突然の「タマ」の痛みと腫れには要注意!

男の子が、急に「タマ」(こう丸)に痛みや腫れを訴えたら、一刻も猶予はありません!

1分でも早く、泌尿器科あるいは外科の緊急手術が可能な病院を受診する必要があります。

「えっ、そうなの?」と驚く方が多いかも知れません。

「精巣捻転症」
という病気は、将来ある小児や若年世代に発症しやすく、しかも恐ろしいことに、発症から6時間以内に手術しないと、「タマ」が壊死してしまい、摘出が必要になる危険性も高いのです。

このことはあまり知られておらず、今でも多くの場合、受診した時には「既に手遅れ」というケースが多いのです。

思春期までの男子とそのご家族には、ぜひこの病気の緊急性をご理解いただきたいと思います。

精巣につながる管がねじれ…

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男子の陰のうの中には、「精巣(こう丸)」という男性ホルモンや精子を作る大変重要な臓器があります。

「精巣捻転」といっても、精巣そのものが捻れるのではありません。

精巣には、血液が流れる血管や精子が通る精管がつながっていて、精索という束になっています。

「精巣捻転症」は、この精索が急に“雑巾を絞ったように”捻れてしまって、精巣に血液が流れなくなってしまう病気です。

突然起こる激しい片側の精巣痛=タマの痛み…と共に、以下のような症状も現れます。

・精巣の腫脹
・吐き気と嘔吐
・腹痛
・精巣の位置異常

発症年齢に2つのピーク

「精巣捻転」が発症する年齢のピークは2つあります。最も頻度が高いのは1歳の頃と、10歳~思春期の頃です。

突然の陰のうの激しい痛みと腫れで、小さな子供が「精巣捻転」を起こした場合には、いつもとは違う尋常ではない様子になると考えてください。

理由はよくわからないのですが、右側より左側の精巣に、また夜間から早朝の時間帯に発症することが多いのが特徴です。

陰部の打撲をきっかけに発症することもあります。

治療は時間との勝負!

そして、この病気で怖いのは、発症から6~8時間以内に捻れを戻す手術をしないと、精巣が回復しないこと!

90%の精巣機能を守ることが出来る治療の〝ゴールデンタイム“は、発症から僅か6時間とされています!

12時間以上経過すれば50%、24時間経過すると90%以上の精巣が壊死してしまいます手術が遅れ、血流が回復しなければ精巣を摘出しなければなりません。

血流が回復して精巣を残せた場合でも、手術までに時間がかかるほどダメージが大きく、精巣が萎縮して、精子をつくる能力が減少することがあります。

それは将来の不妊症や更年期障害につながる可能性があり、非常に重大な影響が出てきてしまうのです。

精巣を守るのは、まさに時間との勝負です!ですから、「しばらく様子をみよう」などして時間を浪費する猶予はありません。6時間は、あっという間に経ってしまいます。

手術では、陰のうを切開して精巣の捻れを戻し、今後捻れないように陰のうの中に糸で縫合して固定します。

また、反対側の精巣も体質的に捻れやすいため、同時に陰のう内に固定します。

痛みが自然治癒した場合でも、一度「精巣捻転」を発症すると、再発しやすいことが分かっています。必ず泌尿器科専門医に適切な診療を受けるようにしてください。

“恥ずかしさ”や専門外の受診が、時間の浪費に!

この病気の大きな問題点は、病気の部位が陰部のため、男子本人が“恥ずかしさ”から家族や学校関係者に相談できないまま、いたずらに時間が過ぎてしまいがちなこと。

また、腹痛や嘔吐など消化器症状もあるために胃腸の病気と間違えてしまい、最初に(まったく専門外の)近所の内科クリニックなどを受診してしまうことも少なくないようです。

しかし、最初に受診した医療機関で緊急手術ができないと、別の病院への紹介や手続きで、どんどん時間を費やしてしまいます。

結果として、治療の〝ゴールデンタイム“6時間を過ぎてしまい、精巣を摘出したり、萎縮したりすることが多いのです。

「精巣捻転症」は男の子なら誰でも発症する可能性があります。

まず、この病気の存在を男子とそのご家族が知っていることが必要です。

そして、自宅や学校の近くで「精巣捻転症」の緊急手術ができる病院も調べておいてください。

事前に知っておきたい見分け方のポイントとしては、陰のうが腫れてくる、触れると痛がるなどです。特に、陰のうを持ち上げたときに痛みが強まるようです。

男の子が痛みを訴えたら、休日や夜間であっても、迷わず、急いで泌尿器科のある病院を受診することが大切です。

痛みが強くて自力で歩けないようであれば、救急車を呼んでもいいかもしれません。

(執筆:医師 小林 晶子)