これまでに何度もSNSなどで大激論を起こしてきた「電車内のベビーカー問題」が再び炎上している。
議論に火をつけたのは、東武鉄道車内のディスプレイに表示されるこんな言葉だった。

「駅や車内でベビーカーをご利用になるお客さまは周りのお客さまに配慮し、十分ご注意ください。」

3月末、この文章を見たあるTwitterユーザーが「猛烈に頭にきた」という意見を投稿した。
配慮すべきなのはベビーカー利用者ではなく周りの人であるべきだとして、ディスプレイの画像もつけたツイートは一気に拡散。

たちまち賛同する声や、逆に「ベビーカーだから気を遣えという態度の利用者が多い」「ベビーカー利用者は周りに迷惑をかけている自覚をもて」などの批判が寄せられた。
また賛否以外にも「乗客同士が互いに身勝手過ぎるだけで鉄道会社は問題ない」「海外ならベビーカーは歓迎される」など、別角度から見た意見も上がっている。

鉄道での“ベビーカー利用”の変遷

問題の注意文を表示しているのは、池袋・川越・森林公園などを結ぶ「東武東上線」、大宮・春日部・柏・船橋を結ぶ「東武野田線」、地下鉄日比谷線直通の「東武スカイツリーライン」の一部車両で、ドアの上に設置したモニターに表示していたという。
また、どの列車にもベビーカー利用者や車いすのための「フリースペース」と呼ばれる場所が設けられており、その車両にはベビーカーを安心して利用できることを示す「ベビーカーマーク」もついていた。

より正確には、東武東上線の50000系では2011年から(フリースペースは10両編成中2両)、東武野田線の60000系は2013年から(6両中4両)、スカイツリーラインの70000系は去年から(7両全車両)注意喚起を表示していた。

かつてベビーカーは駅構内や電車内では畳むことを求められていたことをご記憶の方は多いだろう。
その流れが変わったのは1999年1月1日。
この日から関東の私鉄や東京メトロなど13社で一斉に畳まずに使うことが認められた。
しかし、バリアフリー化とともにベビーカーでの外出が増えてくると、意識の差からくる様々なトラブルが発生。
そこで国土交通省は2014年に「ベビーカーマーク」を定め、安心してベビーカーを利用できる場所や設備に表示することになった。

出典:国土交通省

「ベビーカーマーク」の鉄道向けポスターには、利用者と周囲の人に対してこう呼びかけている

○ベビーカーご使用の方は…
周囲の方との接触や通行の妨げなど、ベビーカーの操作に気をつけましょう。
困っているときは遠慮せずに手助けをお願いしてみましょう。

○周囲の方は…
ベビーカー使用者には、温かい気持ちを持って接し、見守りましょう。
エレベーターがない場所での上り下りなど、手助けを申し出てみましょう。

出典:国土交通省

さてあなたは、ベビーカーの利用者と周囲の人のどちらが配慮すべきだと感じただろう。
一方だけが配慮すればこの問題は解決するのだろうか?
そして東武鉄道はどう対応するのか?担当者に聞いてみた。

「注意文は今後改善する予定です」

――この注意喚起を始めた理由は?

文章に関しては、当社に寄せられた車内マナーに関するご意見や、日本民営鉄道協会が取りまとめているマナーアンケートの結果から選定しております。
当社以外も含めた鉄道をご利用になるお客様の中に、ベビーカーの使用者は周囲に配慮してほしいというような声がある程度あったことから、このような表示することになりました。

――現在も表示しているのか?

該当列車では今も表示しております。

――注意喚起の言葉は変えないのか?

当社は、ベビーカーのご使用者と周りのお客様のどちらもお互いに配慮や理解をお願いしております。
ただ今回の注意文は、一方のお客様に対しての呼びかけであるため、今後 改善する予定です。
具体的な変更内容やスケジュールは現在検討中です。

はたして注意文の変更ですべての問題が解決するのだろうか?
どうしたらベビーカーにやさしい世の中になるのか、もう一度社会全体でしっかり考える必要があるのかもしれない。