おもちゃのような虫の正体は?

世界には私たちが見たこともない、不思議な生き物がたくさんいる。編集部でも以前、鮮やかな青色に光る蜂「青蜂(せいぼう)」を紹介した。

(参考記事:まるで宝石!新種の「青蜂」 発見者が語る“ちょっと鈍臭い”生態

そして新たに、“絵本の世界”から飛び出したような、色鮮やかな生き物が今、話題となっている。

それがこちらだ。

夢のような光景じゃった。。。。

Twitterに投稿されたのは、おもちゃにも見える、赤と緑などのクリスマスカラーをまとった虫の画像。ただこの見た目からは、どんな種類なのか全く見当がつかない。

提供:佐藤マメコさん
提供:佐藤マメコさん
この記事の画像(6枚)

投稿をしたのは、バンコク在住で、タイ国内の昆虫を趣味で撮影している佐藤マメコ(@mamekosato1)さん。

この可愛らしい虫に対してTwitterでは、「おとぎ話の中の生き物みたい」「絵本の世界みたいです」「妖精みたい。かわいい」などのコメントが並び、4万4000いいねがつくなど話題となっている。(7月10日現在)

日本では全く見たことがない虫だが、どのような場所で撮影したのだろうか? 撮影したときの様子などを佐藤マメコさんに聞いた。

撮影したのはタイの国立公園

ーーどこで撮影した?

タイ国内の国立公園内で撮影しました 。


ーー見つけた際の印象は?

この種がここまでまとまって木に付いているところを初めて見たので感動しました。


ーー全部で何匹いたの?

全部で6匹ですが、木の上のほうにまだいるかもしれません。

提供:佐藤マメコさん
提供:佐藤マメコさん

ーー撮影した後は捕まえたの?

研究者ではないので採集は一切しません。また、タイの国立公園では採集が禁止されています。


ーー撮影した感想を教えて

あまり逃げないおとなしい虫ですが、驚かさないよう慎重に撮りました。


たしかに、このようにきれいに並んでいる姿は興味深い。撮影したときの状況は分かったが、そもそも何という名前なのだろうか? また日本でも見ることはできるのだろうか?

九州大学総合研究博物館の丸山宗利准教授に話を聞いた。

名前は「カレンテングビワハゴロモ」

ーーこの虫の名前を教えて

カレンテングビワハゴロモ(Pyrops karenius)という虫です。


ーーどういう虫なの?

ウンカに近いビワハゴロモ科の昆虫です。

提供:佐藤マメコさん
提供:佐藤マメコさん

タイとミャンマーにのみ生息

ーー生態を教えて

セミのように木の汁を吸います。


ーー大きさはどのくらい?

5センチくらいです。


ーーどこに生息している?

本種はタイとミャンマーにしかいません。ビワハゴロモ科自体はアジア、アフリカ、中南米の熱帯から亜熱帯に広く生息しています。 


ーーでは、日本で見られないの?

(日本には)いません。ただ、同じ科のシタベニハゴロモが帰化しています。 

赤い先端の中身は空洞です

ーーなぜ綺麗な色をしている?

謎です。


ーー先端が赤く長いのはなぜ?

不明です。中身は空洞です。 

提供:佐藤マメコさん
提供:佐藤マメコさん

ーー有名な虫なの?

日本にいない仲間なので、知る人ぞ知るです。この科は美麗種ぞろいです。


なお丸山准教授は、これに関連する『ビワハゴロモ図鑑』(仮)を今秋にエクスナレッジから刊行予定とのことだ。

そこで、美麗種揃いというカレンテングビワハゴロモの標本画像を提供してもらった。たしかに、開くと羽根も色鮮やかで綺麗だ。

提供:九州大学総合研究博物館 丸山宗利准教授
提供:九州大学総合研究博物館 丸山宗利准教授

最後に、この虫に関するある情報の真偽を確かめたく、丸山准教授に聞いてみた。

ーー食べると甘い味がするという情報もあるが、食べられるの?

植物の甘い汁だけを吸っているので、体にそれが残っているため、タイやラオスでは子供が捕まえて、頭をとって、汁を吸って味わうことがあるようです。食べるという感じではないです。 


タイとミャンマーにしか生息しないという「カレンテングビワハゴロモ」。色鮮やかな理由は「謎」とのことだったが、これを機に虫への興味が深まった人もいるかもしれない。

佐藤マメコさんは、ほかにもいろいろな虫をTwitterで紹介している。こちらを見てみるのも面白そうだ。
 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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