“私人逮捕系ユーチューバー”として知られる男が、事実無根の動画を撮影して投稿し、女性の名誉を傷つけた疑いで逮捕された事件。
逮捕前にFNNの単独インタビューに応じ、「訴えられても仕方がない」などと話していた。
「警察行こう」と女性を追いかけ…名誉棄損の疑いで逮捕
逮捕前の10月、私人逮捕について記者に「転売をなくそうという正義と、お金とどちらなのか」と問われると「もちろんお金です」と答えたのは、“煉獄(れんごく)コロアキ”こと杉田一明容疑者(40)。

「私人逮捕系YouTuber」と称して動画を配信していた。
杉田容疑者は9月、東京・千代田区の帝国劇場近くで、18歳の女性に「チケット8万円で売っているよね」などと言いがかりをつけ、撮影した動画をYouTubeに投稿した名誉毀損の疑いがもたれている。

11月14日午前0時ごろ、留置先に向かうため警察署を出てきた杉田容疑者は、集まった多くの報道陣に気づくと大きなあくびをした。

FNNが行った逮捕前のインタビューでは、自らの活動を自慢げに話していた。

杉田一明容疑者:
日本一アンチが多いかもしれないです。アンチはまあ、増やしているんで…わざと。僕よく書かれるんですよ「和製ジョニー・ソマリ」とか。僕はそこまで迷惑系じゃないです。炎上系かもしれないですけど。
杉田容疑者はこれまで、人にコンサートなどのチケット転売の疑いをかけては私人逮捕する動画を複数投稿してきた。動画では、杉田容疑者が次のように声をかけながら、女性を追いかける様子が映っていた。

「お姉さんダメだよ!ねえ、ダメだってお姉さん。チケットの不正転売は1年以下の懲役、100万円以下の罰金、またはその両方だから。行こうか、お姉さん。警察行こう、お姉さん。おい!逃げんなって!」
このようにして撮影した私人逮捕相手の顔にはモザイクをかけず、個人が特定できる状態で動画を投稿。そのシーンについてはインタビューでこう話していた。

杉田一明容疑者:
だいたい他のYouTuberは(相手に)モザイクかけるんですよ。僕はモザイクかけないですからね、あんまり。訴えられたら仕方ない。民事なんで、肖像権侵害は。建前では、犯罪抑止とか転売抑止になるとか言います。
記者:
本心はお金?
杉田一明容疑者:
そうです、はい。
正義のためではなく、お金目的の行為だったことを認めた杉田容疑者。

杉田一明容疑者:
最近、この転売とかやり出すと、だいぶインプ(反応数)伸びましたね。
記者:
どれくらい収入があがった?
杉田一明容疑者:
収入はぼちぼちです。倍か1.5倍とかですかね。トレーダーでうまくいっている時はお金があったんですけど、まあ今でも十分ですね。
「警察も逮捕したがっている、私人逮捕系を」
さらに動画を撮影する際に意識しているのは、再生数を稼ぐために相手ともめることだと話した。
杉田一明容疑者:
あれ、その前にも結構ずっと追いかけていたんですよ。5分くらい女の子を追っかけて。ずっと逃げるんで。5分以上追いかけまくって(女性が)タクシーに乗ったんですよ。で、そこでムカついて止めたんです。

記者:
女の子はとても嫌がっていましたが。
杉田一明容疑者:
必死に逃げていました。逃げるなよって感じですね。大きい声の方が、動画としてもいい感じなんです。もっと怒ってもいいと思うんですよね。見る人やっぱ、スカッとするとかで見るらしいですよ。みんな、もめたら「よっしゃ」と思ってますから。それ狙いで撮ってると思います。

そもそも「私人逮捕」とは、警察官などではない一般市民が、逮捕状なしに犯罪の容疑者を現行犯で取り押さえること。

今回、被害女性は帝国劇場近くで友人と待ち合わせをしていただけで、チケットを転売した事実はなかった。杉田容疑者は、服装が似ていた別の女性と間違えて撮影したとみられている。

また、動画を投稿した数日後、杉田容疑者がYouTube上の動画とスマホに保存していたデータを削除していたことが明らかになった。証拠隠滅のための削除だったのか。
インタビューの中では、一連の動画について逮捕への不安を口にする場面もあった。

杉田一明容疑者:
やり過ぎないようにしないといけないですね。今、結構逮捕されやすいですよ。警察も逮捕したがっている。こういう私人逮捕系を。ある程度は(逮捕を)覚悟してますね。話題になり過ぎてるのもあって。
記者:
実際に逮捕されるとなったら?

杉田一明容疑者:
もう完全黙秘でいきます。(勾留)20日覚悟ですね。
警視庁は杉田容疑者の認否を明らかにしていないが、逮捕時の調べに対し「はい、理解しました」と話しているという。
(「イット!」11月14日放送より)