12月、消費者庁は東京・港区の広告会社「広報堂」に対し、業務の一時停止を命じた。

この広告会社は、俳句や絵画などを趣味にしている人たちに「高額の掲載料を支払えば作品を新聞の広告欄に掲載できる」など、いわゆる“褒め上げ商法”と呼ばれる手口でしつこく勧誘。さらにクーリング・オフの申し出にも応じていなかったという。

褒め上げ商法の巧妙な手口とは?「直撃LIVEグッディ!」は、実際に“褒め上げ商法”の電話を受け取ったという福田キクさん(83)を取材した。

自分の絵を褒められ、嬉しくなって危うく提案に…

絵を描くことが趣味の福田さんは以前、美術展に出品した自身の作品が入賞したことがあった。するとある日、身に覚えがない会社を名乗る女性から、突然電話がかかってきたという。

広報堂」を名乗る女性:
もしもし、わたくし広報堂の者ですが、福田さんの絵を拝見しまして、お電話させていただきました。福田さんの絵は素晴らしいです。本当にすてきでした、感動しました。あんなすてきな絵、見たことありません!(福田さんの作品は)角から2番目にあった作品ですよね?あの絵が一番素晴らしかったです。


福田さんの作品を褒めちぎる女性。絵がどこに展示されていたのかなど、詳しい情報まで話していたという。

福田さん:
そんなに認められたのかな、なんて思うとうれしくなっちゃって…。


10分間にわたり作品を褒め続ける女性に、福田さんは心を許した。すると、電話口の女性が「福田さんの作品を新聞に掲載しませんか?」と提案してきたというのだ。

福田さん:
お金が24万円かかるっていうの。「そんなお金ないわよ」って言ったけど、「(作品が)あんまりいいから出してくれ」って言われて「じゃあ出します」っていうふうに予約したんです。一生の思い出に、24万円奮発しようかなって、清水の舞台から飛び降りたつもりで「いいよ」と言ってしまった。


福田さんは相手の予期せぬ提案に驚いたというが、自分の作品が褒められたことへの高揚感で、新聞への掲載を快諾したそうだ。

福田さんはうれしさのあまり、友人にこのことを報告。幸いにも、おかしいと感じた友人が「詐欺ではないか」と忠告し、福田さんはこの件をキャンセル。実際に被害には遭わなかった。
しかし、福田さんがキャンセルを伝える電話をかけると…


福田さん:
「お金ないからお断りします」って言ったの。そしたら男の人が「ちょっと待ってください、聞いてきますから」って引っ込んで、いつになっても電話に出てこないのよ。


3分以上も保留が続き、福田さんは電話を切った。しかし、直接伝えたいとの思いでもう一度電話をすると「この電話は現在使われておりません」というアナウンスが流れたという。
わずか数分でつながらなくなった電話に、福田さんは恐怖を覚えたという。

祖父が俳句を褒められて“褒めあげ商法”の手口に…

他にも、祖父が“褒め上げ商法”の手口に遭ったという男性に、話を聞くことができた。


祖父が“褒め上げ商法”の手口に遭ったという男性:
自分の俳句の作品を新聞に掲載するということで電話がかかってきて、24万円かかると言われたんです。その時は褒め上げ商法というものを知らなかったので、「へー、24万円?そういうものなのかな」と話して、流してしまった。

男性の祖父は、自身の俳句を評価されて喜んでいたという。
しかしその後、複数の会社から同じような電話があり、不審に思った男性が“褒め上げ商法”の存在に気付いたというが、男性の祖父は、少なくとも総額43万円を支払ってしまった。

注意するべき「キラーフレーズ」とは…

グッディ!のスタジオでは“褒め上げ商法”について、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストの多田文明さんが解説した。

広瀬修一フィールドキャスター:
福田さんは、展示会で実際に作品が展示された位置まで知っていたこともあり、相手の話を信用してしまったということです。“褒め上げ商法”には“キラーフレーズ”があるということで、多田さん解説をお願いします。


<“褒め上げ商法”のキラーフレーズとは>
・呼称は“〇〇先生”
・「〇〇の記念にいかがですか?」
・「受賞できる」「有名になれる」

多田文明氏:
先生と言われ慣れていない人は、“〇〇先生”という言葉だけでやられてしまいます。

倉田大誠アナウンサー:
土屋“先生”、どうですか?

土屋礼央:
いやっ……たしかに悪い気はしないですね(笑)

多田文明氏:
そして「一生に一度の記念に…」などと言いながら、うまく話を持っていく。さらに、受賞できます、有名になれます、など「多くの人の目に触れた方がいいですよ」と言いながら褒めていくんです。

“解約妨害”への対処法は?

安藤優子:
祖父が被害にあったという男性の話がありましたが、この方の俳句は本当にどこかに掲載されたんですか?

広瀬修一フィールドキャスター:
産経新聞の広告欄に、実際に掲載されました。しかし実際に見てみると、たくさんの作品がある中のほんの小さいスペースです。これに対して24万円支払っています。

安藤優子:
多田さん、実際に掲載されても悪徳商法となるんですか?

多田文明氏:
掲載しようとも思っていないのに電話がかかってきて、そこで褒められる。すると有頂天と言いますか、褒められると高揚しますよね。しかし後に冷静になってみたら「おかしいな」と思う。そこでキャンセルしたいのに、それをさせない。今回、行政処分された会社はこういうところが悪質ですね。

安藤優子:
なるほど。クーリング・オフに応じてもらえないところが悪徳なんですね。

高橋克実:
また金額が微妙ですよね。紙面に載せるのがどれくらいの金額(が相場)なのか我々には分からないですから。

広瀬修一フィールドキャスター:
実際にクーリングオフできず泣き寝入りしている人が多いそうです。どうすればいいのか、消費者問題に詳しい中村弘毅弁護士に伺いました。

・解約の申し込みをやめたいと話しても「新聞に載った後ですからお金は払ってください」などと解約を妨害され、泣き寝入りしてしまうケースが多い
・しかし、中村弁護士によると「クーリングオフができると認識した日から8日間であれば解約できる」という
・消費者庁のウェブサイトにはクーリングオフの方法について掲載されている。
(1)ハガキなどの書面に契約の内容・名前などを記載する
(2)ハガキの表・裏をコピーする
(3)ハガキは簡易書留など日付が分かる方法で出し、受領証などを貰う


多田文明氏:
解約を妨害された場合に泣き寝入りをしてしまう人が多いのですが、そうではなく、消費者センターに相談などしていただきたいですね。一番怖いのが、名簿が共有されていることなんです。1回で終わらず、何度も電話がかかってきます。


(「直撃LIVE グッディ!」12月20日放送分より)

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