史上初の米朝首脳会談は、決裂や破たんもなく無事終わった。
しかし、北朝鮮には今も国連の制裁が科されており、海外での労働などは禁止されている。北朝鮮は一刻も早い制裁解除を要望しているが、その制裁が解除された時、北朝鮮は一体どのようにして外貨を獲得しようとしているのか。
いかにも北朝鮮らしいビジネスの象徴をアフリカで見つけた。

アフリカの発展と未来の象徴「ルネサンス像」

私はサッカーW杯の対戦国取材のためアフリカ・セネガルを訪れた。
首都ダカール市内を歩いていると、不自然に大きな像が目に飛び込んできた。
「何だ。これは。」
異様な存在感を放つ巨大な銅像、その高さはニューヨークの自由の女神を超える52m。その名も「ルネサンス像」。2010年に建築され地元の人や観光客の間では、人気のスポットとなっていた。

「像は地元の誇りだ」と近所の人は言う。
階段を上がり足元まで行くと、ダカール市内が一望できる。絶景だ。
像の内部に入ることも出来た。入場料は日本円で約1300円。セネガルでは高額だ。内部はかなり綺麗で、シアターや民族博物館もある。エレベーターまであり、展望台がある男性像の頭部まで上がると、そこから市内の景色だけでなく、女性像の顔を上から眺めることもできた。

ではこの像、一体誰が何の目的で建てたのか?
セネガル人建築家のアテパさん(70)に話を聞くと、
「大統領からの依頼で、アフリカの発展や未来を象徴するこのモニュメントを考えた。アフリカにとってパリのエッフェル塔のようなものだ」と誇らしく語っていた。

セネガル人建築家のアテパさん(70)

セネガルには銅像建築の技術がない

ところが、インタビューをすすめていくと興味深い事実が分かった。アテバさんは、
「セネガル人には銅像建築の技術がないから北朝鮮に頼んだ」
と言うのだ。つまりこの像、北朝鮮によって建てられたのだった。

アテパさんは彼らの仕事ぶりについて
「真面目で仕事好きで、よくやっていた。プロフェッショナルだ。約束の工期である18ヶ月も、しっかり守った。セネガル人にとっても良い見本になった」と評価する。

地元の人達も、「北朝鮮の人達はアーティスト。とても尊敬している」と歓迎していた。

北の独裁体制のもと磨き上げた銅像建築の技術

では、北朝鮮の人達はセネガルでどのような生活をしていたのか。

この像を建てるために、100人以上がセネガルに来ていた。彼らは1人での外出は禁止で、外出時は2人以上。セネガル人とのコミュニケーションは、英語だったという。

銅像建築で北朝鮮が得た対価は?
アテパさんによると、「建築に約35億円かかった。セネガルはお金がないから、セネガルの土地を北朝鮮に与えた。彼らはその土地をセネガル人に売却して現金を得た」

銅像建築が終わった後も、数人の北朝鮮の人がセネガルに残って建築の仕事をしていたが、2017年の国連制裁で、全員国外退去になった。
この北朝鮮による銅像建築、実はセネガルだけでなくナミビアやコンゴなどでも行われ外貨獲得の手段となっている。

読者の皆さんも平壌からの映像で金日成氏や金正日氏の銅像をよくご覧になると思うが、北朝鮮は強固な独裁体制のもと銅像作りの技術を磨き上げてきた。
制裁が解除されれば「北朝鮮」印の銅像を意外な国で見つけることがあるかもしれない。

(執筆:FNNロンドン支局 小堀孝政)