹氏の指摘が的を射ているかはともかく、政界のご意見番であり、大蔵省出身で財務大臣も務めた伊吹氏としては、一言言わずにはいられなかったということなのかもしれない。