東京大会には11万人以上のボランティアが必要

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2年後の東京五輪―。
金メダルを獲得した日本人選手を、表彰台までアテンドすることも夢ではない。

◆選手がインタビューを受ける際の通訳
◆表彰式での選手案内、メダルの運搬
◆競技結果の入力や表示

これは、実際のボランティア活動の一例だ。
東京五輪・パラリンピックでは11万人以上のボランティアが必要とされている。
組織委員会が募集する大会ボランティア8万人と、東京都が募集する都市ボランティア3万人だ。その募集要項が決定した。
このほか、東京都以外の自治体でも募集予定だ。

中でも大会ボランティア(8万人)の活動は、通訳、車の運転、ドーピング検査のサポートなど多岐にわたり、運営そのものに携わる。憧れの選手を間近に、運営側として大会に参加するチャンスがあるのだ。
一方で、参加へのハードルが高いとして、ブラック批判も噴出している。

「募集内容がブラックすぎる」とネット炎上

「満18歳以上(2020年4月1日時点)」「日本国籍、日本への滞在資格を有する」
この2つをクリアすれば、ボランティアへの応募は可能だ。
しかし、応募要項にはこんな記述も…。

◆活動期間「10日以上を基本」
◆活動時間「休憩・待機時間を含み、1日8時間程度」

大会前には、共通研修(2019年10月~)、役割別研修(2020年4月~)などにも参加する必要がある。地方から参加する場合、滞在先までの交通費や宿泊費は、自己負担となっている。この応募要項に対し、ネット上では要項案の発表直後から「募集内容がブラックすぎる」「やりがい搾取」といった厳しい声があがった。
参加へのハードルが高いとして、炎上の的になったのだ。

なぜ、「10日以上」なのか?
募集要項を策定した組織委員会は、過去のロンドン、リオ大会の10日を参考に、1日~2日で人が代わる「短期間の活動には馴染まない」と説明する。

運営に直接携わるため、研修で五輪の専門用語や知識を習得し、チームで活動にあたる大会ボランティア。短期間では活動に慣れていかず、ある程度連続しての参加が必要になるという。

”ブラック批判”受け 条件緩和へ

結局、活動期間は「10日以上を基本」とする一方、「連続での活動は5日以内を基本」「都合により10日を下回る場合もある」とし、柔軟な対応がとられることに。また交通費については、自宅や宿泊先から会場までの一定程度支給されることが決まった。

「最初の案よりは緩和した」(6月11日会見/組織委員会・武藤事務総長) 
ブラック批判を受け、条件や待遇面での改善が図られた形だ。

過去大会では倍率“4倍超”

早くも9月には募集が始まる。応募期間は、12月上旬までの3か月弱。果たして、11万人ものボランティアは集まるのか….。
組織委員会側も「ふたを開けてみないと分からない」というのが本音だが、過去大会では、募集人数を大きく上回る応募があった。

ロンドンは7万人の募集に対し、約24万人が応募。
平昌では2万2400人の募集に、応募は9万人を超えた。しかし、平昌大会の参加者は8割が10~20代主軸となったのは、大学生ボランティアだ。
東京大会では、働く世代や子育て世代、障害者、多様な人たちへの参加を呼び掛けているが、課題も残されている。

「会社を休めるか…」 参加へのハードル

リオ大会でボランティアに参加した池田さん(右から3番目)本人提供

リオ大会でボランティアを経験した池田康太さん(23)。
現地で7日間カヌー会場に配属され、選手の通訳を担当した。銅メダルを獲得した羽根田選手のインタビューにも立ち会ったという。「大会をつくるのに関わっているという部分が楽しくて…」と、体験を振り返る。

 池田さんは参加当時大学生、この春から社会人になった。東京大会にも関わりたいと、ボランティアに応募する予定だが、「実際に参加できるかは、仕事の状況次第」と話す。

去年、東京商工会議所が実施したアンケートでは、ボランティア休暇の導入企業は僅か6%だった。
意欲ある人たちが参加できるよう、残された2年間で休暇制度の導入促進や託児所確保、地方参加者への宿泊サポートなど、環境を整えることが必要だ。

募集要項の冒頭、五輪・パラリンピックの成功は「大会ボランティアの皆さんの活躍にかかっています」と記されている。
ボランティアの活躍は、参加へのハードルをどこまで下げられるかにもかかっている。 

(取材:フジテレビ 経済部 酒井志帆)

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