W杯サッカー日本代表の戦いが終わった今、次は何のスポーツを応援しようかと思っているアナタに朗報!?
今年の夏は、この本を参考にしてマッチョな選手に「かけ声」をかけてみてはいかがだろうか。

その名も「ボディビルのかけ声辞典」!
7月11日にスモール出版から発売予定の本だ。(定価1400円+税)
SNSの一部では「現代の奇書」などとも呼ばれているが、実は近頃ボディビル大会で飛び交う「かけ声」が面白いと注目を集めているらしい。
「ナイスポーズ!」「切れてるよ!」といったオーソドックスなものだけにとどまらず、どんどん進化しているそうだ。
もちろん帯に書かれた「肩にちっちゃいジープのせてんのかい」という言葉も実際に使われた「かけ声」だという。
ボディビルってどんな競技?
そもそも競技としてのボディビルは、筋肉の発達度や、ダイナミックさ、美しさ、バランスなどを競い合う個人スポーツ。
エントリーした選手は審査員の前でポーズをとり、予選を勝ち抜いた10~12名によって決勝審査の順位を競うことになる。
大体のルールは分かったが、実際の大会の雰囲気はどうなのだろう?
なぜ面白い「かけ声」が使われるようになったのか?
本を監修した、公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟の担当者に聞いてみた
アンケートから選りすぐった「かけ声」
――そもそも、どうして「かけ声」を一冊の本にまとめようと思ったのか?
去年11月、某テレビ番組で学生ボディビルを取り上げたときに「かけ声」が非常に面白いと評判になり、その数日後にスモール出版から連絡がありました。
実は、スモール出版の担当者も2年ぐらい前からボディビルの「かけ声」に着目をしていて、すでに出版の企画があったそうです。
だから話がスムーズに進んで、このたび出版することになりました。
――「かけ声」はどうやって集めたのか
日本全国のボディビル協会や、トレーニングジム、学生選手など300人ぐらいからアンケートを取り、相当な数の「かけ声」を採取しました。
その中から選りすぐって掲載しています。
本では、かけ声の基本形である「キレてる」とか「デカい」とか「バリバリ」などと、その上級編である面白フレーズをまとめています。
「肩にちっちゃいジープ」は去年の学生大会で初めて聞いた
――「かけ声」は誰が大会のどこで使う?
ボディビルは大体5月から9月ぐらいがシーズンで日本全国で大会が開かれ、その中で「比較審査」というのがあります。
例えば、出場者30人の中から12人選ぶとき、当落線上の選手が呼ばれて「比較審査」で優劣を決めるわけです。
その時、呼ばれた選手を「かけ声」で応援するわけです。
また12位が2人だったりすると12位決定戦をやるんですけれど、応援はさらにヒートアップします。
この選手を何とか勝ちあがらせたいっていう、ジムの仲間、家族、ファンなどからの様々な声が重なりあうので、何を言っているか聞き取れなかったりしますね。
――本の帯にある「肩にちっちゃいジープのせてんのかい」というかけ声はポピュラーなのか?
このかけ声は、去年の学生大会で初めて聞いたんですけど、たぶんオーソドックスではないでしょう。
かけ声は大体アドリブで、その時ぱっと思い浮かぶ言葉がつい口に出てしまうんですよ。
事前に考えたことを言っている人もいるでしょうけど、アドリブのほうが面白いですね。
――面白い「かけ声」が出ると会場はどうなる?
どーっと笑いが起きる時もありますし、もっと面白いことを考えて「かけ声で」反応するみたいなこともありますね。
例えば、「12番、背中もいいが顔もいい!」みたいなかけ声が出たら、「いや!14番のほうが顔はいいぞ!」みたいに返すこともあります。
「肩がメロン!」ってなに?
――最近はやっている「かけ声」は?
う~ん、食べ物に例えるかけ声がはやっているかな?
「肩がメロン」とか「腹筋が板チョコ」とか、「板チョコ最中」とか。
――肩がメロンってどういう意味?
本当にメロンみたいな人がいるんです。
肩の筋肉がまん丸で、血管がバリバリ浮いているのがマスクメロンに似ているということです。
――ボディビルの「かけ声」は世界でも行われている?
ちょっと調べてみると、海外のコンテストではここまで声援で盛り上がらないみたいですね。
あっても「〇〇かっこいい!」とか「キューティー!」というぐらいです。
だから、ボディビルのかけ声は「日本文学」ですね。
「日本ボディビル文学」として確立できると思います。
――この本は、どんな人に読んでもらいたい?
まず「元気のない人」。
そして「褒めるのが苦手な人」。
例えば、会社の部下を褒めるのが苦手だったり、人付き合いが苦手な人っているじゃないですか。
そういった人に、ボディビルの「かけ声」のような、ポジティブシンキングな言葉をどんどん声に出していただきたい。
そうすると考え方もポジティブになると思います。
もちろんボディビルファンにも読んでいただきたいです。
現役ボディビルダーにも聞いてみた
出版の狙いやボディビル大会の雰囲気は分かったが、逆に出場する選手は「かけ声」をどう思っているのだろうか?
そこで、フジテレビの法廷画家 兼 ボディビルダーである石井克昌さんに聞いてみた。

――面白いかけ声を言うようになったきっかけは?
今のようなとんちが聞いた「かけ声」は、学生のボディビル大会が発祥じゃないかと思います。
他の選手の応援よりもっと面白いことを言ってやろうと競い合ったのでは?
――かけ声をかけられるのは嬉しい?
バカにしているのでなければいいんじゃないですか。
社会人の大会では罵倒されることもあります。
ふとももの裏側の筋肉をハムストリングというんですけど、「ハム出せ!」って言われたりしますよ。
普通の人が「ハム出せ」って聞いても何のことか分からないでしょうけど。
――面白いと思った「かけ声」は?
「ホンマでっか!?TV」にも出ているバズーカ岡田さん(日本体育大学准教授 岡田隆)が紹介していた「ここまで絞るには眠れない夜もあっただろ!」っていうかけ声はいいですね。
ボディビルの選手は大会が近づいてくると、本当に1時間ごとに目が覚めたり小さな音が気になって眠れなくなってしまうんですよね。
――「かけ声」の本をどう思う?
売れてほしいです。
みなさん買ってください。
ちなみに大会の入場料は、学生コンテストの場合は無料が多いそうだ。
究極の肉体美を見に行くのもよし、「かけ声」を楽しむのもよし、興味を持った方は是非一度ボディビルの大会に足を運んでみてはいかが。