徐々に進む“復旧”工事

九州北部豪雨直後の日田市小野地区

大分県日田市小野地区。

去年7月の九州北部豪雨の際には大規模な土砂崩れが発生し道路や川が寸断されただけでなく、多くの住宅にも浸水し被害が出た。


あれから一年…。
土砂崩れの現場では来年7月の完成をめざし、県道や川の護岸の復旧工事が続いている。

日田市小野地区の最近の様子(6/27 撮影)

去年、土砂が崩れた斜面では、今後さらなる地すべりの発生を防ぐための対策も進められている。

斜面に鋼材を打ち込み地盤を固定する工事や、地滑りの原因となる地下水を減らすための「集水井」(しゅうすいせい)と呼ばれる井戸の設置作業が進んでいる。
集水井は、直径3メートルから4メートル、深さは30メートルほどあり、斜面の4か所に設置される。

斜面の地下に設置した配水管を経由して井戸に地下水がたまり、近くの川に流す仕組みだ。

他にも県では、迅速な住民の避難のために、豪雨で氾濫した小野川など県内の河川46か所に今年度、水位計を新たに設置した。

復旧工事や、災害への備えが進む一方で、豪雨の爪あとは、地元に暮らしていた人々に、いまだ暗い影を落としている。

進まぬ“復興”…人々の暮らしは今…

去年7月の豪雨で大肥川などが氾濫し日田市の大鶴地区や夜明地区の水田に大量の土砂や流木が流れ込んだ。
あれから一年がたち、改めて大肥川 沿いの水田を訪ねた。

日田市やJAによると、豪雨の影響などで大鶴地区と夜明地区の今年のコメの作付面積は昨年比7割程度まで落ち込む見込みだという。

大肥郷ふるさと農業振興会 原田文利 代表理事

なかなか進まない、地域の復興に、大肥郷ふるさと農業振興会の原田文利代表理事は、「水田があっての農村環境なので、水田が荒れていけば、農地の荒廃だけでなく地域の環境、農村環境が衰退していく…早く復旧に取り組んでもらいたい」と話す。

去年の豪雨で住む家を失い、現在も避難生活を続けている人がいる。


小野地区の山本一二さんもその一人だ。
山本さんの家は豪雨の後にできた土砂ダムにより2階の屋根より下の部分が水に浸かってしまった。

当初は復旧することも考えたが、基礎部分の半分以上が流されたことから、去年12月に思い出の詰まった我が家を取り壊した。

以来、山本さん夫婦は市が家賃を負担する賃貸住宅、いわゆる「みなし仮設」で生活をしている。

いつかは小野地区に家を建て直したい 山本一二さん

先祖から受け継いだ山や畑を守るためにも、いずれは小野地区に家を建て直したいという山本さん。
しかし、その思いは複雑だ。

「川沿いに住むということは、それなりの危険は含んでいる。少しでも安心できる状態になればよいのだが…」

最終的には、川の護岸工事の完成後に、家の再建を判断したいと考えている。

九州北部豪雨で被害が大きかった日田市では、6月30日時点で、42世帯・93人が公営住宅やみなし仮設に身を寄せている。