今年6、7月の豪雨の際に実施されたダムの緊急放流の「情報伝達」が遅れた問題で、有効な方策について話し合う富山県の会議が20日立ち上がりました。
出席者からは、「住民へ避難を呼びかけるプッシュ型の通知をすべき」や「サイレンの音を工夫すべき」などの意見が出されました。
白岩川が氾濫し、川の近くにある住宅や田んぼに大きな被害が出た6月の豪雨。
その上流部の立山町にある県の白岩川ダムでは緊急放流が行われましたが、放送局などの報道機関に伝達するLアラートは放流開始のわずか9分前、住民への避難指示を発令する市町村長へ直接連絡する「ホットライン」は放流開始の時間とほぼ同じとなり、緊急時の情報伝達が課題となりました。
*県白岩川ダム管理事務所 水野豊彦所長
「(ダムの水位が)30分間に2.5メートルもあがった。ものすごい急上昇。今回は(緊急放流と)同時だったのが実情」
この問題を受け、20日立ち上がった検討会には河川災害の専門家や自治体、気象台の担当者などが出席し、はじめに、県の市井昌彦土木部長が「今回の災害対応を教訓とし、ダムや河川の周辺住民の適切な避難行動につなげたい」と挨拶しました。
そして、県の担当者が「白岩川ダムの緊急放流では、3時間でおよそ200ミリの局地的な豪雨によって、関係機関への情報提供に時間的な猶予がなかったのが課題」と説明し、出席者に意見を求めました。
*立山町 杉田尚美副町長
「サイレンが聞こえないとよく言われる。危機をすべての住民に伝えられているのかはなかなか難しい状況。特に防災はスピードが重要なので、何らかのプッシュ型の情報提供をする仕組みが大事」
*防災水工学が専門 富山県立大学 呉修一准教授
「派手な音、おどろおどろしい音などを試して富山版を作ってもいいのでは。クマも出ているので、それと合わせて洪水とクマとセットで本当にやばいサイレンをやってもいいのでは」
*河川災害が専門 中央大学 手計太一教授
「緊急時の対応、伝わる、響く情報。住民に本当に逃げてもらえる。情報提供方法を考えないといけない」
*射水市財務管理部 北辰巳部長
「避難所の開設や避難を呼びかけるのにもある程度時間が必要。可能な限り早い段階で、市町村に避難判断水位や氾濫危険水位に到達するであろう予測時間を示してほしい」
*立山町 杉田尚美副町長
「町としては決定してから連絡をもらうのではなく緊急放流に陥るかもしれないという『かもしれない』の時点で情報提供をもらえれば、避難誘導の指示を出す時間がもう少しとれる」
このほか、FAXや電話だけでなく、自治体間のチャットツールを使うなど、より早い情報共有の方法を検討すべきとの意見も出されました。
*河川災害が専門 中央大学 手計太一教授
「この音を聞いたら、すぐ逃げるんだという音。富山県型の音があってもいいのでは。できることを真っ先にやっていく。きょう出た案の中でもひとつやふたつはすぐできると思う」
検討会は、来年3月までに関係機関や住民への情報伝達のより有効な方策をとりまとめ、県はその意見を踏まえ、緊急時の適切な住民避難につなげたいとしています。