通勤ラッシュの電車でこの記事を読んでいる人も多いのではないだろうか。
そんなアナタなら、できれば避けたいのが「電車の遅れ」。

しかし、利用している路線によっては「毎日のように電車が遅れているなあ」と、ちょっとイライラしているアナタ…国土交通省のこんな実態調査をご存知だろうか。

出典:国土交通省
出典:国土交通省
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国交省は昨年度から、都市鉄道の遅延の現状や改善状況を分かりやすいよう「見える化」する取り組みをスタート。
「遅延証明書の発行状況」、「遅延の発生原因」、「鉄道事業者の遅延対策の取組」などを公表している。
そこから明らかになった、遅延が多い路線とは?

発表!遅延が多い路線ワースト10

資料では、東京圏45路線それぞれで平日の20日間に遅延証明が発行された日数を集計している。
つまり日数が20日に近いほど毎日遅延が起きているということだ。

では10位まで一気にご覧いただこう。


・ 1位 19.1日…JR中央・総武線 
・ 2位
18.4日…JR宇都宮線・高崎線、東京メトロ千代田線

・ 4位
18.3日…JR中央快速線・中央本線
・ 5位
17.9日…JR横須賀線、JR総武快速線、小田急線

・ 8位
17.4日…JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線

・10位
16.8日…JR常磐線各駅停車
東京圏(対象路線45路線の路線別)における1ヶ月(平日20日間)当たりの遅延証明書発行日数状況(平成28年度)より

利用している路線は入っていただろうか。
1位のJR中央・総武線は、20日のうち19.1日なのでほぼ毎日遅れていることになる。
しかも、遅延証明はおおむね5分以上の遅れが発生したときに発行されるので、それより短い遅延は反映されていない。実感としては「もっと多いよ!」と感じている路線もあるはずだ。

ちなみにもっとも遅延が少ないのは、埼玉県の大宮駅~千葉県の船橋駅を結び、都心は通らない東武野田線の1.4日。次いで、全区間が大田区内に納まる東急多摩川線の1.9日
どちらもワースト路線とはあまりにも条件が違うが、電車の遅れに毎日イライラしている人からすればうらやましい限りではないだろうか。

電車遅延の最大の原因は「乗車時間超過」

資料では、遅延を時間の長さによって分類し、私たちが遭遇することが多い10分未満の電車の遅れは「小規模な遅延」として原因や対策を示している。
まず「小規模な遅延」の94%は、鉄道事業者側が原因ではない「部外原因」だという。

出典:国土交通省
出典:国土交通省

そして「小規模な遅延」が起きる最大の原因は「乗車時間超過」、次いで「ドア再開閉」となっている。
これはどういう理由でおこるものなのか?そして電車の遅れをゼロにすることはできるのか?
国土交通省鉄道局鉄道サービス政策室の担当者に聞いてみた。

――乗車時間超過とは何が起きているのか?

停車や発車の時間は決められていますが、これは乗り降りに時間がかかって決められた時間を過ぎてしまう状況です。
さらに、閉めようとしたドアを開ける状況を加えると、「小規模な遅延」が起きる原因の6割を超えます。

出典:国土交通省
出典:国土交通省

そして、国交省では「小規模な遅延」対策として、啓発ポスターなどのソフト面と、施設の改良などのハード面での取り組み例を挙げている。

――遅延はほとんど毎日が起きているが、この対策をすることで本当にゼロになるのか?

「小規模な遅延」はマナーを守っていただいたりすることで確実に減るものだと思っています。
しかし、病気で人が倒れるなど予測できない事態や、突然の大雪など、やむを得ない理由での遅延は起きてしまうでしょう。

さて、電車の中で記事を読んでいたアナタは、目的地に少し近づいたことだろう。
いつか遅れにイライラしなくなる日が来るよう、始まったばかりの遅延の「見える化」に期待したい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。