2017年は、トランプ大統領就任や北朝鮮のミサイル、天皇陛下退位の決定や眞子さま婚約、働き方改革や小池旋風、衆議院議員選挙など様々なことがあった。

2018年は一体どんな一年になるのか。

今回は、フジテレビ経済担当の解説陣による座談会、第3回目。

2017年7月に行われた都議会議員選挙で自ら率いた「都民ファーストの会」が圧勝。一方で、10月の衆議院議員選挙では自身が立ち上げた「希望の党」は厳しい結果となった。2017年の政界を揺らした小池百合子都知事を総括した。

回復しつつもまだ十分でない不十分さがある

小川都庁担当記者

小川美那: 
今の小池さんは疲れて暗く見えるときもありますが、その一方で「もう禊はおわった、という感じで元気だ」という人もいて、回復しつつもまだ十分ではない不安定さを感じます。
これまでも、小池百合子は終わったと何回も言われているんですけど、以前は絶頂迎える前に終わったと言われていて、ギャップがそんなになかったんですよ。今回はとてつもない人気があってからの落ちでした。本人も厳しい状況なのは分かっていると思います。

大山泰:
金曜日の定例会見はどんな状況?

小川: 
あまり元気ないですね。ぶら下がりとか、小池さんは関西人なので今まででしたら明るく切り返していたところもありましたが…。

大山取材センター室長

大山:
入庁や退庁の様子は?

小川: 
淡々と答えている感じですね。都庁内でも「俺たちは国政のための足掛かりだったのか」と言う人も結構いて。そういった人たちのモチベーションをどう上げるのかはすごく難しいんだと思います。
都庁の人は「知事を支える」という気持ちがもともとは強いのですが、国政進出で“遠心力”が働いています。一部の人は知事を盛り上げるためにどうしたらいいのか悩んでいましたが、今のところこれまでみたいに世の中を驚かせられるような手はなし、といった状況です。

「都ファ」の勝利で女性目線で都政の運営を

ーー小池さんの一年を総括するとどうですか?
小川:
「天国と地獄」この一言に尽きるかなと思いますね。

山田:
凄かったですよね、本当に。

鈴木款: 
あの頃の熱狂が嘘みたいですよね。11月13日開票された葛飾区議選は、40議席に対して「都民ファーストの会」は5人の公認候補を出したけれど、4人が落選した。都議選では島嶼部抜かして全選挙区で勝ったわけじゃないですか。数か月で風がこんなに変わるもんなのと思いましたね。

小川:
それは地方組織がないからだと思っていて、都民ファーストの支持層って、どこを見ても一貫性がないんです。例えば公明党や自民党支持層は、組織の人たちはわかりやすく、見ていてこの塊だなっていうのがある。
でも、小池さんの周りの支持層は一貫性がなくて、党員じゃないなって一目でわかるんです。その分、熱しやすく冷めやすいというのは、こういうことなんだろうなというのを目の当たりにしましたね。

鈴木解説委員

鈴木:
でも私は「都民ファーストの会」が勝ったことはそんなに低く評価していなくて。
女性の議員が十数人当選したじゃないですか。都政を女性目線で運営できるようになったのは良かったんじゃないかと思っています。働く女性のために、都の中でどんなことを改革すべきなのか考える人が増えたということはよかったかな。次の選挙でもそういう人たちに引き続き頑張ってもらわないと。

小川: 
そういう色々な発想があっても、都議会のしきたりがすごく多いんですよね。役所が作った紙を読み上げることが多いんですけど、それを祝詞って言う呼び方をしていたりとか、台本があって「ここで何歩歩いて右に向いてくださいとか」といったことも書いてあるものがあると、ある元都議が言っていました。そのガチガチに固められている中、お作法をうまくクリアしつつ、利害関係を調整しながらやっていくというのは、今の「都民ファーストの会」の新人の方には厳しい状況だと思います。
ただ、自由すぎて「都ファの新人議員たちはめちゃくちゃだ」と都庁内で言われてしまうこともあり、自由な発想とともに現実的にどう落とし込んでいくのか、それが求められています。
大山:
2020年の世界景気はということですが、都知事としての行政上の責任も含めて、2020年にオリンピックがくるんですから、こうなった以上は本当に、東京を中心に五輪に合わせてみんなが納得して気持ちよくなる経済活性化の方向にエネルギーを向けてほしいですね。中央の政界の野心など向けずに、これから2年半都知事をやれば、彼女に対する見方も変わるかなって個人的には思いますね。

いまGDPの分解を見ていると、来年度の実質経済見通しや、名目成長率など、半数以上が五輪の選手村の建設需要や公共事業が支えになっている。それが2020年以降はなくなるんです。

新しいビジネスで付加価値が出てくるものが、余裕ないかもしれないけど、余裕の2年間の間に出てこないと、2020年以降は本当に経済のけん引力が、僕はかなり減っちゃうと思うんです。インバウンドもそこで一回節目がきてしまう。もし、僕が小池さんのアドバイザーだったら、そっちにエネルギーを使って、東京都を中心にけん引するアイディアなどに注力したらいいんじゃないかって思いますね。

小川: 
おっしゃる通りですね。彼女もそういう方向にしたいと考えていると思うんです。ただ、それを実行するための根回しする人や、国ときちんとやり取りできる人たち、五輪組織委員会とかも、小池さんにたたかれたわけです。森(喜朗)会長とかもですね。

そういった方々が今後どう協力してくれるのかという問題もあります。都議会自民党のある幹部は「小池さんは自民党とあれだけ戦ってきたんだから、協力してほしいというのは虫がいい」ぐらいのことを言っているので、その方向に行きたくても、どうやって協力をしてもらえる、協力し合える体制を作れるのかが難しいところかもしれません。

大山:
難しいですよね。

小川: 
難しいです。豊洲もそうなんですけどね。

東京を金融都市に戻してほしい

鈴木:
小池さんは、「国際金融都市」の構想があると思います。今フィンテックは本当に気合を入れてやらないと日本の金融が負けると思っているんですよ。税制の絡みとか、国と一緒にやらなきゃいけないこともあると思うんですけど…。

昔はニューヨーク、東京、ロンドンだったのに、いま世界は東京にはほとんど目もくれない。
香港やシンガポールに持っていかれたものを、東京に取り戻す。

小池さんには、そこを期待しているんですけどね。ただ国との粘り強い交渉が必要だと思うので、そこで人間関係でどうのこうのと言われると、2020年以降は本当に大丈夫なのか?と考えてしまいます。

山田経済部長

山田:
でも、話は戻りますけど、オリンピックってそのお金を含めてきちっと機密に計画準備して、それを着実に実行するもの大事だけど、やっぱりお祭りだから。
小池さんには元気になってほしいですよね。オリンピックを盛り上げてほしい。

大山:
小池さんは東京オリンピックの開催中に任期が終わってしまう可能性もある。再任されないと、主催都市の自治体のガバナーだけれど、出ないということもある。都知事選と開会式に微妙にラグがあるんです。

小川: 
「本人は都知事を辞めるのでは?」とか、「知事の首を取ってやる」と言っている都議会の方もいらっしゃいます。
だけど、ご本人に今は辞める気がないと思います。年末の各社ごとの知事インタビューで、フジテレビも含め多くの社が「次の知事選へのスタンス」を質問しましたが「全く考えていない」というような答えで終わっています。

智田解説委員

智田:
オリンピックでは、新国立競技場をはじめ、会場整備が進行しているほか、ホテルの開業や都心を中心とした再開発や交通網の改良も進んでいますし、インフラ整備のほかにも、次世代の通信規格など新技術の開発も進展していて、オリンピックを見据えた企業活動はますます活発になり、投資総額は官民合わせて10兆円を超すとの試算もありますよ。

一方で、人手不足の中、競技場などの完成に向けて、また大会開催時の外食やサービスに、十分な労働力を確保できないのではという懸念が出ています。

建設や接客にロボットやAIを活用するなどさまざまな試みが打ち出されていますが、こういった取り組みを最大限生かして、準備を滞りなく進められるかどうか、日本の「おもてなし」の実力の真価が問われることになると思います。

イラスト=さいとうひさし