経理業務の課題が一挙に表面化

新型コロナの影響で進んだ働き方の変化が、さらに広がりを見せている。テレワークや分散出勤などを始めたという会社も多かったが…

この記事の画像(13枚)

広告関連 経理担当 中村似知都さん:
ほとんど出勤しています。請求書の発行とか、まだでやっていたり、結構紙でやっているものが多いので…

こう話すのは、都内の広告関連の会社で経理を担当する中村似知都さん(21)。

今回のコロナ禍で、経理業務の大きな課題が一挙に表面化した。オンライン決済の代行サービス会社は…

ROBOT PAYMENT・清久健也社長:
紙文化はんこ文化など、元々経理の方々の働き方に関しては課題を感じていたが、コロナによってその実態が可視化された

経理担当者の7割「テレワークできなかった」

オンライン決済の代行サービスを提供する「ROBOT PAYMENT」が、6月中旬に全国の経理担当者1000人に実施したアンケートでは、外出自粛期間中に約7割がテレワークを実施できなかったと回答。

テレワークを阻害した要因を聞いたところ…
1位:紙の請求書業務
2位:
入金・支払い管理
3位:紙の経費精算業務
と、紙での業務が大きな阻害要因だったことがわかった。

広告関連 経理担当 中村似知都さん:
緊急事態宣言が出ていた時は、管理職の方とわたしみたいな日は結構あった。

感染への不安の中、ほぼ毎日出社している中村さん。多い時で、1日100件近い紙の請求書業務に追われている。

中村似知都さん:
紙の請求書をまず発行して、PDFで送りたいとか、取引先とかがそうだと紙にせざるを得ない。紙の請求書がなくなると出勤する回数自体はすごく減るかなと思う。

請求書の電子化で業務を最大80%削減

こうした中、「さよなら紙の請求書」を掲げ、請求書の電子化を推進するプロジェクト「日本の経理をもっと自由に」が2日に発足。

「日本の経理をもっと自由に」
「日本の経理をもっと自由に」

「みずほ銀行」やクラウド会計ソフトの「freee」、「マネーフォワード」など50社が賛同企業に名を連ねた。

プロジェクトを呼びかけた「ROBOT PAYMENT」によると、請求書を電子化することで請求業務最大80%削減。年間717時間もの効率化が可能になるという。

しかし、請求書電子化サービスの導入率は現在34.2%、推定125万社。プロジェクトでは、これをまず50%、推定183万社に増やすことを目指している。

ROBOT PAYMENT・藤田豪人執行役員:
電子化されたら電子でいいじゃんという話になるはずなので、トップから会社として変えようよと。(過去)3年間でほとんど変わってこなかったという状況があるので、多分これで変わらなかったらずっと変わらない。コロナで働き方のパラダイムシフトが起きたので、ぜひ勇気を出して1歩踏み出すということをやっていただきたい

2020年10月には改正電子帳簿保存法が施行され、請求書や契約書などを電子データで保存する規制が緩和される。

これに向け、プロジェクトではさらに賛同企業を募ることにしている。

国や自治体がまず「何年までに何割電子化」と明言を

Live News αのスタジオでは、エコノミストの崔真淑さんにオンラインで話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
請求書の電子化ということですが、崔さんの会社ではどうされていますか?

エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
基本的にはPDF化となっています。ただ、老舗企業ほど紙の請求書を求められることが多いなという印象があります。一方で、eコマース(電子商取引)などに取り組んでいる企業に関しては電子化が非常に進んでいるなというところがあります

三田友梨佳キャスター:
実はきょう、政府の規制改革推進会議が、安倍総理に行政手続きのオンライン化に向けて押印の廃止や署名の削減を徹底するよう求めたのですが、こうした動きについてはどうご覧になりますか?

エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
こうした流れ事態は素晴らしいと思います。ただ、紙の電子化、請求書の電子化の旗振り役でもある国や自治体の行政手続きはほとんど紙で、オンラインやデジタルで済むものが実は1割にも満たないという調査結果もあります。そういった調査結果を考えると請求書を電子化した企業に対して国や自治体が減税だとか補助金を出すのも1つの手だと思うんですけど、国や自治体がまずは何年までに何割電子化するとコミットメントを出すことによって、そこと取り引きをしている民間企業も背中を押されるのではないかと思っています

三田友梨佳キャスター:
感染拡大によって図らずもなかなか進まなかった働き方改革が実現されたりと、大変な日々の中でも日本は変わるチャンスという見方があるのかもしれません。請求書の電子化が広く普及することで働き方がさらに改善されることを期待したいと思います。

(「Live News α」7月2日放送分)