寄付金の使い道から寄付先を選ぶガバメントクラウドファンディング

12月に入りふるさと納税はまさに駆け込みラッシュ。そんな中、いま注目を集めているのが「ガバメントクラウドファンディング」。首里城再建のために集まった寄付金は1カ月半で約17億円だが、そのうちの7億円以上がガバメントクラウドファンディングで集まったもの。 そもそもガバメントクラウドファンディングとは。

トラストバンク広報部 田中絵里香さん:
ふるさと納税を活用したクラウドファンディングです。通常のふるさと納税ですと、お礼の品から寄付先を選ばれる方が多いかと思います。しかし、ガバメントクラウドファンディングの場合は寄付金の使い道から寄付先を選ぶ方法になっています。

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ガバメントクラウドファンディングは、返礼品目的ではなく支援したいプロジェクトに寄付をして、自治体を応援するという新しい形のふるさと納税なのだ。そのプロジェクトの数は年々増加しており、2019年は最終的に240に達する見込みで寄付金の総額も120億円を突破。子ども・教育・伝統文化・観光対策など、街が抱える問題を解決するためのさまざまなプロジェクトがある。

たとえば:
・東京・町田市:ひとり親家庭にお弁当を配達:目標金額200万円(2020年1月31日まで)
・新潟:500年の伝統技術「越後与板打刃物」継承:目標100万円(2020年1月31日まで)
・神奈川・鎌倉市:鎌倉駅の観光案内版リニューアル:目標100万円(2020年1月31日まで)
・福岡・八女市:廃墟寸前の町家を再生街並み保存:目標181万3000円(2020年1月16日まで)

アワビ産業を未来に残したい

2019年、台風15号など立て続けに大型台風が直撃し大きな被害が出た千葉・南房総市。市が行っているガバメントクラウドファンディングについて担当者は…

南房総市総務部企画財政課松田浩史:
南房総市のアワビ産業を未来に残していこうというプロジェクトです。

日本有数のアワビの産地、南房総市が自慢のアワビが大きな被害を受け、“アワビ漁を未来に残すプロジェクト”を始めた。 目標金額は300万円で期間は2020年2月22日までだ。

アワビの稚貝を育てている川口畜養所では

東安房漁業協同組合川口畜養場 渡辺靖浩さん:
台風の時はアワビが200キロぐらい残っていました。今回停電が長かったのでポンプが全部ストップしてしまい、全滅しました。被害額は3000万程度だと思います。

そこで集まった寄付金は水槽の維持費やアワビのエサ代などに使い、アワビ漁を将来的に継続していく計画だ。

12月18日午前1時現在までの寄付金は314万6400円と目標金額を達成。返礼品はプロジェクトによってはないものもあるが、今回のプロジェクトでは1万円寄付でアワビ缶詰2缶と房総ひじきセット、6万円寄付で房総黒あわび2~4枚を届けることにしている。

東安房漁業協同組合川口畜養場 渡辺靖浩さん:
5月以降に獲れたし旬の美味しいアワビを食べてもらって、「おいしい」と言ってもらえるのは余計ありがたいですね。

災害支援のプロジェクトは年々増加

実はこういった災害関連の寄付を募ったプロジェクトは他にもある。九州北部豪雨の被災者支援や災害時のトイレ不足解消のための支援など、復興のための支援が年々増加。

なぜプロジェクトの数は増えているのか。

トラストバンク広報部 田中絵里香さん:
ふるさと納税になりますので寄付していただくと早くて1カ月後には寄付金は自治体側に入りますね。国の予算になってしまうと少し時間がかかってしまうところがあると思いますが、そういったお金の資金調達というところではふるさと納税はとても有効かと思います。

寄付募集期間の終了を待つことなく、さらに目標金額に達しなくても寄付金を受け取れるのがガバメントクラウドファンディングの魅力の1つだ。

寄付金が貯まる前にイルミネーションを設置

眼鏡で有名な福井・鯖江市では年間約100万人が訪れ鯖江市のシンボルともなっている西山公園でガバメントクラウドファンディングが進行している。

鯖江市都市計画課 中西裕也:
西山公園横のメーンストリート街路樹にイルミネーションの装飾を計画しております。

公園の東側にある街路樹25本にイルミネーションを設置するため2019 12月31日までに目標金額260万円を目指している。

寒さ厳しい北陸。来園者が減る冬も公園に足を運んでほしいとイルミネーションに力を入れている。現在は公園内に地元の住民が手作りで装飾したイルミネーションが設置されているが、このイルミネーションがあるのは広い公園の一角だけと少し寂しい状態だ。飾り付けした住民たちは…

子ども:
ツリーを見て欲しい。

住民:
福井県ってマイナーな県なのでたくさんの人が来てくれるとうれしいなと思います。

そんな中、担当者が驚きの行動に出ていた。

鯖江市都市計画課 中西裕也:
寄付を貰った後にイルミネーションをつける計画だったのですが、寄付金が貯まるだろうと思って全部先に付けてしまいました。

12月14日時点での寄付金額を32万円と目標の260万円には程遠い達成率だが、担当者は…

鯖江市都市計画課 中西裕也:
目標金額に到達すると信じておりますので、皆さんよろしくお願いします。

目標は冬の来園者20パーセントアップということだ。返礼品は鯖江市の名産品を準備している。1万5千円寄付でレッサーパンダオリジナル掛け時計、4万円寄付で世界初の開発の鼻あてなしサングラスがもらえる。

魚をたくさん食べて欲しい

集まった寄付金は実際にどのように使われたのか。
2018年行った、ガバメントクラウドファンディングで開発した商品が完成したというので佐賀・唐津市に行ってみると…

NPO法人浜-街交流ネット唐津 千々波行典:
唐津の漁師4人で簡単に調理ができる加工品を作ろうと思いました。

近年日本人の魚の消費量は年々減少している。

そこで行ったのが手間をかけずに食べられる魚の加工品を作るためのガバメントクラウドファンディングを行った。現在終了しているが、目標金額150万円に対し倍以上の314万円7000円の寄付金が集まった。目標金額の倍以上の金額が集まったことにについて担当者は「非常に驚いています」と話した。

その寄付金を使って約半年かけて開発した商品がさざえ飯・たこ飯・しまあじ漬け・まだい漬け・たこ唐揚げ・あかえいフライだ。現在は一部店舗で発売しているほか、ふるさと納税の返礼品にしているという。

中でも一番の自信作について担当者は…

和光丸漁師 山本昭二:
エイという売れない魚をどうにか加工して皆さんに食べてもらおうという感じで考えました。

白身と赤身が混じったような味が特徴のエイを使ったフライ。揚げてから冷凍しているので電子レンジで温めるだけで揚げたてのようなサクサク感。

このサクサク感を実現できたのは多額の寄付金で、冷凍庫の奥にある羽根で冷気を循環させ一気に冷凍することが出来る最新型の3Dフリーザーを導入できたからだという。

NPO法人浜-街交流ネット唐津 千々波行典:
これがなければ私たちの加工品づくりはありえません。

実際にこのプロジェクトに寄付をしたという人は…

寄付をした久保英美さん:
実際に何種類の商品が販売されているので目先のことだけではなく、長い時間かけやっぱり漁業者さんのために少しでもお役に立てればいいなと考えました。

千葉・南房総市のアワビ漁復活のプロジェクトで寄付をした方の中には「支援なので返礼品を辞退します」という方も多かったそうだ。

(「めざましテレビ」『ココ調』12月18日放送分より)

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