通報者が語った5歳女児への虐待

東京目黒区で虐待死した船戸結愛ちゃん(5)。香川県に家族で住んでいた頃に、近所の方で、結愛ちゃんが虐待を受けているのではと感じ、児童相談所などへ通報した女性をFNNが独自取材した。

「その時はピンクの薄いパジャマの上下で、靴は履いてなくて裸足だったんです。ご飯を食べてないって言って」

この女性が結愛ちゃんの姿を目撃したのは2016年のクリスマスの夜。外は厳しい寒さだった。

「『お家に帰る?』と聞いたんですけど『帰りたくない』ってハッキリ言われたので。滅多にしゃべらない子が『帰りたくない』ってハッキリ言ったし」


虐待死した船戸結愛ちゃん
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 結愛ちゃんは児童相談所に一時保護された。その後、この女性は一家の様子に変化を感じたという。

「前はギャアギャアっていう感じだったのが、保護されたことによって、今度は周りに音が漏れないようにって、ドンドン内に籠っちゃってる、というのは不安で」

女性へのインタビューを通じ、当初は、母親の怒鳴り声が外にも聞こえていた結愛ちゃんへの虐待が、通報後、“静かな虐待”に変化していったことが分かった。

東京地検は6月27日、結愛ちゃんの義理の父親の船戸雄大(ゆうだい)容疑者と、母親の優里(ゆり)容疑者を保護責任者遺棄致死の罪で起訴した。

「虐待の夫婦」起訴の日 キャスター島田彩夏が立った現場 

結愛ちゃんが住んでいた都内のアパート前

両親が起訴された27日、私、島田は結愛ちゃんが命を落としたアパートを取材しました。

アパートは住宅街にあり、人も多く通る道路に面した場所でした。

本来ならば(部屋やベランダから)声をあげれば、聞こえるような環境だと感じましたが、実際に結愛ちゃんの声を聴いたり、姿を見たりする人はほとんどいませんでした。

そして、お寺で行われた供養では、結愛ちゃんの為に備えられた数々のものの中でも目を引いたのは、新しい、可愛らしい靴が何足も供えられていたことでした。


結愛ちゃんが寒空の中、裸足で立たされていたことや、東京に越してからはほとんど外出が許されていなかったという報道があったので、それを知った方が不憫に思ってのことかもしれません。

今回、FNNがインタビュー取材した通報者の女性は、2016年8月、香川で、結愛ちゃんたちが引っ越してきた年の夏、母親が結愛ちゃんの顔を、無理矢理お風呂場で水につけさせるような音と母親の金切り声に異変を感じ、児童相談所に通報をしています。

さらに、その年のクリスマスの夜、極寒の空の下、外に放置されていた結愛ちゃんを見つけ、周囲の人たちと警察に通報。結愛ちゃんを警察に引き渡すまで、冷たくなっていた体を、背中をさすって温めてあげたそうです。

周囲の人々からこうした行政への働きかけがありながらもそれでも救うことが出来なかった命。インタビューの中でもその無念さは痛いほど伝わってきました。

女性は、今でも「もっともっと児相にどうなっているんですかって聞けばよかったのかなとか。でも、行政がかかわってくれているからもう大丈夫だろうと思っていて…」と今も悩んでいるという思いを明かしました。

伝えた先の児童相談所や警察のかかわり方にも大きな課題が残っているように思います。

今後の継続取材にあたって 島田の決意

報道に携わっていると児童虐待の辛いニュースをお伝えしなくてはならないことがあります。

この結愛ちゃんの事件、あまりに悲しいニュースで、取材・番組を制作しているわれわれスタッフも重い気持ちに包まれました。

この間、記者も番組スタッフも、胸を突き動かされるような思いで取材や編集にあたってきました。

5歳の女の子がどのような思いであの覚えたばかりのひらがなでメモを書いたのでしょうか。なぜ、船戸結愛ちゃんを救えなかったのでしょうか。大人は、社会は、なにをすればよかったのでしょうか。

私はこのような痛ましいニュースの事実をお伝えするだけでなく、どうしたら結愛ちゃんのような子供たちの命を救うことができるのか、救うために何ができるのかを考えていかなくてはいけないのではと強く思いました。同じ思いのスタッフも次々に声をあげました。

今、一週間に一人、虐待によって子供の命が失われているという統計があります。もっともっと多いと指摘する識者もいます。

この事実から目を背けてはいけないと思います。

子供が子供らしく生きられる社会を目指して、FNNプライムニュースイブニングでは、多角的に取材をし、継続して虐待の問題について考えていきます。