カメラマンが見た世界の珍品カメラ

技術の進歩とともに、さまざまな時代を映し出してきたカメラ。
その貴重なコレクションを一堂に集めた展示会が都内で開かれている。

日本カメラ博物館「明治150年カメラの夜明け」特別展
ニネステレオカメラ(1852年フランス)

これは、1852年フランスで作られた「ニネステレオカメラ」。
双眼鏡のようだが、2つのレンズで違う画像を撮影し、専用のメガネで見ると立体写真になるというもの。
いわゆる「3Dカメラ」である。原理は、現在の映画などで使われる技術と全く同じというから驚きだ。

昔は鳩が「ドローン」だった!

こちらもまたユニークな一品。

1908年のドイツで作られたこのカメラは、なんと鳩に装着して、空撮を行うためのもの。
シャッターはタイマー式で、鳩は撮影用に訓練していたという。「ドローンカメラ」の元祖といえるかもしれない。
現代の技術に繋がるアイデアが、すでに100年以上前に生まれていたのだ。

国産カメラの夜明け

メイドインジャパンのカメラも負けてはいない。

1903(明治36)年には、日本初の量産カメラが発売。その名も「チェリー手提暗箱(てさげあんばこ)」。
「コニカミノルタ」の前身、「小西本店」が世に送り出すと、 爆発的な人気を呼び、写真が庶民に普及するきっかけとなった。

 今でいうフィルムは、名刺サイズの「乾板」と呼ばれるガラス板を使っていた。
ピントは固定。ファインダーは縦、横の撮影用に2つ搭載されていた。
今のファインダーに比べると非常に不鮮明で、ピントが合っているかどうかは実際に現像してからでないと確かめられなかったそうだ。

チェリー手提暗箱2号機(1904年日本)

あの有名な「坂本龍馬」の写真を再現!?

今回、特別に「チェリー手提暗箱」2号機をお借りして、当時の撮影を再現してみた。
お手本にしたのは、1866(慶応2)年頃に撮影されたという、あの有名な坂本龍馬の写真だ。

かの有名な坂本龍馬の写真(1866年頃撮影)

今でこそシャッターボタンを押すだけですむが、当時の撮影は手間がかかった。

まずは、ガラス板や金属版に薬剤を塗布。
そこに像を写すのだが、光の感度が悪くシャッターを数秒から数十秒間、露光し続けなければならなかった。
もちろん、その間は被写体も微動だにしてはいけない。

実際に体験してみたが、つい体が動いたり、まばたきをしたりしてしまい、なかなかうまくいかない。
日本カメラ博物館学芸員山本さんに聞くと、昔の人たちは「首おさえ」という器具を使用して、体を固定していたそうだ。
台にもたれかかる龍馬の写真も、実は体が動かないようにするためだったのかもしれない。

現像にも、2時間近くかかる。
出来上がりを待つというのも新鮮な感覚だ。
どんな仕上がりになっているのか、わからないからこそ逆に楽しみになる。

「首おさえ」を付け、じっと我慢・・・
ついに完成!坂本龍馬を“再現”


出来上がった写真がこちら。

ぼやけてはいるが、どことなく柔らかくて優しい雰囲気がある。
ハッキリクッキリのデジタルカメラも良いが、このふわっとした質感には時代を超えた深い味わいを感じた。

体験してわかった、当時の撮影の大変さ。
今に残る偉人たちの写真も、見えない部分で苦労があったのだろう。しかし、それでも後世に写真を残すということに重要な意味を感じていたのだ。

そんなことを考えながら昔の写真を見ると、また違った姿が見えてくるかもしれない。


日本カメラ博物館『明治150年 カメラの夜明け』特別展 6月24日まで開催 
一般 300 円 中学生以下 無料
東京都千代田区一番町25番地 JCII 一番町ビル(地下1階)