過去最悪のペースで被害拡大 都内80代の女性から1億1200万円も…

今年4月、東京・世田谷区に住む80代の女性が現金約1億1200万円をだまし取られた。
女性は長男を装う男から「会社の小切手が入ったカバンを盗まれた」という内容の電話を受け、その後、長男の会社の同僚を名乗る男から「穴埋めしないと息子は逮捕される」などと電話で告げられ、関係者を装う「受け子」に合計11回に渡り、約1億1200万円を渡してしまった。

こういった多額の現金の引き受け役に若い子供たちが利用されるケースは非常に多く、警視庁は過去最悪のペースで被害が拡大している、この特殊詐欺の現状に様々な対策を取っている。

警視庁が専門学校の学生を対象に非行防止教室も

こうした中、今月20日、警視庁・小金井警察署は10代から20代の若い人たちが特殊詐欺グループの犯罪に加担しないよう東京・国分寺市にある専門学校の学生を対象に非行防止教室を開いた。

国分寺市の国際文化理容美容専門学校で行われた非行防止教室には、10代から20代前半の学生およそ200人が参加し、警視庁の担当者から詐欺グループが少年らをメンバーに募る手口が紹介されたほか、実際に現金の受け子を引き受け逮捕された少年3人のインタビュービデオも上映された。

「受け子」で逮捕された少年のインタビューを聞く専門学校生 7月20日
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非行防止教室に参加した学生に感想を聞くと、「実際に自分が在校していた際に同級生で警察に逮捕された人がいた。今回の説明を聞いて、万が一犯罪に誘われる事があってもしっかりと断る勇気を持つようにしたい。」と話した。

子供たちを犯罪の末端で利用する詐欺グループ

特殊詐欺事件の取材をしていて感じることは、末端の「受け子」が逮捕されても、その犯罪グループの主犯格まではたどり着かないことが多いという事だ。

そして、逮捕される「受け子」やATMからお金を引き出す「出し子」の年齢は10代や20代前半の若い子供たちが目立つ。

 警視庁の幹部は「夏休みなどの長期休暇の最中に若い子供たちがこういった事件の加害者になってしまうことはけっして少なくはない。一時の甘い言葉に惑わされることなく、自分の大事な人生を歩んでほしい。」と話している。

 特殊詐欺を完全に撲滅させる警視庁の取り組みが成功するかどうかは、犯罪グループそのものの取り締まりだけでなく、今回のような若い子供たちへの啓蒙活動を通して、「絶対に犯罪に関わらない意識」を持ってもらえるかということが大切であるということだ。

(社会部 警視庁担当 河村忠徳)