追記:
5月2日11時より配信を再開。
兵庫県では一時動画の修正を考えていたが、最終的に当初と同じ動画が公開されている。

公開から1か月で配信停止

兵庫県の魅力を伝える動画CMが、公開からわずか1か月も経たないうちに、いきなり配信を停止してしまった。
地方自治体のPR動画が、不適切な内容のために炎上する事態はこれまで何回もあったが、兵庫県のケースはそれとは違うようだ。
いったい何があったのか?

画像提供:東播磨県民局
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動画には、兵庫県の南にある3つの地域をそれぞれ擬人化した、駆け出しのアイドル3人組「HYOGO(兵庫)」が登場。
有名な観光地や特産品のあるリーダーの「神戸ちゃん」と、姫路城という大きな魅力がある「姫路ちゃん」の間に挟まれた、ちょっと地味な「東播磨ちゃん」がひたむきに頑張る姿を描きつつ、東播磨地域の魅力を紹介していく。



実際に東播磨には「明石玉子焼」や「高砂の焼き穴子」、「加古川かつめし」などのグルメをはじめ、聖徳太子が建立した「鶴林寺」、国の史跡に指定されている「大中遺跡」など数多くの観光スポットもある。
はじめは目立たないアイドルだった「東播磨ちゃん」が徐々に自分の魅力に気づいていく物語が5話にわたって繰り広げられ、公式サイトではメイキング映像も公開されていた。

神戸と姫路という有名な地域に挟まれたゆえの知名度の低さを逆に自虐的なネタとして取り上げ、東播磨を知らない人でも楽しんで見られる動画は、3月26日にYouTubeで公開されると徐々に注目を集め、地元紙やネットメディアでも紹介するなど話題になりかけていたが…
4月20日に突然、配信停止

YouTubeより

兵庫県の公式サイトには現在も動画の告知ページが残っているが、リンク先のYouTubeではなにも表示されない状態になっている。
なぜ配信を止めたのか、動画を制作した兵庫県東播磨県民局の担当者に聞いてみた。

配信停止の理由は明石市長の抗議

――配信停止までなにがあったのか?

3月26日に動画を公開して、4月19日に神戸新聞ネクストの記事になりました。
自虐ネタを炎上覚悟で打ち出しているという内容で、それまで再生回数は5000弱だったんですが、記事が出てから1日ちょっとで2000回以上伸びました。
その翌日、明石市長から自虐表現で「市民から批判が出ている」と私どもの局長に直接申し入れがあったので、その日の夕方に配信を一旦停止しました。
止める直前の再生回数は約7300でした。

明石市は東播磨地域にあり、日本標準時子午線上にある「時のまち」として有名。世界最長の吊り橋「明石海峡大橋」や「日本100名城」に選ばれた明石城といった観光名所もあり、瀬戸内海から明石鯛や明石ダコなど新鮮な魚介類が採れる「食のまち」としても知られている。

――動画にはどんな思いが込められている?

「東播磨は知名度は低いけど、いいところがあります」という動画を作りたいという思いがありました。
企画提案コンペでは12社から提案がありましたので、12個のストーリーの中から今回配信を停止した動画のストーリーが一番よいと、県民局として判断させていただいたわけです。

行政がつくるPR動画としては、自虐ネタは禁じ手といいますか、あまり見ないやり方です。
神戸新聞ネクストの記事に「炎上も覚悟の上」とあるように、そういう心意気・意気込みで作ったわけでございます。
ちょっと思わぬ形で炎上しちゃったということですかね。

――動画を応援する声はなかったのか?

応援する声もありましたが、ただ明石市長がおっしゃっているように考える方もおられるのでしょう。
そこで、どうすれば公開を再開できるのか検討したいと考えています。

これまでにも自治体のPR動画が批判を集めた末に、公開が中止されるケースはいくつかあった。
2016年には、鹿児島県志布志市が公開した、ふるさと納税のPR動画が炎上。
特産品である養殖ウナギになぞらえた、黒い水着姿の少女が「養って」と話す動画には「おぞましい」などの批判が寄せられ、海外のメディアも女性差別だと取り上げた。

2017年には、壇蜜さんが出演した宮城県の観光PR動画が炎上。
「上乗ってもいいですか」と言って頭をなでたCGの亀が大きくなったり、唇のアップで「みやぎ、いっちゃう」などという動画の内容が性的だとして女性団体などが配信中止を要請した。
動画は予定より約1カ月早く削除されたが、村井嘉浩県知事は動画が一定の役割を果たしたなどと成果を強調した。


自治体が制作するPR動画は数多くあるため、その中で埋もれずに目立つために“狙った”つもりが炎上を招き公開をストップするケースは今までもあるが、今回は、自治体の長からのクレームという珍しいケース。
配信再開を検討しているという県民局だが、今後どのような対応を見せるのだろうか。