親子の再会

7月3日、ニューヨーク・マンハッタン。
青色のキャンディーを片手に、我々報道陣の前に現れた1人の女性。

「子供たちに会えてとても嬉しいわ。娘がキャンディーをくれたの。」

泣きながらこう語るのは、1か月半ぶりに3人の子供たちと再会を果たしたジェニー・ゴンザレスさん(29)。

7月3日・ニューヨーク 子供たちと再会を果たしたばかりのジェニーさん
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ジェニーさんは、母国・グアテマラの治安悪化による子供への影響を懸念して、今年5月、子供たち3人とメキシコの国境を越えて、アメリカに不法入国した。
しかし、入国直後にアメリカの国境警備隊に拘束され、国境近くの収容施設に連れていかれた。
さらに、2日後には子供たちと引き離されたのだ。

トランプ大統領の狙いとは?

背景にあるのは、トランプ大統領が今年4月に導入した「ゼロ・トレランス(不寛容)政策」だ。

これまで、不法入国して拘束された移民は、司法手続きの間いったん釈放されてきたが、釈放後そのまま逃亡するケースが多かった。
トランプ大統領は、これを「キャッチ・アンド・リリース」だと強く批判。釈放を認めず刑事責任を厳しく追及するなど、不法移民に「不寛容」な対応に舵を切った。
未成年の子供たちは、裁判所の判断で長期間拘束できないため、結果として親と引き離される子供が続出したのだ。

「グラシアス」と涙を流した

ジェニーさんは、子供たちがいるマンハッタンから約4000キロ離れた、アメリカ南西部・アリゾナ州の収容施設に入れられていた。

支援者の協力によって集められた支援金で、ジェニーさんは7500ドル(日本円で85万円相当)の保釈金を支払い、その後、支援者らが運転する車を何台も乗り継いで、マンハッタンに来ることができた。

子供たちと再会を果たす前日、マンハッタンに到着した彼女は「グラシアス(ありがとう)」と涙を流しながら、支援者に感謝の言葉を述べていたのが、とても印象的だった。

7月2日・ニューヨーク 支援者と抱擁するジェニーさん

いまだに2500人の子供たちが親と引き離されたまま

トランプ政権の政策に「非人道的だ」との批判が高まり、トランプ大統領は、6月20日、親子を一緒に収容させる大統領令に署名した。
また、カリフォルニア州の連邦地裁も、政府に対し親子を再会させるよう命じた。

しかし、アメリカメディアによると、いまだに2500人以上の子供が親と引き離されたままだ。
ジェニーさんのように子供と再会を果たせたケースは、ごくわずかなのだ。

7月13日・ニューヨーク 子供3人を引き取りに来たジェニーさん

7月中旬、子供たちとの同居が認められ、マンハッタンの施設に子供たち3人を引き取りにきたジェニーさん。
息子の手をしっかりと握り、時折笑顔を見せたジェニーさんは、今なお子供と引き離されたままの親にエールを送った。

「子供と引き離されたお母さんたちには、戦い続けるべきだというメッセージを送りたいの。支援者の助けや神様の助けで再会できるはずよ」

アメリカ人はトランプの移民政策をどう見ている?

ワシントンポストの世論調査によると、親子引き離しを招いたトランプ政権の政策に29%の人が賛成したのに対し、およそ69%の人が反対した。

一方、興味深い数字も。この親子引き離しは誰に責任があると思うか聞いたところ、37%がトランプ政権、35%がアメリカに入ろうとした移民、そして、25%が双方に責任があるとしている。

アメリカのメディアでは、連日この移民問題が取り上げられている。
11月の中間選挙にどう影響するのか、注目していきたい。


(執筆:FNNニューヨーク支局 羽山寛)