沖縄県ではしか患者が急増

3月20日にはしかと診断された台湾からの旅行客を発端に、沖縄県ではしかが流行し感染が広がっている。

24日には愛知県で、名古屋市内に住む女子中学生の姉妹がはしかに感染していることを確認。2人が市内の病院を訪れた同じ日に、沖縄に旅行してはしかに感染した10代の少年も受診していたことがわかった。名古屋市では院内で二次感染した可能性が高いとみて注意を呼び掛けている。
これで全国のはしかの感染者は、74人となった。

GWで旅行する人が増える中、これ以上、感染を拡大させないためには何が必要なのか?

「ワクチン接種が唯一の予防法」と語る、国立感染症研究所 感染症疫学センターの多屋馨子室長に聞いた。

訪日外国人が持ち込む例が相次いでいる

ーー沖縄を中心に今、はしかの患者が増えている理由は?

東南アジアなど海外から帰国する人や、日本を訪れる外国人が持ち込む例が相次いでいて、今回、流行している沖縄県も、台湾からの旅行者によって、はしかのウイルスが持ち込まれました。

ーー沖縄県以外の都道府県でも、はしかの患者は報告されているんですか?

沖縄県以外の都道府県からも、患者さんの報告はあります。

国立感染症研究所が4月18日に集計したデータでは、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、大阪府、山口県、福岡県からも報告されています。

国立感染症研究所HPより
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はしかの患者と同じ空間を共有していれば感染の可能性あり

ーーそもそも、「はしか」というのはどのような病気なんですか?

ウイルスによる感染症で、高熱や全身の発疹、咳、鼻汁、咽頭痛、結膜充血、眼脂などの症状が1週間から10日間近くみられます。

また、肺炎や脳炎を合併することがあり、命にかかわる重症の感染症です。

ーーどうやって感染するんですか?

感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染。

はしかの患者さんと同じ空間を共有していれば、感染する可能性があります。

ーー潜伏期間は?

多くは10~12日です。長くても約21日です。

ーー予防法は?

ワクチン接種が唯一の予防法です。

ワクチンを接種しているかは母子健康手帳で確認

ーー1990年4月2日以降に生まれた人の多くは「はしか」の免疫がある、との報道もあります。これは本当ですか?

1990年4月2日以降に生まれた人は2回ワクチンを接種する機会があったのは確かですが、その人たちが全員、2回ワクチンを接種しているかどうかは分かりません。

ワクチンを接種しているかどうかは母子健康手帳の記録を見てください。

ーー手元に母子健康手帳がない人はどうすればいいですか?

実家にはあるはずなので、まずは実家に連絡してみてください。

実家にも接種を受けた記録がなかったら、ワクチンを接種していないと思った方がいいです。
接種したかもしれないという記憶に頼るのではなく、しっかりと記録を確認してください。

どうしてもという場合は、血液検査をすれば、はしかに対する免疫を持っているかどうかは分かるのですが、結果が出るまで1週間弱かかります。

不明の場合は、ワクチンを接種するという方法もあります。
状況によっては、こちらの方が早く対応できます。

ーーワクチンを接種した後、どのぐらい時間がたてば抗体ができるんですか?

接種後2週間ほどすると、抗体ができはじめますが、はしかのウイルスを吸い込んだ後、72時間以内にワクチンを受ければ、発症を予防できる可能性があると言われていますので、諦めずに予防を検討してください。

ーーなぜ、ワクチンの接種は2回必要なのでしょう?

1回接種すると95%以上の人が免疫を獲得し、2回接種すると99%以上の人が免疫を獲得します。

つまり、2回接種することによって、より多くの人が免疫を持つことができるのです。

「感染力を弱くする」という意味でもワクチンの接種は大事

ーーワクチンを接種しても感染した人からは「ワクチンを接種した意味がない」という意見が度々、出ます。これについてはどう思われますか?

患者さんだけを見るとどうしてもこのような誤解が生まれます。
下記の図をご覧ください。

一人典型的なはしかの患者さんがいると、空気感染で感染しますので、同じ空間を共有した人は全員がはしかのウイルスを吸い込みます。

その後、潜伏期を経て、2次感染者が出てきますが、接種率が高い(右:95%)集団で、その後発症した患者さんだけをみるとどうしてもワクチン接種歴のある人(後ろが青バック)が多く見えてしまいます。

しかし、その後ろには、発症を予防できた人(見えない部分)がいることを忘れないで欲しいと思います。

100%予防することはできませんが、1回接種で95%以上、2回接種で99%以上の抗体陽性率となります。
また、接種歴のある人のはしかは症状が軽く、感染力も通常のはしかに比べると弱いことが報告されています。

症状を軽くし、感染力を弱くするという意味でも、ワクチンの接種は大事なんです。

ワクチン接種が初めてだと、発熱、発疹が出る可能性あり

ーーはしかのワクチンを接種するうえでの注意点は?

妊娠出産年齢の女性は、接種前に妊娠していないことを確認し、ワクチン接種後約 2 カ月間は妊娠しないように注意する必要があります。

1 歳以上で 2 回、はしかのワクチンの接種記録がある者、検査診断されたはしかの罹患歴がある者、すでに発症予防に十分なはしかの抗体価を保有していることが明らかな者は受ける必要はありません。

初回接種の場合は、接種後 5~14 日を中心として、約 20%に発熱、約 10%に発疹(皮膚の赤いぶつぶつ)が見られることがありますので、この点に注意する必要があります。

「接種不適当者」(※以下に補足)に該当する場合は、はしかの抗体価を確認し、免疫状態を把握。
その結果、はしかの抗体価が陰性あるいは低い抗体価であった場合は、人が多く集まるところやはしかが流行している国に行くのを避け、家族や周りの者が必要回数である 2 回の予防接種を受けて、はしかに対する免疫を獲得しておいてください。

【補足「接種不適当者」】
・明らかな発熱を呈している者
・重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
・本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
・明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者
・妊娠していることが明らかな者
・上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

大型連休中、旅行に行くならワクチンを接種してから

ーー大型連休中、海外に行かれる人もいますが?

大型連休なので人がたくさん集まるところや海外に行く場合、はしかのワクチン接種記録を調べ、1歳以上で2回の接種記録がなければ接種してからの旅行を検討してください。

すでに、はしかに罹ったことがあることが確実な人は心配は要りません。


はしかは空気感染するため、厚労省は大型連休中の旅行での感染に注意を呼び掛けている。
また、ワクチンを2回接種することを推奨しているほか、感染者に接触した場合は72時間以内にワクチンを
接種することも効果的だとしている。